ようこそ石の華へ

鉱物の部屋へのいざない

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【定休日は毎週水曜日です。】【5月も毎週日曜日は休業します。】

文鎮

2021-06-28 11:11:33 | 日記・エッセイ・コラム

ひとつ前のアクリル封入タンポポは、形態的には球体オブジェでしたが、用途的にはペーパーウェイトでした。ペーパーウェイトは日本語では文鎮です。文鎮とは、紙や書類が飛んだり動いたりしないように、重しとしてのせる文房具の事。習字などでは必要なものかもしれませんが、現代の日常生活ではあまり見かけないものになってしまったかもしれません。

今後、IT機器の進化と共にデジタル化の進んでいく社会では、紙の用途は減少していくでしょうし、文鎮化(スマホなどのデジタル機器において、動作・応答せず、修復も難しい状態)というネガティブな意味の言葉も登場しているくらいです。

ただ、思うに、文鎮とは極めて地球的な存在です。それは地球の重力を利用し、大気の流れに作用(反作用)しております。当然、宇宙のような無重力空間では意味を成しません。

そのような地球ならではの存在である文鎮は鉱物趣味的にも重要です。

上の写真は尾小屋鉱山のレール文鎮です。尾小屋鉄道の廃線の記念品として作られたものです。

上の写真は喜和田鉱山のもので、小さいのはトロッコのレールのものだからと思われます。

両者は鉱山の閉山の際の記念の意味を持っており、鉱物趣味のコレクションアイテムのひとつでもあります。

このブログの「梅鉢のような蛍石」(2016.08.05)の蛍石は、同じビルの3階にあるギャラリー「玄羅」さんに購入して頂きました。その蛍石は芳名帳の文鎮として使われております。どうも画廊などでは作家ものの文鎮は使えないらしく、石などの作者のいない自然物の文鎮が相応しいらしく、オシャレな感じがします。

石にはそんな使われ方があるものだ!と感心しました。

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アクリル封入タンポポ

2021-06-25 11:54:00 | 日記・エッセイ・コラム

先日の日曜日散歩の際、尾張町の旧村松商事ビル(1928年)の1階にあるCazahana(カザハナ)のショーウインドウで非常に気になるものを見てしまいました。その時は、まだ開店前の時間だったので、そのまま通り過ぎてしまったのですが、その後、それが気になり続けてしまったので、翌日、再度Cazahanaに行き、それを購入してきました。

上の写真がその気になったものです。

それはイギリス製(HAFOD GRANGE)のペーパーウェイトでした。

私は、この種のオブジェにはどうしても反応してしまいます。(このブログの「タンポポ」2019.05.24参照)

透明感のある球体オブジェ、それも大きなタンポポがそのままアクリル封入されており、その驚きと共に、自然界の幾何学的な美を感じざるを得ません。このような感覚は鉱物から得られる印象に近いものがあります。

タンポポ以外にも、サボテン(特に姫春星は特筆すべき)などの植物にも鉱物と類似の美が備わっている場合があります。それは人智を超えた美ということになるのかもしれません。

今回のアクリル封入タンポポは、そのような人智を超えた自然美と人間のアーティスティックな技との共演とも言えるような気がしております。

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日曜日散歩

2021-06-21 12:32:19 | 日記・エッセイ・コラム

昨日は、日曜日休業する最終日で、梅雨晴れになったことから、朝のニュースで知った武田五一設計の旧石黒ファーマシービル(1926年 尾張町)の公開イベントを見に行きました。今回公開されたのは地下1階と1階の一部だけでしたが、今後、文化財として修復・整備されるのだろうと思いました。私は武田五一設計の建築物としては名古屋の旧春田鉄次郎邸(フランス料理店「Dubonnetデュボネ」として運用されていました。)には行った事があります。文化財的価値のある修復された建築物がレストランなどに生まれ変わる事は歓迎すべき事だと思います。そのような施設には積極的に行きたいと思っております。

上の写真は、そこにあった裸婦がライオンをかたどったレリーフです。面白いと思いました。

上の写真は地下1階の部屋の様子です。薬局らしい名残が感じられました。

上の写真は1階のエレベーターの入り口です。どうもまだ動いているようでした。

今回は一部公開だけでしたので、滞在時間は10分程でしたが、今後、もっと整備されたらまた訪れたいと思いました。

その後、尾張町界隈のアールデコ建築物を眺めながら、歩いて、いしかわ生活工芸ミュージアムに行きました。そこでは自在置物などの金属工芸展が行われており、しばし、それらを見学しました。

上の写真は、いしかわ生活工芸ミュージアムの前庭にあった能登亀甲石と思われる庭石です。思わぬところで思わぬものに出会いました。

その後、柿木畠でランチを食べ、その後、しいのき迎賓館で開催中だった加賀てまり作品展を見学してから帰途に就きました。

金沢市民らしい日曜日散歩をしました。

 

 

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妄想誘発装置

2021-06-18 11:13:56 | 日記・エッセイ・コラム

ひとつ前のブログ「急流に流れ落ちる滝のような滝石」は、このようなマイナーなブログでも久しぶりに反響が大きかったように思えます。

中でも、特に印象深かったのは、ブログを通じてメール交換が始まったHさんからの「登り龍」説です。その素晴らしい見立てには感動しましたので、長文ながら原文のまま紹介したいと思います。

「ちなみに私は、白波の波頭激しく巻き起こし海を割って、

今まさに龍が天に昇って行った景色と見ました。

日本絵画史上最大の40mを誇る日本画、横山大観の「生生流転」は、

天から雨が降り注ぎ、山から里へ川として流れ下り、やがて大海にそそぎ、

大海から竜巻となって再び天に帰る「水の一生」と、それを龍になぞらえ、また、

水、龍、にとどまらない世の大きな巡りを描いたものです。

 その壮大な「生生流転」の水の一生の最後、龍となり天に昇った、その龍の尾と、

水しぶきが、今日のブログの石の紋様に見えました。

 私の場合、この石は盛大に「昇る」「上昇」シーンで、上部中央に点々と水しぶきの

散ったところが、なんとも言えない「萌えポイント」でした。」

どうでしょうか?

Hさんは糸魚川の海岸で紋様石だけを20年以上拾い集めているそうですが、紋様石愛好家が増えて欲しいと願っておられます。石を眺めながら、各人それぞれの鑑賞の趣向を語らうことができたなら、より一層、石の味わい深さと、楽しみの奥行きが増すことでしょう。と説かれておりました。

私は共感しました。

同じ石の紋様でも、ある人には山並みに、ある人には滝石に、そしてある人には登り龍に、さらに水の波は雲海にも見立てられます。重要なのは石の方ではなく、鑑賞する側のイマジネーションにあるのです。

そういう意味では、石は妄想誘発装置のようなものです。そのように思ってしまいました。

 

 

 

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急流に流れ落ちる滝のような滝石

2021-06-14 11:48:13 | 日記・エッセイ・コラム

先日、あるお客さんが店に飾ってあった石(蛇紋岩と思われる観賞石)を見て、滝のように見えませんか?と仰いました。その言葉に反応して私もその石を見直すと、確かに、そのように見えてしまいました。

上の写真がその石です。

当初、私は、山並みのように見えるかもしれない程度に軽く見ておりましたが、そういわれて見ると、山並みよりも急流の波のように見え、さらに石の左上部が滝のように見えてきました。そう見えてくると、滝壺に激しく打ち付ける波のようにも見えてきます。

最初は安価に設定した石ではありましたが、見立て次第では、もしかすると名石かもしれない、と思ってしまいました。

そう思い直した時に、ちょうど滝好き、石好き、でしかも、滝石大好きのおじいさんが来店しました。

そのおじいさんにその石を見せると、変わった滝石だという事で、えらく気に入って下さいました。

これまで、そのおじいさんは終活の一環で石を整理中という事で、ご自身の石コレクションを「石の華」に寄贈して下さっておりました。今回は、お返しとして、その滝石をお譲りしたいと申し出ると、喜んでいただけました。

石好きさんは、終活中でも、やはり、石好きです。一石増える事になりましたが、喜んで頂いて、こちらも安心しました。

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