若林鉱物標本展の会場では、チラシやポスターが置いてありましたので、それらを何枚か頂いてきました。ポスターは「石の華」の店頭に貼り、チラシもお客さん用に店頭に置いてあります。
それから、「Ouroboros(ウロボロス)第76号」という東京大学総合研究博物館ニュースという小冊子も頂いてきました。それには今回の特別展示の公開に至った経緯が詳しく書かれておりました。
それを読むと、日本の三大鉱物標本の一つに数えられている若林標本にもかかわらず、長年、うす暗く、雨漏りもしている地下機械室に放置されていた事実が書かれておりました。非公開時には悲しく暗い過去があったようです。そういう意味でも、今回の特別展には文字通り特別展として意義があると思います。
上の写真は展示してあった本(1937年)です。他に「The Wakabayashi Mineral Collection」(1974年)という本もあるそうです。
今回の図録は現在製作中で、出来上がるのは8月頃になってしまうそうで、是非とも入手したいと思っております。
数年前まではマイナーだった鉱物趣味も、最近になって、ようやく市民権が得られるようになってきたような気がしております。
また、若林彌一郎という人物も鉱物趣味の世界の人の中では有名でしたが、一般的には、ほとんど知られていなかったと思います。その証拠に、出身地である石川県内でも知る人は少なく、金沢ふるさと偉人館でも紹介されておりません。悲しい事です。
そう言えば、今回の展示会場の中にも尾小屋鉱山を福井県と誤表記しているラベルがありました。尾小屋鉱山という存在すらそんな認識のされかただったようです。悲しい事です。
今回の若林鉱物標本展は鉱物趣味の石川県人として、悲しい現実を知る事が出来た様な気がしております。
昨日は、私の誕生日でしたので、妻が私の好物であるサワラと海老とホタテの貝柱のフライを作ってくれました。夕食は、それらの料理と共にワインを飲みました。
そのワインは、少し前に私の東京時代にお世話になった友人が誕生日祝いとして送ってくれた白ワインを選びました。その友人は、「石の華」の10周年の時にも、STONEと言う名の付くワインを送ってくれたのですが、今回の誕生日にも同じように赤・白共にSTONEと言う名の付くワインを送ってくれました。毎回、そのような特殊なワイン選びは大変なことだと思います。毎回、うれしい限りです。
上の写真がそれです。
鉄も水も地球ならではの恵みです。
石の店をやっていて、毎日、石に囲まれて、記念日には、STONEと言う名の付くワインを飲める、何と!幸せな事でしょう!
石と美味しい料理と美味しいお酒、そして健康、この平和な日本にいるお陰です。今ここに生きている事に感謝します。
先日の東京日帰り旅では、最初に東京大学総合研究博物館で若林鉱物標本を見て、その後すぐに、東京駅の「インターメディアテク」に行きました。
その後は、3月に開業したという東京ミッドタウン八重洲というビルを見学しました。
そこは東京駅八重洲口の玄関になるような存在で、金沢駅前のポルテ金沢のビルに似ているような気がしました。ただ、その規模が違いすぎて、あらゆる面で比較になりませんでした。・・・。
その後、本当に久しぶりに上野の国立科学博物館(科博)に行ってみました。
すぐに向かったのは、日本館3階にある桜井コレクションコーナーです。
その入口には、昔と同じように尾小屋鉱山産の重晶石が置いてありました。
上の写真がそれです。見事なフラワー状の結晶だと思います。
その横の方には昔は無かったような気がしている苦土大隅石(岐阜県飛騨市月ヶ瀬谷)が展示してありました。寄贈者のお名前には記憶があるような・・・・気がしました。
桜井コレクションの数々の名品を見て、おなかがいっぱいになり、早めに、上野駅から北陸新幹線で帰りました。
今回の若林鉱物標本展では何か不思議な繋がりを感じてしまう事が多かったのですが、もう一つ、ありました。
上の写真は、重晶石の棚の写真です。
ちょうど中央部分の位置にある標本は石川県の倉谷鉱山のものです。標本ラベルには「石川県石川郡倉谷鉱山」となっております。
上の写真は若林鉱物標本ではない館の入口近くの標本の棚の中にあった倉谷鉱山産の菱マンガン鉱です。標本ラベルには「石川県金沢市倉谷鉱山」となっております。
これもまた、市町村合併の際の地名表記の変遷を物語っております。若林標本の時代に石川郡にあった倉谷鉱山は、その後、金沢市に編入されたのです。
それから、福島県にも石川郡があり、石川県にも石川郡があったようです。
ひとつ前のブログの鉄礬柘榴石は福島県の石川郡のものでしたが、そちらの石川郡は日本三大ペグマタイトのひとつがある鉱物の宝庫です。
鉱物の世界では、福島県の石川が圧倒的なメジャーであり、石川県人にとっては同じ石川という名前には憧れのようなものを感じてしまいます。
ただ、先日の野球のWBCでは大谷選手は「勝つために憧れは捨てよう!」と言っておりました。鉱物の世界には勝ち負けはありませんが、何となく気になる言葉として記憶に残っております。
先日の東京大学総合研究博物館の特別展「若林鉱物標本」を見に行った時に、もう一つ大きな収穫がありました。
上の写真は、現在、「石の華」にある産地不明の鉄礬柘榴石の群晶です。凧型二十四面体結晶の群晶で、気に入っておりましたが、元ラベルのない産地不明の標本だったのです。
先日、東京大学総合研究博物館の若林鉱物標本以外の標本コーナーで、ある鉄礬柘榴石(福島県石川郡石川町)を見つけました。
上の写真がそれです。
どうでしょうか?店にある鉄礬柘榴石に何となく似ています。もしかすると同じ産地のものかもしれない、と思ってしまいました。
鉱物標本は元ラベルのないものは産地不明となりますので、その標本価値は下がります。
今回の両者の鉄礬柘榴石の雰囲気は非常によく似ております。同じ産地で、恐らく、坑道内で、かなり近い位置にあったもののように感じてしまいます。両者は同時期に採掘されたものかもしれません。
・・・。それは希望的観測かもしれませんが、そうあって欲しいような気がしております。・・・。
今回の若林鉱物標本展では何か不思議な縁を感じております。