多くのファントムを有する水晶、二枚目の写真はそのファントムが片面に偏って見えます。
和風な風景のように見えるファントム水晶
実は3Dクリスタルアートのような和風のファントム水晶もあったのですが、写真を撮る前に売れてしまいました。
逆さファントムが入っている水晶
この水晶はOさんの取り置き水晶ですが、今日の話題では出す必然性がありましたので、登場させました。逆さファントム水晶は恐らく両錐水晶だったものが、さらなる再成長した結果で出来たものと思われます。ただ、そうだろうと思ってもやはり、不思議です。
山入り(ファントム)水晶の魅力はその水晶の成長跡が残っていて、その水晶の成長時間との時間的共有を持てる事です。それは3次元空間に記録した天然のクリスタルアートとも言え、美しい形跡を残しています。
山入り(ファントム)を見ていると、その美を享受するのと同時に、素朴な疑問として、その水晶はどの位前に出来たもので、またどの位の時間をかけて成長したものなのか?と思うと思います。しかし、残念ながら、それを知るような術をまだ知りません。
水晶の採集された場所の地質学的な時代から、凡その出来た時代を推定する事は可能かも知れませんが、水晶の成長時間は成長環境によって大きく違います。例えば人工水晶等は3か月ほどで作りますが、天然の水晶はその水晶ができる環境によって、時間的な幅は大きく変化するでしょう。あるものは数年単位でできるでしょうし、あるものは千年、万年、さらにもっと長時間かかって出来ていくのだと思います。特に山入り(ファントム)水晶の成長は止まったり再成長したり、成長スピードも一定とは限りません。
いつの日か、その時間測定技術は開発されるかも知れませんが、今はその美しさを愛でながらその時間的共有を享受する事で満足しなければなりません。それでもそのような水晶を手に持っているだけで、それはそれで良いと思います。
富士山のファントムが入った水晶
富士山の話題は明日に続きます。
上の写真は2001年に閉山した神岡鉱山の鉱夫の方が鉱山の稼働中の時に造った「鉱夫芸術」のひとつです。「鉱夫芸術」とは伊藤剛さんが「鉱物コレクション入門」という本で唱えた鉱夫たちが造った人工的な作品の事です。この「鉱夫芸術」作品はいろんな形の方解石が閃亜鉛鉱で固められています。方解石好きの私ですが、ひと目で人工的で不自然なものとして映りました。しかし方解石のコレクションとしてはちょっと気になって入手しました。最初はゲテモノに思えたこの「鉱夫芸術」、鉱山が閉鎖してしまった現在では貴重なものだと思います。
神岡鉱山の方解石は形のヴァリエーションが豊富で有名なのですが、この工芸品には様々な形の方解石が詰まっています。全体的な形は山形で台座があって少し水石的な文化の香りがします。これはゲテモノには違いないのですが、ひとつの鉱物コレクションの稀なケースの見本でもあると思います。
山梨県甲府市水晶峠の水晶(工芸品)
この写真の水晶も「鉱夫芸術」の作品です。水晶峠の水晶が不自然にひしめいています。一瞬で自然なクラスターとは違うと思うと思います。かつて甲府ではお土産物屋さんでこういう「鉱夫芸術」が売られていたと聞いた事があります。今となっては貴重な品だと思います。
岐阜県中津川産の煙水晶(工芸品)
この写真も煙水晶と長石の共生体の「鉱夫芸術」です。これは人工的に石膏で固められています。普通のコレクター感情からすれば、もったいないと思ってしまうかも知れませんが、これも立派な「鉱夫芸術」のひとつだと思います。
鉱物コレクションには「寛容」も必要です。実際、各地の鉱山が稼働していた頃は各地でこのような「鉱夫芸術」が数多く生み出されていたと思います。我らが尾小屋鉱山でもあったそうです。
それらの「鉱夫芸術」はどこへ行ってしまったのでしょうか?それらの「鉱夫芸術」作品の行方が気になります。
今日は久々にTV番組の話題です。
TVの世界ではもうすぐ春の改編の時期です。新番組が楽しみな時期です。
昨日、NHK BSプレミアムの「フローズン プラネット」のミニ「氷の王国の大自然」を録画して帰宅後に見ました。驚くべき映像が映っていました。それは南極大陸で発見された氷の洞窟の映像です。氷の結晶が鍾乳石のように成長し、不思議な造形空間が広がっていました。この映像を見てすぐにアメリカ ニューメキシコ州のレチュギア洞窟の映像を思い出しました。そっくりです!レチュギア洞窟の鍾乳石は石膏ですが、氷の結晶でも同じような造形になるのです。さらに霜の結晶そっくりの結晶も映っていました。両者には何か同じメカニズムが働いているように思えます。本放送が楽しみです。
もうひとつ、期待すべき番宣を見ました。それはやはりNHK BSプレミアムで「グレートネイチャー」の新番組です。確か4月7日放送予定だったと思います。タイトルは「石の海 石の森」でした。石の海では中国 四川省・興文石海の巨大な穴です。石の森では中国 湖南省・張家界の巨大な岩の絶景です。特に張家界のモーターパラグライダーの空中撮影は期待できると思います。映画「アバター」のような迫力のある映像に期待したいと思います。
「アバター」といえば、ジェームズ・キャメロン監督がマリアナ海溝最深部に単独潜航のニュースも飛び込んで来ました。早くその3D映像の作品を見たいと思う気持ちが湧き上がって来ました。
マリアナ海溝は地球のプレートテクトニクスを理解するためにも重要なプレート境界です。そこは地球の最深部でもあり、「アビス」や「タイタニック」等の深海へのこだわりが理解できる快挙だと思います。
もうすぐ春です。何だか新しい事が始まる予感がいっぱいです。
地球の化石の話題では微化石の事に触れずにはいられないと思います。
岐阜県金生山産の古生代のフズリナ
この写真は古生代に全盛期を迎えた有孔虫フズリナの化石です。石灰質の殻を持っていたことから、石灰岩中に現れる化石で、日本では石灰岩地帯から多量に現れます。示準化石でもあり、約1億年間存続しましたが、古生代末に突然絶滅しました。古生代から中世代への転換期には大量絶滅が起きるほどの大きな地球的な大変化が起きていた事を証明する化石でもあります。
RC GEARの放散虫のシルバーアクセサリー
この写真はRC GEARのシルバーアクセサリーです。RC GEARのオリジナルシルバーアクセサリーはよくある頭蓋骨という形ではなく、恐竜ティラノサウルスの頭部や微化石である放散虫の形のシルバーアクセサリーを扱っています。
放散虫によく似た形の作品を作る金工作家で久米圭子さんがいらっしゃいます。久米圭子さんの作品を見ていると放散虫の化石を連想してしまうと思います。私は昨年の金沢美術工芸大学 卒業・修了展で久米圭子さんの作品を見ました。
このブログは工芸ブログではありません。
放散虫は主として海のプランクトンとして出現する単細胞生物で、珪酸質などからなる骨格を持っているため、微化石として発見されます。化石は先カンブリア時代から現在に至るまでの広い範囲で発見され、形態が多様で種の入れ替わりが速いため重要な示準化石とされています。因みにチャートという岩石はこの放散虫骨格の堆積によって形成される場合もあります。
ここに一枚のCD-ROM「放散虫化石画像データベース」があります。それは名古屋大学博物館が発行したもので、世界各地の各時代の放散虫の顕微鏡写真データベースです。このデータベースの写真を見ていると、エルンスト・ヘッケルの「Art Form in Nature」を思い出してしまいます。
ヘッケルの描く美しい放散虫の骨格の中には規則正しい八面体や十二面体や二十面体のものがあります。上の写真の放散虫も正四面体の形をしています。放散虫という原生生物の細胞が造形するシンメトリックな珪石殻のフォルムからはプラトン立体的な鉱物的な印象を受けます。鉱物と生物は形で繋がっているのです。
この一週間、化石の話題が続いてきましたが、今日の微化石で一旦終了します。