デンドライトの話題を続けます。
上の写真は先日の名古屋ミネラルショーで、見つけ、即買いしてきた銅の人工結晶です。これは工場の煙突内部で採集されたものらしいのですが、一目でデンドライトとわかり、非常に興味深く思いました。このようなものは、普通、産業廃棄物として捨てられてしまっているのだろうとは思います。このようなものが商品として流通する事自体にミネラルショーらしさがあります。もっとも、ポーランド産?製?のジンカイトという酸化亜鉛の結晶も古くから流通していますし、鉱物コレクターにとっては、そのような人工物も守備範囲なので、そのようなものもアリだと納得できます。
それらは煙突内で昇華したのでしょうか?それにしても見事なデンドライトです。
それらは人工的なものであるものの、その物質の持つ化学的特性と温度とか圧力とかの物理的作用の複合的な自己組織化とも言える現象で、デンドライト状に結晶成長したようです。人はその環境を作っただけで、そういう意味では、半人工鉱物結晶と言えそうな気がしております。
そう言えば、もう一つ、そのようなものがありました。
これはニッケルの人工結晶です。こちらもデンドライトになっております。それは平面的な2次元デンドライトではなく、立体的な3次元デンドライトと言えそうです。
以前、霰が雪の結晶のようになっているものの写真を見た事がありますが、それが3次元的なデンドライト構造をした雪の結晶だったのだろうと、思い出しました。
このブログの「謎の菊花状結晶痕」(2021.07.20)で話題にしたメノウの話題の続編です。
そのメノウはどうも北海道の花石産のメノウだったらしいのですが、その謎の菊花状結晶痕の正体は不明のままでした。ところが、昨日、その謎の解明に繋がると思われるものが、非常に身近なところで現れました。
上の写真はSさんがこの前の土曜日に医王山で採集してきたという紫水晶です。
どうでしょうか?小粒の淡い紫水晶の群晶に窪んだクレーター状に放射状の結晶があります。それはどうも針鉄鉱(ゲーサイト)のようです。それはまた水晶内部にインクルージョンとしても入っております。これはブラジル産のアメシストにもよく見られる針鉄鉱(ゲーサイト)に違いありません。
それは、花石のメノウ上の菊花状結晶痕に非常によく似ております。
実は、Sさんから医王山のメノウにもよく似た形状があると言う事で、スマホの写真も見せてもらいました。
それらを見る限り、かなりの確率で、謎の菊花状結晶痕は針鉄鉱(ゲーサイト)であるという可能性が高いと思いました。
これで、謎の解明でしょうか?
それにしても、金沢市内の山というあまりにも身近なところで、あっけなく終了してしまったようで、うれしいようで少し寂しい気持ちにもなっております。
今日は「デンドライト2」です。過去に「デンドライト」(2012.09.09)というタイトルで書いており、他にもデンドライトの話題は何度か書いておりました。
久しぶりにデンドライトの話題に触れたのは、現在、店にある石の中で、魅力的な石があったからです。
先ずは、デンドライトの定番、ゾルンホーヘン産と思われるものです。
これは、以前まとめ買いをした遺愛石の中にあったものです。先日、コンテナの整理をしていて、これを見つけました。
これの面白いところは、台座部分に古代のシダ植物のようなレリーフが彫られている事で、石のデンドライト模様とイメージが連動しているところです。持ち主だった方の美意識がはっきりわかり、好感が持てます。
もう一つ、観賞石の下関菊石です。
こちらも菊花状の周辺に多くのデンドライト模様が出ています。非常に魅力的な石だと思います。
デンドライトの面白さは、ランダムな中にある種の規則性があり、それが何となく気持ち良いところでしょうか?枝分かれとゆらぎ?のような不思議な幾何学模様には何とも言えない美が潜んでいるような気がしてしまいます。
このようなデンドライトはコンピュータでも作画できるようで、単純なプログラムから生まれる美と自然界の自己組織化した美との類似性も気になるところだと思います。
今朝、4時頃、いったん目が覚め、涼しい外気を入れようとベランダ側の窓を開けると、夜空に星が見えました。最近は雨の日が多く、星空が見えるとは思っていなかったので、少し感動しました。ちょうど正面に、規則正しく並んでいる三ッ星が見え、それがオリオン座だとわかりました。
自宅のベランダから星座が見れるのは、今だけなのだ!と思うと、貴重な一瞬のように思えてしまいました。
実は、ベランダ側にあった駐車場は無くなり、現在、マンション建設の工事中なのです。来年には東京建物の10階建てのマンションが建つ予定となっております。
元の地主のおじいさんは同じマンションに住んでいるという事だったので、安心しておりましたが、そのおじいさんも昨年お亡くなりになられ、マンション開発は一気に進んでしまいました。そのおじいさんは愛石家でもありましたが、何かの縁でしょうか?白山紋石などの遺愛石の一部は「石の華」にあります。
上の写真は今朝の5時頃のベランダから撮った外の風景です。この風景も今だけの風景です。
ホテルやマンション建設が相次ぎ、金沢駅前の駐車場不足が深刻になっております。「石の華」ではポルテ金沢の駐車券以外に、これまでは安価だった名鉄協商パーキングの駐車券も用意しておりましたが、近辺の駐車料金の値上げに伴い、ポルテ金沢と同額になってしまいました。今後は本来のポルテ金沢の駐車券を主体的にサービス券として使いたいと思っております。
現在は、コロナ禍という事もあって、ポルテ金沢のテナントも変化しております。同じフロアの伊太利屋さんは昨日で閉店しました。ポルテ金沢の開業と同時にオープンされたそうで、ひとつの時代の終焉を感じてしまいました。25年間、本当にお疲れさまでした。そして、長らく空いていた表通り側には新しく証券会社が開設しました。地下の飲食街も閉店や休業や改装が相次ぎ、大きく変化しております。
「石の華」も委託だったRoseStoneコーナーが無くなりました。アクセサリーのスペースが減少しましたが、そのスペースには高級商品を並べてあります。
コロナ禍は世界を一変させましたが、「石の華」は、これからも変わらずやっていこうと思っております。
かつて「鉱物の美学、結晶世界の風景」という副題がある特集の雑誌がありました。それは「STUDIOVOICE」(1992年 NOVEMBER 流行通信社)というカルチャー雑誌です。その号の特集は「スティル・ライフ」となっております。
私は、その頃は勤めていた広告会社の福岡支社勤務をしており、鉱物趣味は無かった頃なので、今となってはその気になるタイトルの雑誌は、後に、どこかで古書として購入したと思います。
先日来、「鉱物の美学」という言葉が気になっており、自宅の書庫からその「STUDIOVOICE」を探し出して、その雑誌を読み直しております。
今、読み直すと、それは約30年前の雑誌なので、その時代性が感じられるものの、鉱物の美学をテーマにした雑誌は貴重なものだと思いますので、大切に読み直しました。
興味深かったのは、松岡正剛×荒俣 宏の対談が載っていた事です。このご両名は角川武蔵野ミュージアムでも協業されておりますね。(荒俣ワンダー秘宝館では、現在、特集展示「石は生きている」が開催中~2022.1.16のようです。気になります。)
その対談以外にも、SF作家J・G・バラードの現代性が多く語られており、私は未読の「結晶世界」を読みたいと思ってしまいました。
スマホなどのIT機器の浸透により、書店や雑誌文化が衰退しつつある現在、過去の雑誌を読み直してみる行為も、またアリかな、と思ってしまいました。