本蔵院 律良日記

熊本県にあるお寺“真言宗 本蔵院 律良のブログ”日々感じるままに活動のご報告や独り言などを書いた日記を公開しています。

天網恢恢疎而不漏

2018-11-25 21:03:29 | 住職の活動日記

「天網恢恢(てんもうかいかい)

 疎にして漏らさず」

 

いつの頃だったか中学か高校の頃

この言葉に出会い強烈な印象があり

ずっと心の中に残っている言葉です。

同じような言葉で

 

「天知る、地知る、我知る、子知る」

 

という言葉も昔はよく使ったような

気がします。

嘘ついたら閻魔さまに舌抜かれる

ということも

子ども心に何となく恐ろしい

ことのように感じていました。

 

辞書には、

天は人間の善悪を知り尽くしている

天の網は広く目が粗くて

一見あてにならないように見えても

物をすくいもらすことはない。

善は必ず栄え悪は必ず滅びるの意。

天網とは、天が悪人を捕えるために

張る網、自然の制裁。

というように出ています。

 

こういう心のブレーキというか

生活規範のようなものが

日本人のこころに深く

浸透していたような気がします。

だからこそ、

メイドインジャパンという製品は

世界から信用されたのです。

 

ところが、

最近のテレビ新聞では

いろいろな会社の不正が見つかり

記者会見でそろって

「ご迷惑をおかけしました」

頭を下げられる光景を

よく見かけるようになりました。

 

なぜ、

こういうことが起きるのでしょう。

会社にとっての利益追求

コスト削減、

似たようなものであれば

多少手抜きしても大丈夫

ということなのでしょうか。

 

なぜ、

こういうことをするのか

分かりません。

手抜きのない立派なものを作れば

それで信用が生れ

長い目で見れば会社の発展に

つながっていくと思うのですが。

 

時を同じくするように

京都新聞の凡語の欄

13日に93歳で亡くなられた

ロナルド・ドーアさん

日本の好きな点を問われると

「生産主義」

「投機的なカネづくりより、

立派なものをつくり、

人にサービスすることが

まともな生活様式と考えられている

と、答えたそうです。

それから、

1990年代後半からのグローバル化

「構造改革」を強く懸念した。

英米流の株主優先経営でなく

地域や取引先、従業員も重視せよ、

と説いたということです。

大好きな日本が米国のビジネス大学

で教育を受けた「洗脳世代」の

「インチキなスローガン」で

作りかえらた、

手厳しく指摘されています。

その著書が『幻滅』というのは

何とも、今のこの問題を

反映しているようにも

受け取れます。

それから、

「公」を「私」すべからず

とも述べておられます。

 

今、煩悩のところを

うろうろと行きつ戻りつ

しているのですが、

中随煩悩というのがあって、

「無慚・無愧」

(むざん・むき)

というこの二つです。

この二つだけで

中随煩悩とグループ分け

しているのも面白いのですが、

慙愧の念、慚愧に堪えない

というように

自分に対しても恥じ入り

社会に対しても恥じ入る

という(はじる心)ということが

長い歴史の中で

根付いてきたように思うのですが

その根っこも段々と腐りはじめ

肝心の心のコアの部分が

欠落しだしたようにも

思えてきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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