天網恢恢疎にして漏らさず

映画レビューを中心に(基本ネタバレバレです)スキーやグルメ他、日々どうでもいいような事をダラダラと綴っています。

【映画2024】「人生って、素晴らしい Viva La Vida」@20作目

2024年04月10日 | 映画感想
「人生って、素晴らしい Viva La Vida」

本作は、面白い中華映画を観よう!というコンセプトのイベント「電影祭」での特別上映作品という事で、4/5~11日までの1週間限定公開されているそうです。
たまたまヒマだったので「なんか面白い映画やってないかなぁ~」と思ってご近所映画館の上映タイムスケジュール調べていて見つけた訳で。中華系作品は個人的に割と観ている方なんじゃないかと思っているんですが…まあほとんどが「カンフー映画」なんですよね(カンフー好きなんで♪)、それで、本作の作品紹介ページを見てみたら案外面白そうな内容っぽい?と思ったので、たまにはカンフー以外のジャンルの中華作品でも観てみようかなーと思って。という訳で出演役者さん等ほぼNO知識。何も知らんw

あらすじ
腎臓病を患い、日々の人工透析でなんとか生き延びている真面目な性格のリンミン。そんな彼女の前に、超天然なリュトという青年が現れる。自身も悪性脳腫瘍という不治の病を患うリュトは、リンミンが行く先々に必ず現れるばかりか、リンミンの面倒を見るために彼女の家に住むと勝手に決めてしまう。予測不能な行動でペースを狂わせてくるリュトに嫌気がさすリンミンだが、リュトの憎めない素直さに次第にひかれ、2人は心を通わせていく。しかし、リュトがリンミンに付きまとうのには、ある理由があった。(映画.comの解説から抜粋)

大体映画のあらすじ引っ張って来るのはYahoo!検索でPCの右窓に表示される検索情報(Yahoo!Movieの受け皿みたいになってる)からなんだけど、本作多分正式に配給付いた劇場公開にならないんだろうな…という訳でYahoo!検索ではあらすじ等の情報が引っ張って来れなかったので、解説ページのあった「映画.com」さんから引用させて頂きましたアザース✨

という訳で、主人公のリンミンは不治の腎臓病に苦しんでいて、この生活から抜け出すにはもう臓器移植を受けるしかないというトコロにまで追い詰められていて(勿論移植申請していてドナー待ち状態)、ある日精神的にいっぱいいっぱいになった彼女は顔を隠して闘病者が集まるSNSコミュニティに「誰か自分と結婚して腎臓移植のドナーになって欲しい(←配偶者が先に死ぬの前提で語ってるのが怖いんだけどw)、その代わりドナーになってくれたら貴方の親の面倒は自分が見る」という動画を投稿する訳です。
勿論投稿してから直ぐに正気に戻って動画を削除したんだけど、その一瞬UPした隙にこの動画をたまたま見たリュトという青年から「直接会って話がしたい」と連絡が来る…

自分の周囲に人工透析をしている人がいないので(重篤な腎臓病患者もいない)腎臓病や人工透析がこんなに大変な事なんだと、見方に寄れば生きるよりも辛いのではないかと思わされるような制約の数々をこなしながら生きていく姿を、映画冒頭のリンミンの独白シーンで見せられて思わず絶句してしまいました。
劇中でリンミンとリュトが口論になった際にリュトがリンミンの左腕を思いっきり掴んで引っ張って、リンミンが悲鳴を上げて崩れ落ち…それがどうやら透析に必要な人工血管?(シャントと呼ばれているらしい)が腕を引っ張った衝撃でズレたのか破れたのかして、新たなシャント手術をしなければならないというシーンが出て来ます。
とにかくこれでもかと腎臓病の苦しさや生活の困難さについて本作は触れていて(例えば居住地も透析と処置が出来る病院から近い場所にしなければ生きていけない等)、リンミンが怒り、悲しみ、慟哭するシーンに胸が塞がれるような気持ちなりました。

ですが、
意外にも本作は非常にユーモラスになんならフンワリ暢気に話が進んでいくのです。
この絶妙なコミカル感を生み出しているのがリンミンの動画を見てしつこくリンミンを追い回す(はっきり言ってストーカーっすw)リュトのキャラクター。冴えない見た目で若干独りよがりで飄々としていてやたら明るくてポジティブでちょっとおバカっぽくて…最初「なんじゃコイツ」と思うんだけど(それは観客だけでなく当然リンミンご当人も)無視しても罵倒してもまるで意に介さずに毎日毎日追い掛けて来る姿に、段々愛着が湧いてくるんですよね。素直で素朴で優しくて気のいいヤツなんですよ。

話が進んできて、自分の生にしがみついてなんとしても生き延びたいと願うリンミンに対してしつこく追いすがってきていたリュトが、実は自分の生を諦めて放棄しようとしていた事が明らかになります。まるで逆のベクトルでありがならお互いwin-winな関係であるという事が分かったものの、もうその頃にはすっかりリュトが大好きになっているんです。リンミンだけでなくてスクリーンを観ている我々も皆んなね。だからリュトにどうしても生きていて欲しいって皆んな思って固唾を呑んでスクリーンを観ている訳です。

ドタバタを繰り返しながらいつの間にかお互いが強い絆で結ばれて行って…闘病系恋愛モノってやたら悲壮感漂っていてこれでもかと泣かせようと必死に演出して来るのが「ウッザ」ってなる事多いんだけど、本作は病気についてのウンチク云々に関してはとても丁寧に描写されていたけれど、事が2人の「恋愛」に絡んでくると凄く爽やかで楽しくて、そしてなんとしても応援したい!という気持ちにさせられる実に気持ちのいい展開でした。勿論ウルウル来るシーンありますよ!ですが、それが「ほら泣けーそら泣け-」っていうクッサイ演出じゃなくて、なんて言うか…スクリーン見ながらね、このリンミンとリュト2人の親戚のオバチャンになったような気持ちでハラハラしながらウルウル来ちゃうって言うのかな。

いやぁーいい映画だったなぁー。心が洗われるような気持ちのいい、清々しい、そしてホッコリする素晴らしい作品でした!
この作品が一般劇場公開されないなんて本当に勿体無い!確かに日本で知名度の高い役者さんが出演している訳ではないかもしれませんが、こんな良質な作品が中国でも作られているのだと言う事をもっともっと広く知られて欲しいと思いましたね。もし本作がDVD化されたりサブスク等で配信されたら是非鑑賞して欲しい作品です。
コメント
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