味園博之のブログ-文武両道「空手道と南洲翁遺訓」他古典から学ぼう

平成の今蘇る、現代版薩摩の郷中教育 
文武両道 「空手道」と『南洲翁遺訓』を紹介するブログ

学ぶ道は、必ず先ず諸を心に明らかにし、

2017-10-28 14:57:22 | ブログ
第3225号 29.10.29(日)

然れども、学ぶ道は、必ず先ず諸(これ)を心に明かにし、往く所を知り、然る後に力行して以て至るを求む。謂ふ所の明かなるによりて誠なるなり。之を誠にする道は、道を信ずること篤きに在り。道を信ずること篤くんば、則ち之を行ふこと果なり。之を行ふこと果ならば、則ち之を守ること固し。仁義忠信は心を離れず、造次も必ず是に於てし、顚沛も必ず是に於てし、出処語黙も必ず是に於てす。『近思録』61

 しかし、学問の道としては、まず道理を心得て、行き先を知ることが肝要だ。それから力行して目的への到達を求めることである。これがいわゆる明かになることによって誠になることである。心を誠にする方法は、道を信じることが篤い点にある。道を信じることが篤ければ、実践は果断になるし、実践が果断になると、道の守り方が堅くなる。そして仁義忠信の徳は心から離れず、あわただしいときにも必ず道に従い、とっさの場合も必ず道に従い、進退語黙についても必ず道に従う。61

 【コメント】<道を信じることが篤ければ、実践は果断になるし、実践が果断になると道の守り方が堅くなる」>というのは正論だと思います。

 孟子告子上篇に「仁義忠信、善を楽しみて倦まざるは、此れ天爵なり。」とありますが、忠はまごころ、信はまことであります。
 こういう教えを日常化すれば、高速道路であおり運転をするなどというバカゲタことは極めてナンセンスということが自然と分かる筈です。

 相手の人とトラブルを起こして相手に不快な思いをさせるのがいいか、仲よくして信頼関係の和を固くすることがいいかを熟考すれば、解決策は自ら出て来る筈です。

 こういう問題を円満に処理解決できないようでは真っ当な大人とは言えないでしょう。そして、トラブルを起こした後々、人生に不幸が出てくるということを教えているのは、天風師獨りだけでなく、多くの漢籍も訓戒しているところです。

 人間人様との協調が図られ、日々を上手く生きられればこれ以上の幸せはないと思います。


 昨夜の本部空手道教室も賑わいました。新しく入門した2年生・荻迫栄笑くんもみんなと楽しく和気藹々しながら、御稽古をしました。

 空手道の中身は全国何処にも負けないと思っていますので、子供たちともども修行を重ねて行きたいと思っています。ただ、突き合う、型をするだけでなく、遠い将来へ向けて、空手道修行をしてよかったといえるように指導して参りたいと念じています。

 その為には『南洲翁遺訓』と漢籍の学問に触れさせ、人格を創るための修行をすることこそ、最高の取り組みだと思います。

 今朝の読売新聞に全国の子供たちちの"いじめ"問題に言及し、些細なことでも報告するよう提起していますが、思うに、強く正しく生き抜く術をこそ教えるべきです。

 すこしぐらいのジャレアイは社会訓練の一つなのです。私の空手道教室は私が面白いことを言う物ですから子供たちはゲラゲラ笑いながら楽しんでいます。その中で人生の要諦を教えるのです。

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「西郷南洲の政治思想について」----第10回

 更に怯懦で狡猾な輩は悪と知っても、其の悪の力強しとみれば、障らぬ神に祟りなしで、当らず障らずの逃避的態度を取る。これ所謂義を見て為さざる勇無き輩である。何れも生活の真実義より観て排斥すべき心術であるが、しかも此等の者が其の良心を偽瞞する為に、おのづから平和主義無抵抗主義等の美名を以て其の卑屈な心術を粉飾することがある。彼等は依って以て良心を偽瞞するとは固より思ふまい。然しながら其の主義は行路難を踏破することなしに語られぬ。語れば要するに机上の空論に堕する。
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『不動心』(第92回)

 自分の力、人の価値に応じた人助けを
 
 そこに困っている人がいる。あなたには助力の余裕もある。彼も助けを受けるにふさわしい----こうであれば援助してあげなさい。ただ、その人の失敗が道徳的なものでなければ、そりは大した傷ではない。
 どんなに孤独に追いやられたときも、私は運に恵まれた人間であった。運命から立派な気質と正しい感情と善行を授けられる人間こそが、ほんとうの意味で、運に恵まれているといえるのだ。

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『臥牛先生遺教抄』(第50回)

 善く物を味わうるは即ち力なり。古人の行跡を書籍に見、この事はかくこそあらめ、かかる困難の地に立たば進路谷(きわ)まりしならんと、我が身に引き付けてつくづく玩味すれば覚えず涙流るるなり。又師の教えを常に考え、彼の言を実地にあつればかくなるぞと味わうれば、深く感じて涙流るるなり。目前の困る時は誰もよく味わうるも、平生書籍なり教えなりをよく味わえて、感涙流るる程にならざれば、機に応じ差し支えなく処分は出来ぬなり。時勢を味わえ天下国家を味わえて涙を流す英雄豪傑皆然り。畢竟天下国家に深切なる心より生ずるなり。 
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