咨幽閑の令淑なる、

第3879号　01.08.31（土）

咨幽閑の令淑なる、實に君子に好逑(こうきゅう)たり。玉輦(ぎょくれん)を辞して愛を割く、固(まこと)に班姫(はんき)の恥づる所なり。簪珥(しんじ)を脱して愆(あやまち)を思ふ、亦宣姜(せんきょう)の美たるなり。乃(すなわ)ち晉(しん)に禍するの驪姫(りき)、周を亡ぼすの褒姒(ほうじ)有り。妖姸(ようけん)を圖畫(とが)に盡くし、凶悖(きょうはい)を人理に極む。傾城傾國(けいせいけいこく)、昭かに後王に示さんことを思ふ。麗質冶容、宜しく永く前史に鍳みるべし。『貞観政要』328

もの静かで奥ゆかしい品位ある婦人は、実に君子のよき配偶者である。愛情を断って天子と同車することを辞したのは、まことに班婕妤(はんしょうよ)が恥としたところだからである。簪と珥とを脱して、わが罪を思ったのは、宣姜の立派な点である。ところが、晋国に禍をなした驪姫や、周を滅ぼしたほうじがある。それらの美しくなまめかしい姿はすべて絵画に描かれてあり、甚だしく人の道にそむきもとったものである。傾城傾国の美女の害は、後世の王に明らかに示さんことを思い、きりょうが良くなまめかしい美女の禍は、前代の歴史を手本として後世の戒めとすべきである。

　【コメント】我々凡人ももの静かで奥ゆかしさのある人間として成長し、世の人々から信頼される存在となりたいものです。

　今日は本部道場の空手道教室があります。子供たちには、健康で長生きをするよう心掛けてくださいとおはなしするつもりです。

　そして勤勉にして正直である自分づくりをし、警察官に逮捕されるような非違行為をしないようにとおはなしをしたいと思っています。

　連日の新聞・テレビでは会社の金の使いこみ、暴行、煽り運転など枚挙に暇がありません。悪事を働いたら人生すべてが吹っ飛ぶのです。金の不正について歳を重ねた人が犯罪に手を染めていることに対して、年甲斐もなくと残念に思います。

　何が強いといって勤勉にして真面目ほど強いものはありません。昨昨日は、荘内の中澤今日子先生からお葉書を戴きました。新潟・長岡の河井継之助記念館に行ったとして、河井継之助さんのお写真を贈って戴きました。
　
　そして私が河井継之助さんに似ていたとしてコメントを書いてくれています。大変有難いことです。

　昨日も鹿児島で煽り運転の事例が数件あったとのことです。私は金曜日、鹿児島健康スポーツランドへ行った帰り、標準速度で走っていた車の後方をゆっくりと走行しました。

　警察は性質の悪い運転手は厳しく罰して欲しいと思います。

　今日はお隣の国・香港で若者らを逮捕した警察への抗議として集会が開催されるとのことです。周金平氏も若者の言い分を聞いて欲しいものです。
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『善の研究』第３０５回

　凡て我々の道徳的判断の本は師父の教訓、法律、制度、習慣等に由りて養成せられたる者であるから、かかる倫理学説の起るのも無理ならぬことであって、この説はちょうど前の直覚説における良心の命令に代うるに外界の権威を以てした者である。
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彼の嘉會して禮通ずる

第3878号　01.08.30(金)

彼の嘉會して禮通ずる、旨酒(ししゅ)の徳たるを重んず。帰るを忘るるに至りて祉を受け、齊聖に在りては温克(おんこく)す。若し其れ酗謍(くえい)して以て昏を致し、酖湎(たんめん)して惑を成すは、殷受と灌夫(かんぷ)と、亦家を亡ぼして國を喪ふを痛む。是を以て、伊尹は酣室を以て戒(いましめ)を作(な)し、周公は邦を乱るを以て則を胎す。『貞観政要』327

かの、めでたいうたげのつどいで互いの礼を通ずるには、うま酒が大きな働きをすることを重んじる。酔って帰るを忘れるようになって幸福な気分になり、慎み深く立派な人は、酒を飲んでも穏やかである。ところが、もし酒に酔ってあばれてめちゃめちゃになり、酒に溺れて心が乱れてしまうのは、殷の紂王と漢のかんぷが、家を滅ぼし国を滅ぼすに至ったのは痛ましいことである。それゆえ伊尹は室で酒を飲んで歌うことを戒め、周公は酒によって邦を乱すに至ることを教えとした。

　【コメント】酒は人間社会にとってはなくてはならないものであります。鹿児島では仕事の疲れをなくすため、ダレヤメと呼称しています。

　酒はどんな薬にも勝ることから、百薬の長と呼ばれています。ですから酒を飲む人は、堪えず穏やかに談笑するなどし羽目をはずす事のないようにしたいものです。

　私の詩吟道の師匠であった竹下一雄先生は、毎晩焼酎一本を飲んでいたものです。そしてその時話した数々をずっと記憶していて、過ぎてから「あの時の話は」と切り出していたものでした。

　飲んで益々記憶力は優れているのでした。人格円満にして、西郷隆盛を熱愛していたのでした。今、ブログを書いている私のパソコンの前には、竹下先生と盃をやりとりする時の写真が貼ってあり、毎日、竹下先生と親しくお話しているつもりで眺めています。
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酔飽を極めて人力を

第3877号　01.08.29(木)

酔飽(すいほう)を極めて人力を刑し、痿蹙(いけつ)を命じて身の殃(わざわい)を受く。是の故に十家の産を惜むを言ひ、漢帝は以て倹を昭かにして裕を垂る。百里の囿を成すと雖も、周文は子来を以てして克く昌なり。『貞観政要』326

酒に酔いたらふく食べ人力をそこない、足なえの病気になるような大室高台を建造させて災禍を受ける。それゆえ、漢の文帝は十家の産を惜むと言って倹約を明かにし、余裕の道を後世に示した。周の文王は、百里四方の囿を造っても、庶民が子のように集まりて来て極めて盛んであった。326

　【コメント】処世に臨むに際して、「倹約を明かにし、余裕の道を後世に」示し、後々、人々が生きている喜びを味わえるようになりたいものです。

　自分一人だけ楽をし得をするようなことは永続きしないし、人々の共感は得られません。高速道路で煽り運転をするような人は、真面目に人生に生きる人々とは生きる世界を別にしているのです。

　警察庁は煽り運転をする行為には厳しい刑罰で臨むということを検討しているらしいですが、是非そのようにして欲しいものです。

　２９日、読売新聞によると宮崎暴走族は６月にも煽り運転をしていたと報じています。煽り運転を趣味にしているという人もいますが、そのように思われても仕方ないと思います。こういう人間には免許の交付は中止してもいいのではないかと思います。

　世の中は人々が共に幸せを享受するものだと思いますが、特に性の悪い人間は、天が許可しないだろうと思います。高速道路の煽り運転暴走男も文(ぶん)という人間ですが、韓国のチグハグ大統領男もブンだし、昔会社で、遊んでいるのかボーッとしている文という男もいました。

　二度とない人生なのです。共に協力しあって、おだやかに語らい、仕事を楽しくし、人様のために役立ち、それを喜びとしたいものです。

　自分が楽しむこともいいのですが、力を入れてくれたり援助した人が、楽しむ姿は美しいものです。私は６０年空手道指導をしていますが、自分のことのように修行者には手助けしています。こういう所は御人好しの父親に似ているのだろうか、と思っています。

　高校生たちが韓国で野球をするとして出発しましたが、ユニホームに日の丸とニッポンの刺繍がないというのを聞きましたが、これは異常だと思います。子供たちの競技に大人のややこしい問題は入れないで欲しいです。

　これは韓国・文氏の人格的問題から派生した部分が多々あるようです。それにしても人間の世界はややこしいですね。
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『善の研究』第３０４回

　　第六章　　倫理学の諸説　その二

　前に直覚説の不完全なることを論じ、かつ直覚の意義に由りて、種々相異なれる学説に変じうることをのべた。今純粋なる他律的倫理学、即ち権力説について述べようと思う。この派の論者は、我々が道徳的善といっている者が、一面において自己の快楽或は満足という如き人性の要求と趣を異にし、厳粛な命令の意味を有する辺に着目し、道徳は吾人に対し絶大なる威厳または勢力を有する者の命令より起ってくるので、我々が道徳の法則に従うのは自己の利害得失の為ではなく、単にこの絶大なる権力の命令に従うのである、善と悪とは一に此の如き権力者の命令に由って定まると考えている。
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『儒教と老荘』　「王道について」　第２０回

　しかし嚇としてすれば虎狼を股慄せしめる戦となる。文王の嚇怒を恐れよ。
　我らにおいても憤は大切である。憤を知ろうと思う者は、試みに孔子を叩け、三輪執斎に就け。かのダンテもまた、これを解せる人である。
　ニーチエがその「反キリスト」の中に、善とは何ぞや。すべて人間の衷に力の感、力あらんとする意志、力自体を高むるもの、悪とはすべて弱きに出ずるもの、すなわち是と叫んでおるのも、誠に我々を省発する熱喝痛棒ではるまいか。
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因って象を大壮に取り、

第3876号　01.08.28(水)

因って象を大壮に取り、乃(すなは)ち宇を峻(たか)くして牆(しょう)に雕り、搖臺(ようだい)と瓊室(けいしつ)とを將(もっ)てす、豈に畫棟(がとう)と虹梁(こうりょう)とのみならんや。或は雲を凌ぎて以て遐觀(かかん)し、或は天に通じて涼を納る。『貞観政要』326

そこで易の大壮の卦に象を取って宮室を造り、のきを高くし、壁に彩色を施し、瑤台(ようだい)と瓊宮(かきゅう)という王で飾った宮殿を造るようになり、棟(むなぎ)に画き梁を虹のように五色に色どるどころではない。あるいは雲よりも高い台を造って遠くをながめ、あるいは天まで届く台を築いて涼みをした。326　

　【コメント】「高い台を造って遠くをながめ、あるいは天まで届く台を築いて」とあるように、多くは自分の存在感を人々にも示すということなのだろうか、これは煽り運転首謀者のみせびらかしたい幼児的願望と似ているように思えます。

　これは欲望なのですが、そういった欲望を本物的に示したいのであれば、真面目に、正当に、表現することが臨まれます。

　人間だれしも人よりか優位に立ちたい、より幸せを手に入れたい、そして満足するように闊歩したいと思うものですが、そこには、誰が見ても公明正大でなければならないでしょう。そして当該本人が謙虚であるということが大事です。

　今日は、九州地方の佐賀、長崎、福岡では大雨特別警報が出されています。佐賀県武雄では寮の入居者の車と見られる１０台が水没しているのが報道されました。

　思うに贅沢三昧の日本国民に鉄槌を与えているように思うのですが、これは考え過ぎでしょうか。今朝も家内と話したのですが、私共が社会人になる頃の半世紀前に比べ、今日は、贅沢だと思うかと聞いてみました。

　何倍も贅沢が過ぎていると家内は応えました。

　昨日も書きましたが、労働組合にしても、煽り運転にしても、したい放題、いいたい放題だと思います。

　今朝の読売新聞によると、煽り運転には、厳しい罰を与える方向で検討していると紹介しています。これには大賛成です。先の高速道路で逮捕された暴走男は１０年以上の刑期を与えてほしいものだと人々は願っているようです。今のままだと、子供も、大人も、したい放題、いいたい放題で、国家的損失だと思います。
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『善の研究』第３０３回

　元来我々が実際に道徳的直覚といっている者の中には種々の原理を含んでいるのである。その中全く他の権威より来る地律的の者もあれば、理性より来れる者また感情および欲求より来れる者をも含んでいる。これいわゆる自明の原則なる者が種々の矛盾衝突に陥る所以である。かかる混雑せる原理を以て学説を設立する能わざることは明である。
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蓋し造化の至育、惟だ人靈を之れ

第3875号　01.08.27(火)

蓋し造化の至育、惟だ人霊を之れ貴しと為す。獄訟(ごくしょう)、理(おさ)まらざれば、生死の異塗(いと)有り。冤結(えんけつ)、申びざれば、陰陽の和気に感ず。士の通塞、之を屬するに深文を以てし、命の修短、之を酷吏に懸く。是の故に、帝堯は像を畫(しょ)して、恤隠(じゅついん)の言を陳(の)ぶ。夏禹は辜(つみ)に泣きて、哀矜の志を盡くす。『貞観政要』325

　思うに造物主が生育した中の最上のものは、ただ万物の霊長である人類が最も貴いものである。裁判が正しく行なわれなければ、生と死と道が異なることになる。無実の罪を晴らすことができなければ、陰陽の調和がくい違い天候が不順となる。士の幸運と不運とは、厳しい法律の施工にかかわり、寿命の長短は無慈悲な役人の手にかかっている。それゆえ、堯帝は衣冠に絵を画いて罪人に恥じさせるだけで、あわれみいたむ言葉を述べた。夏の禹王は罪人を見て泣いて、かわいそうに思う気持ちを表した。325

　【コメント】人間の処世について、基本的には、罪人と雖もあわれみ悼む気持ちになって同情してもいいですが、４０歳を過ぎた男が起す煽り運転には、同情のかけらも持ちたくないでしょう。

　人々の顰蹙をかう犯罪者まがいのことをしても、嘘いつわりを述べ、同情を買うような行為には厳しい世論を投げつけたいものです。

　車を運転中、相手の運転手が睨んだというだけで、粗暴な運転になるということは、人間の成長が見られない人の行為だと思います。

　昨日はスポーツラントからの帰り、８割の車が暴走運転をしているとみました。カゴキューの会社名を書いたトラックは暴走もいいとこでした。

　万日、事故をひき起したらその修復に莫大な費用がいるのだが、と思いながら真面目運転の後からついて帰宅しました。

　何が強いか、幸せかといって真面目程いいものはないと思います。人様との対応について、人様より一歩引いて、自ら挨拶し、良い言葉を遣い、出来る親切はしてあげて、自らは勤勉な日々でありたいものです。

　私はできるだけそのように生きているつもりです。中でも空手道場に来てくださる人には、優しさと厳しさを柔軟に使いこなしているのです。

　特別支援学級で学んでいる人には将来独立して貰わなければならないので、時には厳しく指導することもあります。人間皆、自分中心ですので、厳しい生れかたをした人には、より人間的な対応をしているつもりです。

　先般から空手道教室で形の上達度を見て、励ましの言葉とノートを贈呈することにしました。

　田上青年には、

　「基本形一番賞」として、
　
　あなたは令和元年八月八日、日本空手道少林流円心会道場において基本形一番を見事に演武されました。演武形を拝見し形の奥義を見る思いでした。空手道技術は向上しましたが、甘えの構造が見受けられますので、独立独歩の人生に臨むため、青年武道家の精神を確立し薩摩隼人の心意気を示してください。八月二十八日。

　このようなメッセージを贈りました。入門から２２年、見事な向上ぶりに感動しています。こういう事例がありますので、山口優李さんの将来像をだぶって夢見ているのです。
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『善の研究』第３０２号

　かくの如く直覚なる語の意味に由って、直覚説は他の種々なる倫理学説と接近る。勿論純粋なる直覚説といえば、全く無意義の直覚を意味するのでなければならぬのであるが、斯の如き倫理学説は他律的倫理学と同じく、何故に我々は善に従わねばならぬかを説明することはできぬ。道徳の本は全く偶然にして無意味の者となる。
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