自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

学校と除草剤

2020-06-27 | 随想

ある小学校前を自動車で通りかかったとき,そこの斜面が妙に褐色になっていました。自動車が近づいたとき,それは斜面を覆う草々であることがわかりました。ここの直接の管理者,つまり管理職が除草を簡単に済ませようと散布剤を撒いたのでしょう。

とても印象的だったので,申し訳ないと思いながら記念に数枚撮っておきました。校門階段の脇です。

 

学校を含め公共施設で敷地を管理する上で,除草作業には苦労が伴います。自分の経験では,昔からそうした作業は管理職や校務員に委ねられてきました。あるいは教育予算が許すならシルバー人材センターに作業を委託したもので,今も事情はほとんど変わらないのではないでしょうか。

人が頻繁に出入りする施設で,行き来する場所で,薬剤を散布して草を枯らすのは,わたしの範疇では禁じ手です。とくに子どもが生活する空間は厳禁です。いくら毒性が弱い薬剤だからといっても,皆無ではありません。この例の場合散布面積からすると,相当な量だと思われます。健康被害に加えて,景観維持,環境教育上も好ましくないでしょう。

わたしが現職だったときは,除草は管理職の仕事として引き継がれていました。わたしも複数の学校で草刈りを重ねました。いくらたいへんな作業でも,草払い機の維持費と燃料代以外,経費をかけるのは無理な時代でした。作業をしていると地域の人から「おつかれさま」の一声が掛かりました。立ち話もしたものです。みんなの財産を汗で守るのは管理職に課せられた当たり前の仕事で,職員がこうしたことに振り回されずに教育に専念する上でも当然だという雰囲気でした。

考えてみると,周りの水田の畔や土手はみんな手作業で定期的に除草されています。安易に除草剤を撒く人はだれもいません。だからいつも草の色。その中で学校の敷地だけがぽつんと変色しています。一定期間,草枯れ色。このコントラストは異様です。

 

学校はだれにとっても大事な公共施設。住民の血税で維持管理されている施設。そのことへの自覚がしっかりしていないと,こんな光景が繰り返されるでしょう。そうしたいのなら,なによりも地域住民の理解を得なければ……。

さて,今後取るべき話になります。教育予算に計上できるだけの理解が市町当局にあれば,シルバー人材センターに作業委託できるでしょう。あるいは,学校支援ボランティア制度を充実させて,その中で知恵を絞ればどうでしょう(わたしはそうしてきました)。さらに話を発展させれば,学校づくり協議会が設置されているのなら,そこがおおもとになって解決策を探ったらいかがでしょうか。 

まず管理責任者として改善に向け声を上げていただきたいですね。自己判断だけで動くのは禁物です。今施設を管理なさっている方にはたいへん申し訳ないと感じつつ,敢えて書かせていただきました。

 


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