自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

❜17 春,虫の目写真(23)

2017-05-31 | 生物

河川敷。ここはわたしの昆虫観察ポイント。ムラサキツメクサが群生していて,モンキチョウが産卵に訪れます。メドハギがあちこちに生えていてキタキチョウがやって来ます。川原に降りると,火打石がゴロゴロ。といっても,ありふれたチャートですが。

この日はキタキチョウの卵と幼虫探しに行ってみました。食痕を頼りに探していくうちに幼虫が1匹見つかりました。時期が遅かったようで,卵は見つからず,代わりに蛹が見つかりました。予期せぬ収獲となりました。

メドハギの茎の中ほどに揺りかご状態で風に揺れていました。地面に腹這いになり,見上げる格好で撮影しました。

 

向きを変えて撮りました。

 

 

見上げて撮りました。

 

羽化を間近に控えた個体もありました。からだが黄緑から黄へ変わっていきます。翅は濃い黄になっています。日を浴びて,一気に羽化することでしょう。

 

 

もっと下方向から見上げました。

 


田舎の風景が広がる絶好の場所です。川面を渡る風が肌を心地よくします。申し分なし。

 


❜17 ホッカイコガネ栽培記~種子を得たくて~(6)

2017-05-31 | ジャガイモ

今とばかりに花が咲き誇っています。それなら昆虫が来ているだろうと期待しながら,度々畑に出かけます。ジャガイモの来る昆虫は,花壇の花のそれと比べると数も種類もとても少ないのですが,よくよく探せば見かけることがあります。 

 

ヒラタアブのなかまは,その中でも常連です。朝,ホソヒメヒラタアブのオスが来ていました。

 

 オシベの表面を盛んに舐めていたので,口吻をなんとか撮りたいと思ってチャンスを窺っていました。そのとき,後脚がメシベの先,柱頭に接して得がたい画像が得られました。

 

ヒラタアブはそこを去ろうとせず,懸命に栄養を補給している様子。口吻は蕊の間に向かっていました。 

 

それはそれは,まことにふしぎな光景に見えました。なにしろ,レンズをぐっと近づけてもまったく無頓着なのですから。

 

おもしろいことがあるものです。このようなチャンスはほんとうに稀でしょう。脳裏にしっかり焼き付きました。 

 


❜17 ホッカイコガネ栽培記~種子を得たくて~(5)

2017-05-30 | ジャガイモ

花が咲き出したので,昆虫が来ているかもしれません。それを期待してとりあえず探しました。うれしいことに,さっそく見つかったのです。その報告をしましょう。

吸蜜に来ていたのはツヤヒラタアブのオスです。こういう場面を目撃できると,こころからうれしくなります。  

 

せっかくなので,気づかれないようにそっと近づいて写しました。しめ,しめ,気づかれていないようです。蕊に関心があるのはまちがいありません。口吻そのものが見えたらいうことなし,なのですが。 

 

近くの花にナナホシテントウの姿がありました。もちろん,アブラムシがいるからでしょう。

 

この甲虫は蕊か,花弁かをばりばり貪り食いそう。 

 

クモも目にとまりました。獲物が口にできるからです。

 

いくつかの花の塊りが虫の訪れを期待して咲き誇っています。右上には先のクモが糸を張る作業中。左下にはホソヒメヒラタアブ(オス)がいます。観察していくと,ここにも花と虫のつながりが見えてきます。

 

ジャガイモ畑でも結実前のドラマが展開しているのです。 

 


ラミーカミキリ,また

2017-05-30 | 昆虫

アゲハの庭園の雑草園にカラムシが生えています。夕方のこと,そこにラミーカミキリが一匹いました。我が家の庭で見るのは初めてです。少し暗くなりかけていましたが,なんとか写しておこうと思い画像で記録しました。さすがの顎です。

 

翌朝。見ると,まだそこにいました。陽が射しかけていた時間帯だったので,明るさを利用してカメラに収めることに。

 

きれいに晴れ渡った青空を背景に写しました。気温が低めで体温が活動領域に達していないらしく,とてもおとなしいモデルになってくれました。小さなからだでも。威風堂々としています。まことに立派です。

 

光を味方に付けると,細部が際立ちます。毛までが輝いています。

 

目を凝らすと,新しい世界がいつも拡がって見えます。

 


カラスノエンドウで見たヒラタアブの幼虫

2017-05-29 | 昆虫

カラスノエンドウにアブラムシがどっさり付いているのはよく見かける,平凡な風景です。そこに生態系が生まれ,ナナホシテントウやアリなどがやって来るのは自然の摂理です。もちろん,ヒラタアブが卵を産み付けるには格好の場所です。

そんな場所でクロヒラタアブの幼虫が,びっくりするほどたくさんいるのを見かけました。「ここにも!」「えっ⁉ そこにも!」「あっちにも!」。そんな感じです。

ちょうど獲物を口にしている個体がいました。餌場に身を埋めながら食べているというふうです。 

 

アブラムシはまったく知らないようで,ちっとも感じていないらしく,何ら慌てる様子はありません。ふしぎなほどです。

 

共生関係があるアリがいますが,とくに幼虫からの攻撃にかかわっていこうとする気配はありません。

 

アリがからだの上に乗りました。しかし,変わった事態が起こることもなし。

 

小さな世界の大きな展開はいつも刺激的です。 

 


❜17 ホッカイコガネ栽培記~種子を得たくて~(4)

2017-05-29 | ジャガイモ

本タイトルからは少しズレた番外編です。

5月22日(月)。ふと隣家の畑を見ると,ジャガイモに実が! ほとんどの花が咲き終わりかけています。その中にポツンと取り残されたように付いていたのです。品種はキタアカリ,あるいはメークインだそうです。“あるいは”というのは,混植をしているので判定ができないためです。メークインはまず結実しませんから,たぶんキタアカリなのでしょう。

 

まだありました。



5月24日(水)。6個の花が落ち,3個が実となって残りました。



今のところ,房の内1個だけが実を付けています。確率から見ると,ずいぶん少ないといえます。 

 

5月26日(金)。よく見ていくと,まだまだありました。驚きです。やはりキタアカリだと思われます。すべてを写真でご紹介しましょう。

 

 

植えたと思われる種イモの数からすれば,結実率はホッカイコガネのそれには遠く及びません。なにしろ,ホッカイコガネの場合は100%なのですから。それでも,かなり実がなることがわかります。隣家の方には,「このままおいていて!」とお願いしておきました。

 


やーっ,オトシブミ!( 続々)

2017-05-28 | 昆虫

オトシブミがゆりかごを作っている途中のこと。そこで交尾をしている場面を見ました。それでいつもの好奇心が湧いて来ました。どんなふうにしてゆりかごを完成させるのか気になり,部屋に持ち込んで観察することに。

 

 

交尾を終えたあと,オスはその場を去り,メスが残りました。メスは葉の付け根辺りに移動したり,下に戻って来たり。さて,ゆりかごを作るのでしょうか。

 

そうして産卵をするポーズをしました。「しめた!  産卵の瞬間だ!」。そう思いましたが,この後の推移は意外でした。

 

そのままオトシブミはどこかへ消えていなくなったのです。居心地が悪くなったとでもいうのでしょうか。そうなら,「ごめんなさい」と謝るしかありません。

せっかくなので,巻き始めた葉の中を見ることにしました。ところが,そこに卵は見当たりませんでした。どうも産卵のポーズだけだったようで,産み付けられてはいませんでした。残念!

 

オトシブミの巣の作り方についてもっと知りたくなりました。例えば,メスが作るのか。例えば,作る途中で交尾をするのか。例えば,どんなふうに葉を筒状にしていくのか。そうしたことはすでに児童書でも取り上げられています。近いうちに図書館に行って探してみようと思います。一つの事実から発展的に物事を紐解いていくことで手掛かりが蓄積でき,小さな世界のふしぎが次第に見えてくるのでは? 

 


ギンリョウソウの花(続)

2017-05-28 | 

日が経ち,ギンリョウソウの地上部が枯れて倒れました。子房の中はどうなっているのでしょう。それを確認するのはたのしみです。 

 

さっそく調べることにしました。水分が減り子房全体が萎れています。

 

縦方向に割ってみました。裂ける感じで簡単に割れました。中には,白くて透明感のある粒が無数に詰まっています。これが熟して種子になるのでしょう。 

 

拡大して見てみると,ほんとうに無数あります。

 

縦にうまく割れるのは,部屋がきれいに並んでいるからです。輪切りにした断面を見ると,種子の赤ちゃんが中心から放射状に並んでいるのがわかります。部屋の壁は厚く,それぞれに黒点が一つ見えます。 

 
これが熟するには,まだまだというところです。熟しても,発芽する確率はごくごく小さいはず。それが現実です。観察して初めてわかった事実がいっぱい。 

 


コムギとナナホシテントウと

2017-05-27 | 生物

間もなく季節は麦秋。田ではムギが色づきかけました。穂を見ているうちに目にとまったのがナナホシテントウの幼虫や成虫。ふしぎにも,あちこち,そこかしこにいるのです。

 



成虫と幼虫がお隣り同士で。



蛹ですが,……。 



おやおや,これはどうしたのでしょう。蛹になった途端に何かに襲われたのでしょうか。うまく蛹化しなかったようです。

 

ナナホシテントウを見かけるということは捕食対象のアブラムシがいることを物語っています。アブラムシは麦の葉汁を吸って枯らす,農家にとってはやっかいな害虫なのです。つまり,テントウムシは益虫というわけです。

生態系はテントウムシで完結するわけではありません。テントウムシはカエルやヘビに捕食されます。カエルやヘビは鳥が狙っています。田舎ではサギ類が田にいる風景は日常的です。



生きものは他の生きものとの関係,つながりの中で考えていかなくては生態系が見えてきません。コムギのいのちから始まり,アブラムシのいのちが鳥のそれに収れんしていくとは大きな話です。

 


ムラサキツユクサとヒラタアブ

2017-05-27 | 昆虫と花

自宅近くの水田の片隅。そこにムラサキツユクサが生えていて,雑草にからまれながら花をいくつか付けています。花の数が少なく,紫色の花が少ない今だけに,昆虫から見れば目立つのかもしれません。早朝からヒラタアブのなかまが訪れていました。

 

ホソツヤヒラタアブです。葯にある花粉を一心に舐めています。 

 



別の個体も同じ。口吻をペタペタと付けています。 

 



前方から撮りました。

 

メシベに後脚が乗っています。受粉に貢献していることが窺えます。花の作戦は見事に当たりました。 

 

 

一つの花になんと二匹も! 彼たちには上等の餌場といえそう。

 

ヒメヒラタアブではないでしょうか。レンズをうんと近づけても一向に気にする気配がありません。

 

 

フタホシヒラタアブもやって来ました。 



ゆっくり観察させてもらえ,感謝。