ワールドトレードセンター、メモリアル

（前回のつづき）
ガラスの球体の中を、怪獣やスノーマンやMacy'sと書いてある星などが、舞い落ちる人工雪をかきわけてオルゴールの音色とともに回る風景は、夢のような幸せに満ちている。

パレードに動物たちが欠かせない──なにしろ年によっては「ピカチュー」だったこともあるそうだ──のは、1924年の最初のパレードで、ニューヨークの名物動物園「Central Park Zoo」から生きた動物たちを借りてきて、一緒にパレードしたかららしい。ちなみにセントラルパーク動物園がどういう動物園かについては、川端裕人著『動物園にできること』（文春文庫）に詳しい。

あの9/11の事件以来、たぶん自宅用お土産としてウチへやってきたオルゴールは、しかし、ニューヨーク旅行のというよりは、かつてWTCというツインタワーがあって、それはニューヨークという街の欠かすことのできない一部だったのだということのメモリアルになっていった。それにしても、あんなことになるとは。私たちはこのオルゴールのことを、しばらくは誰かに語る気も起きなかった。

「ほら、やっぱり買ってよかったじゃないか」
スノーボールを買うと強く主張した夫がそう言うようになったのも、つい最近のことになる。

それで一体、あれから、ニューヨークはどうなっただろう？

そこで私は、Google Street Viewという新しいツールで、いざニューヨークを再訪することにしたのである。



[ニューヨーク2000年滞在記、WTCツインタワーがあった頃。]
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 |