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ぽかぽか春庭「ひまわり花言葉と国花」

2017-06-25 00:00:01 | エッセイ、コラム
20170625
ぽかぽか春庭ことばのYaちまた>花の絵、花の名(8)ひまわり花言葉と国花

 2012年8月の「ひまわり蘊蓄」を再録しています。

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2012/08/23
ぽかぽか春庭ことばのYa!ちまた>ひまわり蘊蓄(4)ヒマワリ花言葉、誕生日の花・国の花

 1年365日に、それぞれの「誕生日の花」があります。9月の私の誕生日に当てられているのは、ピンクの秋桜。コスモスも色によって日にちが違うみたいです。

 8月5日、8月17日の誕生花が「ひまわり」です。日付には諸説あるのですが、8月5日生まれの人や8月17日生まれの人にヒマワリの花を贈るのもすてきなプレゼントですね。

 さて、オランダといえばチューリップが思い浮かびます。タイを訪れたときは、タイの国花というナンバンサイカチの花(ゴールデンシャワー)が町中に咲き誇っていました。ゴールデンシャワーの黄色は、王室を象徴する色でもありました。
 国花とは、その国を象徴する花であり、慣習的なものも混じり、諸説あります。日本の国花と言われているのも、桜が代表的な花ですが、皇室の紋章から菊が国花という説もあり、別段法律で決められているようなものではありません。

 ひまわりを国花にしている国として知られているのは、ロシアです。17世紀以来、ロシアでは食用のヒマワリ栽培が盛ん。ロシアでは、国を代表する花としてヒマワリが人々の脳裏にうかぶのでしょう。ただし、ロシアの国花は、もうひとつカモミールの花もあります。

 ヒマワリの花言葉は、いろいろあります。
 「崇拝」「熱愛」「光輝」「愛慕」「あこがれ」「私の目はあなただけを見つめる」「いつわりの富」「にせ金貨」

 「いつわりの富」「にせ金貨」という花言葉がある、というのは、伝説によるそうです。
 ヒマワリは、古代インカ帝国でも国を代表する花でした。インカはケチュア語で「太陽」の意。現在のペルーの首都クスコは、ケチュア語で「宇宙のへそ」を意味するのだとか。宇宙の中心地がクスコであったのです。
 皇帝は太陽神の子孫とされ、黄金とヒマワリによって太陽を象徴していました。ただし、現在ペルーの国花とされているのは、カンツータと呼ばれる赤い花です。

 インカ帝国があったペルーでは、ヒマワリは太陽信仰と結びついて、神聖な花として崇拝されていました。神殿に仕える乙女たちは、黄金で作られたヒマワリをかたどった冠をかぶっていたそうです。しかし、スペイン人の侵略のため、黄金のヒマワリの花が奪われてしまったため、ヒマワリはニセ金貨と呼ばれるようになったのだとか。

 これがペルーの伝説なのかスペインの伝説なのか、はたまたどこかでいつのまにやら作り出された伝説もどきなのかはわかりません。スペイン人がヒマワリの形の金冠を奪ったらヒマワリが「ニセ金貨」になってしまうというのがどうも腑に落ちないので、この伝説の出典を調べたのですが、確かな出典はどこにも書いてないのです。

 学生には「誰かの説を紹介するときは、必ず出典を明記せよ」と日頃言っています。
 ですから、「インカの乙女のヒマワリの冠」について、出典を書きたいと思って探したのですが、みな「インカの乙女がヒマワリを象った純金の冠をかぶっていた」という話をコピーしているばかりで、どの本の何ページに書いてあったかという出典がないのです。

 これを書いていて、子どもの頃、「インカ帝国探検記」の類の本を読んで影響を受け、「インカの乙女」というお話を作ったことを思い出しました。
 読んだ本は泉靖一(1915-1970)の『インカ帝国』(1959岩波新書)。小学校低学年のころは、アンデルセンやラングのような童話作家になって世界中のお話を集めるのが将来の夢でしたが、高学年になると、スタンレーのようなジャーナリストになってアフリカ探検家になるのが将来の夢になり、『インカ帝国』を読んでからは考古学者になってインカ探検をするのが夢になりました。20歳からは文化人類学者になって奥地研究をするのが夢でした。結局はじめて海外へ行ったのは、30近くになってからのケニアでした。
 子どもの頃作ったお話は、小さなノートに書きためて、今も持っています。

 私が作り出したインカの奥つかたの国では、染め物が知られていませんでした。人々の着る衣服は、すべて白い色をしていた、というのが私の考えたインカの国の暮らし方。
 白い服に、頭には冠を被っていて、冠の形によって出自身分がわかる。インカの神に仕える乙女の冠はヒマワリの花の形。
 皇帝のみが色を染めた衣服を着ることができました。皇帝の衣裳は、大陽の子孫であることをあらわす赤です。

2012年4月開催の「インカ・マチュピチュ百年展」ポスターより、副葬品の衣裳とインカ皇帝肖像


 染め物は、大陽神殿に仕える乙女の秘密のしごと。乙女はサボテンを栽培し、サボテンにつく虫を育てて、虫から染料を取り出しました。この染料は門外不出で、神殿の外に知られてはなりませんでした。
 この虫からとれるのがコチニールという染料で、虫とは貝殻虫、臙脂虫のことだった、とは、後年知ったこと。子どもの頃は、「インカ帝国」などの本で知ったインカの赤い染料のことのみ知識を持ち、染料の詳しいことなど知らずにお話を作っていました。

 神殿に仕える乙女のひとりが、王宮警護の若者と出会い、恋をする、そんなお話を作って、姉や友だちに聞かせていたことを思いだしたのです。女の子が考えそうな単純なお話です。

 「インカ神殿の乙女が、ヒマワリを象った黄金の冠を被っていた」というのは、インカ王宮遺跡の壁の彫刻に刻まれていた、ということなのですが、どこの遺跡のどの壁の彫刻であるのか、はっきりわかりません。2008年に行われたシンポジウム「日本古代アンデス考古学50周年記念」の報告や東京大学大貫良夫教授のアンデス学術調査の報告を読んでも、「手を交差させた彫刻」発見の報告はあるけれど、黄金冠の乙女の報告はない。もし、発見されていたなら、以下のページなどに掲載されるのではないかとおもうのですが。
http://www.um.u-tokyo.ac.jp/exhibition/2011Alpaca-Algodon_description_04.html
 
 出典を探しださなければ、安心して「インカの乙女のひまわりの冠」と書けないのが、私の性分。子どものころの「お話」なら自由な想像でよかったのですが。

 スペインの侵略者たちがインカ帝国から奪ったのは、数々の黄金製品だけではありませんでした。上に記した染料、コチニールもスペインが独占しました。スペインは、この秘密の染料を西欧に持ち帰って売りさばき、巨額の冨を得たのです。

<つづく>

2012/08/25
ぽかぽか春庭ことばのYa!ちまた>ひまわり蘊蓄(5)ひまわりの種類とネーミング

 ヒマワリの種類
 観賞用のひまわりは、花びらが大きくて、真ん中のタネの部分が小さい。切り花用には、背が低かったり、花が小さい矮性のものもあります。
 油をとるための種類は、タネが大きい。ネーミングは、「食用ヒマワリ」と、そのものずばり。あまり芸のない直球ネーミングですね。わかりやすいけれど。

 3メール60センチにも伸びていく「スカイクレイパー(高層ビル)」という種類もある。

USAミネソタの農場で暮らすJesse父子とスカイクレーパー(Lynelさんの「Just Two Farm Kids」というサイトから拝借)
http://justtwofarmkids.com/2010/08/10/skyscraper-sunflowers/

 バラの新種ネーミング、有名人の名をつけたバラが多く、薔薇園でひとつひとつの名前を見て歩くのは楽しいですが、ヒマワリは実用本位なわかりやすいものが多いです。
 女優の名をつけるなら、「ソフィアローレンのヒマワリ」「夏目雅子のひまわり」など、いいかも。春庭は、、、春っぽいから、ヒマワリのネーミングには向きません。   
 「ゴーギャンのヒマワリ」という種類もあるし、「ゴッホのヒマワリ」「モネのヒマワリ」という種類もある。「マティスのヒマワリ」は、ほとんどタネがないって感じ。日本の画家だと、「岡本太郎のヒマワリ」があったらいいな。爆発しそうな花びらのひまわり。

「ゴッホのひまわり」と「ゴッホのひまわりのひまわり畑」
   

左「モネのひまわり」と、右「マティスのひまわり」
   
      
http://www3.cty-net.ne.jp/~fumifuji/kinds.cgi      
 このページ「ヒマワリ百選」のひまわりの種名をクリックすると、どんなヒマワリなのか、写真がでてきます。

 「インディアンブランケット」のように、見ただけではヒマワリには思えないものもあるし、カラーファッションは、花びらの色が濃淡くっきり二色あるものも。
インディアンブランケット

 百種類のヒマワリを楽しめます。以下、ヒマワリの種類を上記HPからコピー。 
・ア行
アイスクリーム/アースウォーカー/アプリコットツイスト/アボガニーベルベット
イカルス/イスラエルひまわり/イタリアングリーンハート/イタリアンホワイト/イブニングサン/インディアンブランケット/インフラレッドヴェルサイユ
エバーアンディープイエロー/エバーサンハイブリッド/エリートサン/エルサレムゴールド/エルサレムサンライズレモン
オータムオーラ/オータムビューティー/オーラ/オレンジマホガニー
・カ行
かがやき/カクンバーリーフ/カラーファッション/カルメン/
ギャラクシー/ギンガー
クラウン/クラレット/クリムソンクィーン/グロリオサ・ポリーヘッド/
黒竜/ゴーギャンのひまわり/ココア/ゴッホのひまわり/小夏/ゴールデンアイ/ゴールデンチアー/ゴールドラッシュ/コング/コンステレーション
・サ行
サニーハイブリッド/サマーサンリッチパイン/サマータイム/サマーチャイルド/サンゴールド/サンシード/サンシャイン/サンステーション/サンスポット/サンスポットドワーフ/サンダウン/サンダウン ハイブリッド/サンダンスキッド/サンチャイルド/サントノーレ/サンビーム/サンブライト/サンブライトスプリーム/サンリッチオレンジ/サンリッチオレンジハイブリッド/サンリッジフレッシュオレンジ/サンリッチマンゴー/サンリッチレモン/サンリッチレモンドワーフ/サンリッチレモンハイブリッド
ジェード/ジャイアント/ジャイアントサンゴールド/ジャイアントサンフラワーミックス/ジャイアントマンモス/シャイン/ジャミードジャー/ジャンボひまわり/ジャンボリー/ジュニア/ジュリアナ/ジョン/ジョーカー/ジョーカー ハイブリッド/食用ヒマワリ/ジンジャーナット
スカイスクレーパー/スターバーストダンディー/スターバーストブレイズ/スターバーストレモンオーラ/ステラゴールド/ストロベリーブロンド/スパーキー
ゼブロン
ソニア/ソーラーエクリプスハイブリッド/ソラヤ/ソンヤ
・タ行
大雪山/タイタン/太陽/ダークレッドビューティー/ダブルシャイン/ダブルダンディー/タラフマラ
チトニア/チョコフレンド/チョコフレーク/ティファニー/テディーベア/テラコッタ
東北八重/ドワ-フイエロ-スプレ
・ナ行
のぞみ
・ハ行
バイセンテナリ/パイン/バレンタイン/パシノ/パシノゴールド/パティオ/パナシェ/パナシェスターバーストハイブリッド/バニラアイス/パール/ハロー/
ピグミ・ドワーフ/ピーチパッション/ビッグスマイル/ピノチオ/ヒメひまわり
ブラックオイル/プラドゴールド/プラドレッド/プラドレッドシェード/ブリリアンス/プレミアライトイエロー ハイブリッド/フロリスタン/フロレンツァ/フルサン
ベルベットクィーン/ヘンリーワイルド
ホリデー/ホワイト
・マ行
マジックラウンドアバウト/マティスのひまわり/マンチキン
ミニひまわり/ミラクルビーム/ムーニー/ムーランルージュ/ムーランルージュハイブリッド/ムーンウォーカー/ムーンシャイン/ムーンシャドウ/ムーンブライト/ムーンライト
メキシコひまわり/モネのひまわり
・ヤ行
八重ひまわり
<ラ行>
リトルドリットハイブリット/リングオブファイアー/
ルナ/ルビーエクリプス
レッドサン/レッドベルベット/レモンオーラ/レモンクイーン/レモンエクレア/レモンエクレアスターバースト
ロシア

・a-z行
GIGANTEUS
Incredible
Magic Round
Biout
Mammoth Gray Stripe
Maxmillian
Nadezhda
Royal Flush Hybrid


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20170625の付け足し
 ひまわりの絵。私が描いてもひまわりはひまわりだとわかる絵になるのですが、ゴッホ以後の画家にとって、ゴッホ以上に個性的で強烈なひまわりというのはなかなか難しい課題になるのではないかと思います。ゴッホやゴーギャンの模倣になるのもつまらないし。
 日本画家片岡球子のひまわりと、前衛画家草間彌生のひまわり、なかなか個性的かつ強烈でいいんじゃないかしら。

片岡球子「ひまわり」


草間彌生のひまわり



<つづく>
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6 コメント

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ひまわり 侮れず! (すみとも)
2017-06-25 09:43:07
100種類も有るのですね~!!!
今日は雨・・・ゆっくりと楽しませていただきます^^
返信する
すみともさん (春庭)
2017-06-25 12:45:24
100種類ものひまわりがあること、私も2012年にひまわり蘊蓄を調べて知りました。
食用、観賞用、いろんな用途があるからさまざまに種類が増えたのでしょうね。

南北アメリカ大陸に野生種のひまわりも残されているようです。

すみともさんのお好みの種類、ありましたか。
返信する
ああ ひまわりって (yokochann)
2017-06-25 21:37:13
やっぱりひまわりって・・・・。
ゴッホのひまわりは狂気を感じるものね。
他の絵もそうだけれど。
でも、あの魂の叫びみたいなものがあまりに強烈で、それが魅力でもあるのだろうけれど。

玩具で踊るひまわり、みたいなのあるでしょ?
顔が描いてあったりして・・。
あれなんかも、けっこう怖い。
ひまわりには明るさと強い生命力を感じる。
もしかしたら、あの強い生命力が眩しくもあり怖くもあるのかなあ。
(でも体感的にはあの種のあるところが苦手^^)
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草間さんのひまわり、らしいなあ。 (くちかずこ)
2017-06-25 23:00:37
みんな違ってみんないい。
自分のひまわりがあるってことですね。
くちこは押し花で作りました。
くちこ的大事な要素は雲の存在でした。
いろんな巨匠が描かれているひまわり、
何か独特の魅力があるってことですかねえ。
返信する
yokoちゃん (春庭)
2017-06-26 23:04:35
ひまわりのタネのところのツブツブ感がいやなのかもね。私はゴーヤをナイチの八百屋で売り出した頃、あのつぶつぶ突起がダメでした。今は平気で食べています。苦いもんが好きだから。

強烈なエネルギーを放出する存在、人間も花も、そのエネルギーに対抗し続けるには、こちらが疲れてしまうこともあります。
私にはそれは赤いカンナだけれど。

花のエネルギーに負けないよう、心身鍛えて老後をむかえましょうね。
返信する
くちかずこさん (春庭)
2017-06-26 23:18:56
ぱっと一目見て、この絵の作者は○○と見る人に思わせる独特な描き方、草間彌生のひまわりも独特ですね。

押し花絵もとてもすばらしい作品に仕上がるくちかずこさん。今年の夏はひまわり押し花絵がお宅に飾られるでしょうか。
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