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ぽかぽか春庭「アルミ貨ほどの勤労感謝の日」

2017-11-23 00:00:01 | エッセイ、コラム
20171123
ぽかぽか春庭日常茶飯事典>2017十七音日記11月(6)アルミ貨ほどの勤労感謝の日

 「総務省統計局労働力調査」というのがあるんですね。初めて参加協力しました。全国で2万世帯が抽選され、協力要請を受けました。出さなくてもいいみたいだったけれど、一応正直に我が家の実態を書いて提出。1ヶ月ごとに3回連続の調査だそうです。

 協力のお礼に、最初はシャープペンシル、2回目はハンカチが謝礼として封筒に入っていました。
 1週間に何日何時間働いたか、とか、どんな仕事内容かなんぞと記入していきます。
 記入してみると、我が家、あまり勤労を感謝されるような家でない。

 敬老の日は年寄りを敬うのだろうし、体育の日はスポーツやったらいいし、やることがはっきりしている祝日に比べて、そもそも、勤労感謝の日は、なんだか祝っているようないないような。

 勤労感謝の日を戦前のように新嘗祭に戻そうとか、文化の日を明治の日にしたいとかいう人々へ。祝日の名称だけを戦前に戻しても意味ない。
 今や農業就業人口は全人口の1%。祝日を昔に戻す前に、農業人口を昔のように、総人口の80%に戻す努力なんぞしてはいかがか。そしたら、勤労感謝の日なんぞという浮き足だった祝祭日じゃなくて、「五穀豊穣祭」でも「稲作感謝祭」にでも、新嘗祭でも、豊作を祝うべし。
 日本の人口1億2千万人のうち、農業就業人口は、180万人。うち、65歳以上が120万人。(農林水産省統計部2017年概数値)

 縄文時代は、おおよそ1万5,000年前から約2,300年前くらいまで、1万年以上、日本列島にさまざまな文化の痕跡を残しました。
 クリやどんぐり、クルミの豊作を祝い、粟や稗などの雑穀が実った秋に、収穫を祝って縄文時代の村々は醸した酒を酌み交わし、縄文の神に収穫を感謝したでありましょう。

 土偶の使われ方には諸説ありますが、縄文のビーナスのぷっくり膨れたおなかを見ると、生産再生産への祈りが感じられます。
 私、仏像も好きですけれど、土偶はもっと好き。たぶん、私の血の中には縄文人DNA成分が多く残っているからじゃないでしょうか。ナッツ類、クルミ、クリ、アーモンドなんぞが大好きです。

 稲作の時代になれば、人々はイネの神に祈りを捧げました。
 万葉集巻十四の東歌には、稲の実りを祝う「新嘗の祝い」が詠まれています。

(巻14-3460 東歌)
多礼曽許能 屋能戸於曽夫流 尓布奈未尓 和家世乎夜里弖 伊波布許能戸乎
誰ぞこの 屋の戸を押そぶる 新嘗に 我が背をやりて いはう この戸を 
  「いったい誰でしょうか、この家の戸を押しゆすっているのは。夫を外に追いやってニイナミをことほぐために、私が身を清めているこの家の戸を」

 豊作を感謝し、家の刀自は夫を外に出し、潔斎をして収穫への祈りを捧げようとしています。そこへ無粋にも戸を押し開けようとするしているのは、いったいどこの誰やら。夫が家の中にいないことを承知の上の誰かなのかしら。
 家の祝祭を取り仕切り、豊作を招くのはこの私よ、という誇りも感じられるし、「夫がいない家に入り込もうとする者がいるのは、私が目当てなのかしら」という、ほのかな自信もにじみ出ているように感じます。豊作を祝う心の余裕から出た自信でしょうか。

 飛鳥時代になると、天皇家はこれらの収穫の祭り新嘗祭を宮中行事として取り込んでいきます。天皇家の大和支配の基盤は稲作ですから、収穫祭は大事なものとなりました。
 それから1300年後の日本。
 宮中では今年も新嘗祭が粛々と行われたのでしょうが、春庭にとっては、「私の勤労を誉められもせず苦にもされず」と、何もしない休日。
 
 アルミ貨ほど身軽し勤労感謝の日>香西照雄
 勤労感謝の日も軽く、一円玉ほどの重みしか与えられない己の労働。軽く扱われるままに働き続けても、だれに感謝されるのやら。
 勤め人として日々勤労に励んでも、月給袋にはアルミ貨しか入っていないようにしか感じられない。
 「労働の重み」など忖度もしてもらえない身分である。それでも世の働く人々に感謝し、己がしがらみなく働ける身であることに感謝する。アルミ貨ほどの身ではあるけれど、今日も明日も勤労に励む身であります。

 春庭の娘、昨年大病をして、現在も「健やかにすごす」ことを生活の第一番の目的にして暮らしています。
 家では好きな手仕事。刺繍とか、藤蔓細工なんぞをしています。ときどき東急ハンズの手作り教室に出かけて、染め物をしたり革細工をしたり。家の中でチマチマやれる刺繍などに比べて、革細工などは、大きな作業台も必要だし教室に参加する方が効率よく作業が出来るのだそうです。

 できあがった作品のプレゼント先。「一番喜んでもらってくれたおばあちゃんがいなくなったから、作品プレゼントの相手がむずかしい」と、言います。素人の試作品ですから、まだまだ下手くそだし、下手な手作り品を喜んでくれるのは、身内くらいだということはよくわかっている娘。今はほとんどを私にくれます。

 21日火曜日に東急ハンズで仕上げた革製品。通帳入れというのですが、私は日頃通帳は持ち歩かない。「じゃ、領収書入れとかチケット入れとか、何でもいいから使って」という、押し売りならぬ押しプレゼントでもらいました。何を入れたらいいか思案中。

 現代の勤労は、なにがしかのお金を労働の対価としてもらわないと働いたことにならぬので、労働力調査の娘の欄には「家事従事」としたのだけれど、今は家事よりも自分を労ることが仕事。手仕事を楽しみつつ、身をいたわってほしいです。

<つづく>
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6 コメント

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Unknown (yokochann)
2017-11-23 07:44:24
春さん、いつもお疲れ様です♪

労働とは何か、仕事とは何かを考えた時もありました。
「勤労の権利と義務」
さて、私は憲法に反しているのでしょうか~~。

労働により私の年金を支えて下さる全ての方に感謝です(笑)。
返信する
yokoちゃん (春庭)
2017-11-23 11:13:03
年金を受けている私のクラスメートたち。夫は教育委員会の管理職、妻は校長で退職したなんていう夫婦の年金額、聞いてびっくりの共済年金。
私と働いてきた年数は同じでも、なんとまあ国民年金との格差に涙も涸れる。この先も働いていかなければならない我が身にまた涙。

yokoちゃんは、これまで働き続け積み立ててきた結果の年金ですから、暮らしを大事に無駄遣いなんぞない生活がもう2年たちましたね。
若い世代が退職者の年金を支えると言っても、我が家なんぞワケー衆ふたりともあんまり支えるお役にたっていませんで、申し訳ない。
息子、一応国民年金を毎月払っているのですが、自分たちが高齢者になったときにはもらえる分がないことも承知しているみたい。
私はまあ、父の世代が働いたなりにもらえたからいいかな、と諦めの境地。
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Unknown (すみとも)
2017-11-23 17:01:15
「総務省統計局労働力調査」って 全国でたったの2万世帯なのですか!! 我が家も当たりましたよ!
地域によって 謝礼が違うのですね。 こちらは食品フリーズ用ビニール袋が2枚 2回目は礼状1通!
ですよww 本当に今年は当たり年のようですww
宝くじ買った方が良いかも~ この頃は宝くじ買う余力無しだったのですがww 
  
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すみともさん (春庭)
2017-11-24 07:29:52
ビニール袋2枚の謝礼って、「ほんの気持ちです」にもならんですね。
東京の謝礼タオルハンカチ、我が家では役にたちそうです。
息子が「来年1月の父誕生日に、僕からのプレゼントっていうことにする」と、とっておいて流用することになりましたから。
父の労働力、「景品のタオルハンカチ」ほどであると息子に認定され、めでたしめでたし。
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お早うございます (ほうせん)
2017-11-24 07:54:30
勤労感謝の祭日は、中之島で労働者の集まりがあり、勤務している人達で抽選をして、仕事から解放されるのが楽しみだったことを思い出しました。

市から総務省統計局労働力調査票が届いた際は、協力お願いします。との張り紙がありましたが届きませんでした。
お嬢さま、体調を崩されておられても、手仕事を楽しまれ、お母様にプレゼント。
勤労感謝では?
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ほうせんさん (春庭)
2017-11-28 04:26:48
ほうせんさんも長いこと勤労者として過ごしてこられたのですよね。
勤労感謝の日のつどいに参加する役は抽選でしたか。

主婦の仕事、「無償労働」として扱われてきました。家事ヘルパー、育児係として賃金が発生すれば、年収○○円、などと計算すると、おおよそ300万円なんですって。

これって、評価価格が高いのか低いのか。シングルマザーでがんばっているママさんたち、家事も育児もひとりでこなして300万より低い年収の人いますから。

娘は、給料のもらえる仕事はしていませんが、我が家にとっては、家族の要であり、家内を明るくしてくれるかけがえのない存在。娘が明るく楽しく過ごせる家庭であってほしいと思っています。

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