saderのエッセイ館

saderは自然の中を旅するのが好きです。
四季折々自然が持つ“蠱惑の魅力”を『エッセイ館(やかた)』へとどけます。

「月出の里」から三峰山へ

2020-05-25 15:52:31 | Weblog
三峰山は「霧氷の山」として知られているが、初夏、ヤマツツジとシロヤシオが同時に咲き、絶景となることは、あまり知られていない。5月20日(水)そんな絶景を求めて、人影薄い三重県側「月出の里」経由、「ゆりわれコース」登山口から三峰山を訪れました。
三重県側の登山口は、どのシーズンでも静かな山歩きができるが、コロナウイルスの影響で自粛する人も多いのだろうか、「新道峠コース」駐車場には3台しか駐車していなかった。
「新道峠コース」を見送り、「ゆりわれコース」登山口の駐車場へむかう。以前の「ゆりわれコース」駐車場は工事中で通行止めになっているが、その50㍍手前の広場が駐車可能になっている。高見山から伊勢辻山にかけての台高山脈稜線が一望できる広場には1台の車も駐車していませんでした。広場から林道を斜め前方へ横断して、標高740㍍の「ゆりわれコース」登山口へゆき、よく整備された登山道にはいる。
道は、全体的に緩やかで枝道や分岐もなく、迷うことはない。道の傍に“小さな町(1丁=109㍍)標識”が1町ごとに立てられている。登山口から、しばらくは人工林の中だが、やがて雑木林が混在するようになる。
人工林をぬけ、雑木林になると倒木の手前に‟十町の標識“と「登山口へ1100㍍」「山頂へ1700㍍」の道標がある。新緑が清々しく心地よい雑木林の山腹を絡み登ってゆくと、転石と岩屑が多い九曲折れの道になる。振り返れば落葉松と雑木の疎林に‟関西のマッターホルン“高見山が垣間見られた。
転石と岩屑が多い九曲折れを過ぎると、太いブナの木が見られるようになり、林床にバイケイソウが一面に茂る山腹を斜上する。やがて馬酔木が足元に張り出した中を通り、ヤマハハコやトリカブトかガレ地に若葉をひろげる山襞を回り込めば、新緑の梢の向こうに180度の展望が開け、八丁平への緩やかな尾根にのる。
イタヤカエデの木の間からナカノ谷を挟んで、美しい三角錐の平倉山を眺めゆけば、道の周囲はヤマツツジとシロヤシオの林になる。例年なら満開の花に包まれるが、今年は少し開花が遅れているようでした。シロヤシオも裏年だろうか?花の数が少ないように思えます。広々とした八丁平に人影は無く、三峰山山頂(標高1,235㍍)近くで2人にすれ違っただけでした。
八丁平は風が強く、雲の流れも速いので陽が射したり陰ったり。空模様は激しく変化しましたが、眼下に飯高の町を俯瞰し、台高山脈や大峰山脈が果てしなく連なる素晴らしい眺めがひろがっていました。(小さい写真はクリックで拡大します)

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葛城山麓公園から大和葛城山

2020-05-22 11:56:59 | Weblog
5月10日(日)のRevengeと言う訳ではないが毎年、一度は訪れる葛城山のツツジなので花の咲き具合、今年はどうなのだろう?と、やはり気になり、熟年登山者には些かハードだが、人様の邪魔にならない様なコースを選んで登ることにして、5月12日(火)ドイツシャクナゲが満開の葛城山麓公園から大和葛城山を往復しました。
葛城山麓公園駐車場から管理棟と墓地の間の道をあがり、葛城山麓公園を一望するバケツ棚を右にみるところまで来ると、正面に獣除けゲートがある。ゲート左側にある小さな出入口から入ったら、左へカーブする舗装林道を道標がある分岐までゆき、左の登山道を選ぶ。
林道を離れ、山道に入るとアオキが下枝を張り、足元の邪魔をする。木の間に下の墓地を垣間見えるあたりの左側に石積みが残っている。このあたりから道は傾斜を増してゆき、U字にえぐれた歩きにくい箇所が現れはじめる。
薄暗い尾根を絡むように登って行くようになると右に岩塊が現れる。「近鉄忍海」の道標や現在位置を示す平仮名文字の標識を拾い進むめば笛吹山(標高568㍍)に着く。樹林の中、展望は得られないが、何やら曰くありげな山名である。
30年以上も前になるが、『奈良県の山』の取材で忍海登山道を千年寺の方から歩いたとき、帰りに山麓の笛吹神社・別名、葛木坐(かつらぎにいます)火(ほの)雷(いかずち)神社(じんしゃ)に立ち寄ったことがある。
この神社、笛・音楽の神様(天(あめの)香(か)具(ぐ)山彦(やまひこ)尊(のみこと)が祭神)が祭られ、創建は神代(かみよ)とも神武天皇の御代とも伝えられる。崇(す)神(じん)天皇(てんのう)の頃には記録が残るというから、およそ1,400年の歴史があることになり、宮司は80数代続くという持田家が務めていた。笛吹山の山名は、これと関係があるのかも知れない。
 笛吹山を離れて、さらに続く人工林の尾根をくだり、山腹をからみ登る道はU字にえぐれた箇所が多い。小さな起伏を幾つか越え、林(りん)床(しょう)に‟ビシャコ”が茂る尾根にでたところで、丁度、咲いたばかりの‟花筏”をみつけた。よくみると、そこ此処にあった。
人工林の単調な景色にウンザリするころ、風がよく通る狭い鞍部にでた。鞍部からしばらく登ると大きな倒木が行くてをふさぐ。この倒木を巻きのぼると、やがて道は平坦になり、立派な道標が立つ主稜線(ダイヤモンドトレール)に合する。
主稜線の良く整備された道は緩やかにアップダウンして、道標はあるが今は荒れて通行困難になっている旧忍海道分岐にでる。先へ進むとツツジが点在する自然林を左にみて、緩やかな坂をしばらく行く。階段道を二つ過ぎ、「ごせ市」の石標をみるとケーブル山麓駅からの北尾根コースを左から迎える。ここからコブを二つ踏み越えると弘川寺コースが右から合し、通信鉄塔の横を通ってケーブル山上駅から葛城山頂への道にでる。右上の先にある白樺食堂の前から坂道を5~6分あがったら大和葛城山(標高959㍍)の山頂に着く。
新型コロナウイルスの影響で比較的人は少ないが、それでも山頂部の見える範囲だけで10数人は訪れていました。心地よい風が通る稜線を国民宿舎前へくだり、つつじ園の展望デッキに立つ。今年も‟紅“一色に染まった花の山腹、‟ツツジは裏切らず“絶景を見せてくれました。
名残は尽きないが、ツツジの絶景と金剛山に見送られ、葛城山麓公園のゲートが閉まる17時に間に合うよう、早めに下山の途につきました。(小さい写真はクリックで拡大します)

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台高山脈・リュウゴ尾根ヘ

2020-05-08 16:48:34 | Weblog
4月25日(土)快晴、‟三蜜“を避け、少し山の空気を感じにリュウゴ尾根へ出かけてみました。
又剱山へのアプローチは橡谷西ノ谷林道からになるが、皆さんサンギリ峠トンネルからの方がわかりやすいという。サンギリ峠からの場合、トンネルを出たら即、左折、素晴らしい展望の橡谷西ノ谷林道を目印となる東屋のある展望台までゆく。そこから約1.6㎞(車で約3分くらい)道を進んだ右側に丸太の小さな階段がある、ここが登山口。道標が朽ちて無くなっていたので見落とさないように注意が必要だ。マイカーの駐車場所は登山口から100mほど先に7~8台の駐車スペースがある。
登山口の階段から苔むすゴロタ石を踏んで、疎林の緩やかな道をゆけば、約15分でヒメシャ林の尾根へでる。
尾根の道標を右へ登って又剱山へむかう。笹が完全に消滅した明るい尾根は西に展望が開け、右から大普賢岳、弥山、八経、明星、仏生、釈迦ヶ岳、そして遥か南へと峰々が続くのが見える。
この平坦な尾根からは、ミツバツツジが咲く九曲折れの急坂を一登りで、標高1,377㍍の又剱山の頂に立てる。登山口から約35分だった。
快晴の空の下、爽やかな風が吹き渡る頂からは大台ヶ原、大蛇嵓、中ノ滝が手に取るように見える。目を転じれば、3月下旬に来た時、まだ雪が残っていた聖宝八丁や弥山・八経ヶ岳だったが、今は、すっかり雪が消えている。
山頂東端から狭い尾根をくだって、小さなコブを二つ踏み越え、丸塚山を右に見送って、1,206㍍鞍部へくだる。狭い尾根筋を登り、枯れ古木の台地から大峰山脈を眺めたら、五兵衛平へ登り返す。更にヒメシャラの林を縫い登り、巨樹の倒木を見ると今日の目的地1,320㍍無名峰に着く。
無名峰を少し下った‟大台ヶ原展望ポイント“に立ち寄ったら、来た道をもどるとしよう。今日も誰にも会わず、芽吹きのリュウゴ尾根少を‟独り占め“の山歩でした(小さい写真はクリックで拡大)。

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