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★ マンガなどの感想 ★

【お気に入り】 『MASTER キートン』1~2巻 完全版

2011年09月13日 | ◆「お気に入り」  マンガ

「お気に入り」1~2巻作品です。

諸事情により絶版だったものを、完全版・全12巻として刊行。

原作を「脚本」として、以前は名前を連ねていなかった長崎尚志先生が加わっています。

 

 

『MASTER キートン』1~2巻 完全版

 (浦沢直樹 先生  脚本:勝鹿北星 先生/長崎尚志 先生)

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 「コミック界の至宝、完全復刻版で発掘!!」 (オビ文より)

 平賀=キートン・太一は、保険のオプ(調査員)。

 そのため、保険金がおりる際の調査をおこない、事件に巻き込まれることしばしば。

 しかし彼は飄々と危険をかいくぐり、問題を解決しては去ってゆく・・・

 かと思えば、古の遺跡や発掘物をながめつつ、過去に想いをはせる謎の人物キートン。

 冷戦終結前後の時代を舞台に、彼がかかわる事件や人々を描いた物語です。

 

 

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 保健のオプであるキートン。

 その調査には危険もつきもので、命を狙われてしまうような事態も起こります。

 しかしそうした状況でも冷静に、かつ的確に対処できる能力を持つ彼は、

 じつは元軍人という経歴をもっており、サバイバルのエキスパートとして

 さまざまな知識・スキルを駆使しながら事件を解決したり、トラブルを回避したりするのです。

 

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 元軍人でありながらも、基本的に銃などは使わないキートン。

 彼は、料理で使う“おたま”を改造した武器で反撃するなど、

 その場に応じた臨機応変の対応によって敵を撃退し、困難をのりこえます。

 

 かといって、常に特定の“敵”が存在するわけでもなく、

 時には砂漠を生き抜くサバイバルであったり、保険金詐欺や殺人事件の解決であったりと、

 キートンが遭遇するアクシデントはバリエーションに富んだものであり、

 それぞれにそれぞれの面白さがあって、読者を飽きさせないのです。

 

 

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 また、キートンのもう1つの顔に、考古学者としてのそれがあります。

 オックスフォード大学卒の彼は、大学講師として働くこともあり・・・というかこちらが本業で、

 しかしなかなか生計を立てるには苦しいということで、保険のオプをしているようです。

 彼が情熱を持っているのは、この考古学。

 こと考古学に関することとなるや、目を輝かせて喜ぶコドモのような面もあったりします。

 

 

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 そして、キートンの家族とのひととき。

 娘の百合子、父の太平、それと犬の太助。

 

 考古学に関するエピソードや、この家族と過ごす日常風景は、

 事件や調査などとはちがって平和なひと時を描くことが多く、

 このあたりも物語全体のよいメリハリになっている印象。

 これがまた、しっとりできたり感慨深かったりする話が多いのだから、

 作品としてのバランスもキレイにとれていて見事ですね。

 

 

 以前に刊行されていた時に、全巻そろえた作品ではありますが、

 新たに「完全版」としてよみがえるということで、再び集め始めてみました作品。

 

 冷戦終結前後の時代を描くということで、そのあたりの政治的・歴史的な話題も豊富。

 そういったことに興味のある方もちろんのこと、ミステリ好きな方にも楽しめる要素は多く、

 基本1話完結(複数話も多い)なので読みやすい作品かと思います。

 

 昔読んだ時期に比べれば、やはりオトナになってしまったからか、

 単純に入り込めない部分も多かったのですが、それでもやはり重厚な物語。

 私なんかは、この作品から「リアリズム」と「ロマンティシズム」の両立の重要性を

 学べた気がします。 全12巻、楽しみです!

 

 


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