ヤングキングアワーズ 2014年7月号
以下、ネタばれあります。 (未読の方はご注意ください)
●ナポレオン -覇道進撃- (長谷川哲也 先生)
イエナの戦い、開幕!
ナポレオンの狙いは、丘の上からの砲撃。
しかし、頂上へ砲を運ぶことは困難なうえ、敵に見つかっては格好の標的となってしまう。
そこで一計を案じ、丘の上までの道を整備することに。
その間、プロシア軍の目を丘から離すべく、イエナの町を焼き払って
そちらへ注意を向けるなど、ナポレオンの容赦なさが光っていました。
開戦!
一夜にして丘の上に陣取ったフランス軍。
朝もやの中、浮かび上がる整列した兵士たちの姿は、なんとも壮観でありました!
カメラがしだいに近づくように、アップになってゆく流れだったのが良かったですね。
そして、丘の上からの砲撃。 それに対し、慌てふためくプロシア軍の将兵たちと、
ナポレオンの狙い通りに、戦闘は進行していましたが・・・?
開かれた戦端。
各所で火花が交錯しますが、ここでイエナの戦いにおける
両司令官の「誤解」について、解説がはさまれていたのが興味深いですね。
ナポレオンは、敵がプロシア軍の主力だと考え、
逆に、プロシアのホーエンローエ将軍は、フランス軍を側衛部隊だと誤認。
実際は、プロシア側=主力を援護するための軍で、
フランス側=ナポレオン率いる主力軍だったのですから、
両軍ともに、重大な齟齬を生じていたことになるわけです。
ただ、このときのフランス軍はまだ集結しきっておらず、
そのため、ホーエンローエ将軍も勘違いした可能性もありますが、
それでもフランス軍の方が数では勝っていたようなので、
ナポレオン有利な展開になったのも、当然といえば当然だったのかもしれません。
問題は、プロシア軍の主力がどこにいたのか?
なのですが、これについては最後の方で明かされていましたね。
ネイの先走り。
自分の軍団がそろわないことに、若干イラついているネイ。
そこで、前衛部隊のみで戦闘に参加しようとしますが、前に出過ぎて窮地に!
イエナの戦いにおける編成は、ランヌ軍を先頭に、左翼オージュロー、右翼スルトという形。
ネイの軍団は、ランヌ軍をすり抜けて攻撃を仕掛けたようですね。
私の持っている本だと、独断で行動したのは「ミュラ」になってるのですが、なぜだろう(^^;
それはともかく、ネイは騎兵隊が駆け付けたことで、窮地を脱することに成功。
そのまま、フランス軍は攻勢に出て、プロシア軍を圧倒することに!
ついに、ホーエンローエ将軍も、退却へと追い込まれることになります。
その後、独断についての、ネイとナポレオンのやりとりも面白かった。
生意気な態度をとるネイに、こらえながら、ただ一言をあびせるだけのナポレオン。
ネイの方は殴られることを覚悟して、わざとやっていたようですが、
ナポレオンの方は、ネイを評価するからこそ殴らなかったという
2人の微妙な思惑の違いが、少し気になりましたね。
もしかして、後々への布石なのかな? とも思いましたが、考えすぎでしょうか。
さらに、ネイの副官として、ジョミニさんが登場していました。
軍事学者で、『戦争概論』などは有名ですよね。
フランス軍の中では、幕僚として活躍することになりますけども、
そのため、ベルティエさんからにらまれたりと、苦労が多いようです。
また、ネイとの関係が深い点も、注目すべきかもですね。
そして、プロシア軍主力の行方・・・
イエナの戦いと並行して、ダヴー軍もまた、アウエルシュタットで戦闘していた模様。
結果は撃退ということでしたが、じつは、このダヴーが相手にしたプロシア軍こそが、
敵の主力だったというから驚きです。
そして、その報告を受けたナポレオンは、ここで初めて、自分の誤解に気付き、驚愕。
最後のコマで、ナポレオンが逆さに描かれていたのは、一瞬、印刷ミスか?
なんて思ってしまいましたけど、これはナポレオンが受けた衝撃の大きさを
表現しているわけですよね。 まさに、天地がひっくり返るほどの動揺が見えるようです。
などなど、イエナの戦いについて描かれた今回でしたが、
ナポレオンの戦術眼が光りつつも、戦略面での錯誤が生じていたことが判明。
これは、もしかするとアウステルリッツを頂点に、ナポレオンに陰りが見え始めた・・・
ということなのかも?
次回は、アウエルシュタットの戦いが描かれるのでしょうかね?
敵主力を相手に奮戦する“不敗のダヴー”の姿に期待しつつ・・・ 今後も楽しみです!