「お気に入り」完結作品から、
『うみねこのなく頃に散』Episode5・6、各完結巻についてつれづれ・・・
これまでのEpisodeの1巻・最終巻の紹介は、
EP2・完結、EP5・1巻、EP3・完結/EP6・1巻、EP4・完結、EP7・1巻、EP8・1巻 など。
『うみなこなく頃に散 EP5 End of golden witch』6巻
(原作・監修:竜騎士07 先生/作画:秋タカ 先生)
「ありがとう・・・うそつき・・・さよなら・・・・・・そして・・・ごめんね。」 (オビ文より)
1986年、孤島で起きた謎の大量殺人をめぐる物語。
その第5(解答編1)エピソードの完結巻となります。
殺人事件の犯人とされたのは、夏妃!
“探偵”古戸ヱリカによる推理は、すべて彼女が犯人だと明確に指し示すものだった。
しかし読者は知っている。 夏妃が犯人などではない事を・・・
無実の罪は作られ、あらゆる名誉が奪われ、周囲からは攻撃を受け、見放される。
その過程がこれでもか、というくらい残酷に描かれる序盤は、絶望そのもの。
そこから浮かび上がる、夏妃の本当の罪が意味するものは!?
なんて内容なわけですが、
「真実」とはこうして形成されるものだと考えると、空恐ろしい気分にもなります。
無実の罪であっても、状況証拠と周囲の承認さえあれば、「真実」として認識されてしまう。
“探偵”の推理が合理的であればあるほど、その確率は高まるわけで、
古戸ヱリカが象徴する「真実」の意味は、よくよく自戒するべきものでありますね。
それはともかく、夏妃さんが無実の罪で
これでもかと追いつめられる展開は、息苦しくて仕方なかった。
戦人も、ヱリカの推理に太刀打ちできぬまま、敗れてしまったわけですが、
ここで重要だったのは、夏妃さんの19年前の罪。
これこそが、物語の核心に迫る大きな手掛かりとなるのですが・・・
それはまた、後のエピソードで明らかとなるでしょう。 (EP7・8あたりではもう出てますね)
そして、戦人の反撃。
1度はヱリカに敗れたものの、その“死”の中で記憶をたどり、
ついにこの物語全体の真実に至ることとなるのです。
これにより、物語は一大転換を迎え、
これまで敵だったはずのベアトを、護るための戦いが開始されることになります。
それまで、まやかしであったはずの魔法が肯定され、魔女が認められる。
それは、黄金郷への鍵となる認識。 「愛がなければ視えない」。
ここからの戦人の反撃、幻想法廷での熾烈な争いは、痛快きわまりないものでしたね。
しかしこれは、次の戦いへの序曲。 戦人の新たなステージの到来を意味するもの。
物語は、佳境へと突入してゆくことになるのです。
『うみねこのなく頃に散 EP6 Dawn of the golden witch』6巻
(原作・監修:竜騎士07 先生/作画:桃山ひなせ 先生)
「私はあなたに右代宮戦人に恋する心を譲ります」 (本編104ページより)
第6(解答編2)エピソード、完結。
物語は、戦人が密室に囚われたまま、古戸ヱリカとの結婚式が行われることに。
自ら脱出不可能の密室を創り出し、そこへ囚われてしまった戦人には、抗うすべなし。
第5エピソードにつづく本エピソードは、戦人とヱリカの決着をつける戦いとなります。
戦人の用意した“殺人事件”を、凄惨なものに塗り替えてしまった“探偵”ヱリカ。
もはや挽回不能と思われた状況に現れたのは・・・!?
なんてお話でしたが、ここで重要だったのは、紗音と嘉音の決着でありました。
それぞれ主筋の人間を愛してしまった2人は、その心に正直になった時、
争わねばならない運命であり、その答えがここに示されることとなります。
なぜ、彼らは争わねばならなかったのか?
そして、戦人を救ったベアトの密室トリックの意味とは?
これら2つの要素は重なる部分があるので、大きなヒントとなっていますね。
そしてベアトの語る“お母様”、19という数字、明らかとなる六軒島の総人数、そして事故。
もう、物語の核心をのぞき見るくらいの手掛かりは、出そろったとみてよいでしょう。
ヱリカのとの決着には、驚愕と同時に、爽快さがありました。
一方、12年後の世界では・・・
この物語を読み終えた縁寿とフェザリーヌ。
そこから兄・戦人の行く末の真相をくみ取れない縁寿はいらつき、
しかしこの物語が「本物」であることを実感します。
それは、本作の大きなヒントとなるのですが、それはまた後の話。
その頃、縁寿のまわりでも、何やらきな臭い動きが出てきていて、
これがエピソード4のあのシーンへとつながってゆくわけですが・・・
これも、あの時の“魔法”の種明かしとなっていましたね。
それでもここまで読んで、愛の意味を知った読者であれば、
“魔法”を否定することはもうないのでは・・・? はてさて。
さらにラストでは、次なるエピソードへの始まりが見られるわけですが、
まあここはエピソード7を読んでいれば、わかっていることですよね(;´∀`)
真相の大部分が明らかとなる第7エピソードへ向けて、期待が高まります。