最近(と言っても、発売がずいぶん以前の作品もありますが)、
読んだライトノベルなどの1巻(?)・単巻作品などなど・・・
『冴えない彼女の育て方』 (丸戸史明 先生/イラスト:深崎暮人 先生)
「ある春の日に、俺は、運命と出逢った・・・・・・」 (29ページより)
ギャルゲー大好きオタク少年による、地味な少女プロデュース物語!?
安芸倫也が坂道で出逢った少女・加藤恵。
彼女に惹かれるモノを感じた倫也だったが、ある日再会を果たすも・・・
と始まるヒロイン育成コメディ!
オタク少年が何らかのインスピレーションを得た少女に対し、
「ギャルゲーのメインヒロインにならないか?」と誘いをかけて企画をたて、
少女をヒロインにふさわしい女性に仕立て上げてゆこうとするお話なわけですが、
この少女・加藤さんが印象に残らない目立たない系の女子で、
倫也くんとの会話も、ギャルゲーとは程遠い、手ごたえの感じられないもの。
まずは彼女をやる気にさせ、さらにビジュアル・シナリオ各担当の人材をそろえねば・・・と、
てんやわんやな物語が幕を開けることになります。
主人公・倫也くんをとりまくヒロインは3名。
加藤恵さんのほかに、表紙をかざる学園の人気者である澤村・スペンサー・英梨々さんや、
倫也たちの上級生にあたる超優等生の霞ヶ岡詩羽さんと、魅力的?ながらも
ひとくせある少女たちのやりとりが、作品を面白おかしく彩っています。
キャラクターという点で華やかな魅力があるのは、間違いなく英梨々や詩羽なのですが、
恵の個性は、ほかではちょっと見られないような造形で、単純な地味系ではなく、
このあたり、かなり特異な魅力を私は感じてしまいましたよ。
本作品は、丸戸先生が作者ということで、とても楽しみにしておりました。
私は『世界でいちばんNGな恋』や『FOLKLORE JAM』(注:18歳未満は検索禁止!)
などをプレイして、ひじょーに楽しませていただきましたもので、この作品にも期待大。
無個性的な加藤さんと、個性の塊のような2人の少女。
彼女たちに囲まれた倫也くんの行く末やいかに?
はたして、ヒロイン・プロデュースは成功するのか? 今後が楽しみです!
『南極点のピアピア動画』 (野尻抱介 先生)
「ネットと宇宙の清く正しい未来。5年ぶりのまぎれもない最新刊」 (オビ文より)
ネット上のピアピア動画、ボーカロイド・小隅レイ。
それらの要素を片隅に置いて、恋人が去った大学院生の宇宙への夢や、
コンビニで働く女性とそこを訪れた男性の蜘蛛をめぐるお話、そして潜水艦とクジラ・・・
様々な場所の様々な人々の物語が、ピアピア動画・小隅レイを軸に展開し、
やがて大きな流れとなってゆく4編の連作集です。
私としては傑作と言ってよいほどの作品でした!
ただ一言、「すごい場所に連れて行ってもらった」。
ネタバレなしで読んでいただきたい1作。
無邪気に夢を描いたような物語。 本当に素晴らしかったです!
『ふわふわの泉』 (野尻抱介 先生)
「ふわふわが人を自由にしてくれる、と思った。」 (105ページより)
高校化学部の部室から始まる物語は、ふわふわをめぐり、やがて空を越えてゆくことに・・・
「努力しないで生きること」をモットーとする化学部部長・浅倉泉。
彼女ともう1人の部員・保科昶とが、ある実験をおこなっていたところ、
雷が学校に落ちてしまい実験は失敗・・・と思いきや、そこには謎の物質が!?
2人はこの「ふわふわ」と名付けた物質を用いて、
正当な報酬を得るべく立ち回ることになります。 そう、努力しないで生きるために!
しかしその願いむなしく、ふわふわをめぐる騒動は、泉にさらなる忙しさをもたらすことに。
実務を一手に引き受ける昶くんの支えがありつつ、彼女たちの行く先にはいったい何が・・・
といった内容なのですが、ある種のサクセスストーリーとしてエンタテインメントしつつ、
自由というテーマを根底に、人と科学の往く道を指し示すような真摯さも感じられて、
なかなか楽しく興味深く読める作品となっています。
また、本作は復刊作品でありまして、あとがきでも指摘されているように
『南極点のピアピア動画』との類似点もなどもあるので、そちらを楽しめた方ならば、
感じるものもあるのではないでしょうか・・・
『恥知らずのパープルヘイズ ―ジョジョの奇妙な冒険より―』
(上遠野浩平 先生 原作:荒木飛呂彦 先生)
「これは、一歩を踏み出すことができない者たちの物語――。」 (オビ文より)
『ジョジョの奇妙な冒険』第5部の登場人物、パンナコッタ・フーゴを主人公とする作品。
“裏切り者”であり、“恥知らず”でもあるフーゴに組織から使命が与えられる。
彼にあらがうすべはなく、その使命を遂行するため、仲間と共に旅立つことに・・・
と物語は始まるわけですが、これが見事に「JOJO」していることに驚きました。
正直、小説というカタチでここまで原作の雰囲気を再現しているのは、スゴイの一言。
登場人物のセリフ、行動、そして意志。 すべてがまさに「JOJO」なのです。
そして何よりも、原作第5部で“置き去りにされた”設定であったフーゴのキャラクターを、
このように物語に入り込ませ、ある種の救済を与えている点に、
私は感動を覚えずにはいられませんでした。 きわめて適切に収まっているんですよ。
仲間や敵のスタンド能力を駆使したバトル。
使命の裏にある狙い、たくらみ。
そして、登場人物たちの先へと踏み出せない苦悩と、魂の奔流。
あらゆる点で、素晴らしい物語となっていることに感服でありました。
この他にも、「バッカーノ!」新作や、「ビブリア古書堂」なども読んでいます。
また、「RED DRAGON」第1夜もあったのですが、読み途中なもので・・・(こちらで読めます)