端っこの「お気に入り」プチ感想です。 (前回)
・『一緒にかえろう』1巻
・『プレミアム天子様』
どちらも「まんがタイムweb」今月の新刊にて、試し読みできます。
それにしても、なんだか最近「プチ」感想じゃなくなってきたなあ・・・
関係ないんですけど、『コミック大河』今月号が近所の書店で見当たらない(T_T)
人気薄なのかな~・・・でも私ゃ好きなのさ。(コンビニで購入できました)
あと、『マンガでわかる心療内科』1巻も見つからない~。早く読みた~い!
『一緒にかえろう』1巻
(矢直ちなみ 先生)
小学4年生の夏休みに出逢った「初恋」が、6年後に破れて始まる4コマ物語。
ガサツだけど思いやりのある時沢春と、どんくさ泣き虫な近藤詩緒。
そんな少女2人を中心とした学園生活、周囲の人々との日常が描かれます。
コミックス化、待っておりました!・・・な期待作。
本作品の特徴は、少女(や少年)たちの荒削りながらも繊細な心情の描き方でしょうか。
そうした要素がとても良い具合に、物語のメリハリをつけています。
まず主軸となるのは、転校してきたばかりの詩緒の心情。
転校が多かったためか、同級生との距離感をはかることが苦手な詩緒は、
内心はビクビクしながらも表向きポーカーフェイスな態度で、自分を「守って」います。
そんな彼女を、幼なじみで「ムードメーカーだけど口が脳と直結型」な春が、
ガサツな天然ぶりで引っ張ってゆくやりとりが、安心感あふれる感覚。
ポーカーフェイスの「仮面」をかぶっている詩緒が心を許しているのは、はじめは春1人
なのですが、それがしだいに春の友人である真名、そして男子2人も含めた交流の中で
ひろがりを見せ、「仮面」が外れてゆく様子は見ていて楽しく、緊張とける心地よさ。
そして、詩緒にやたらイジワルな態度で接してくる女子・杉山。
彼女の存在が、作品を単純な仲良し空間にはしない味わいになっていたり、
杉山本人の心情にも、いろいろ複雑なものがあったりするのが面白いです。
そうした風に、登場人物たちが内心いろいろ抱えながらも、とても真っ直ぐな心情で
笑いあったり、時にぶつかり合ったり、そして泣いたり、泣いたり、泣いたり・・・
そんな感情の純粋さがストレートに響いてくる魅力が、本作品にはあります。
以前、4コマ誌の別作品感想でも書きましたけど、やはり矢直ちなみ先生は、
人と人の間の“距離感”と、それを飛び越えた“ふれあい”の描き方がとても秀逸な作家先生
だと、本作を読んであらためて感じさせられましたね~。
基本おもしろ4コマ漫画ですけど、そんなところも趣深い良い作品だと思います。
『プレミアム天子様』
(安堂友子 先生)
天子様が、人々の願いを叶えます!・・・な笑える4コマ漫画。
天子様はカップ麺をあけると、ごくまれに出てくる妖精さんであり、願いを叶えてくれる存在。
とはいえ、そこは4コマ漫画。面白オチがつき、笑える楽しさあふれる作品になっています。
基本的に、天子様をはじめとするフェアリーズが人の願いを聞き、それが予想とは
ハズれた状況にオチる・・・というネタの連続なのですが、これが不思議と飽きない作り。
そこには、フェアリーズの個性の違いがネタに多くのバリエーションを生み出していること
もありますが、なんというか「願いの叶え方」にも、「ズレた叶え方」「願った当人のおかしさ」
「周囲の反応・状況のおかしさ」といった違いがあって、そのあたりに様々な面白味が
醸し出されている印象。
フェアリーズには天子様のほか、
・福美 : ふわふわなスナック菓子の精。「見てみたい」シリーズ・ネタの担当。
・三千華 : 「みちか」と読む炭酸飲料の精。 爪がコワイ。けっこう強引。
・小夢 : 乳製品の精。 願いの叶え方がハンパな、自称未熟者のフェアリーズ。
・ユキジ : 値引きシールを貼られた菓子パンの精。 幸薄くフビン。単独で行動中。
といった個性的なメンバーがそろっていて、それぞれがそれぞれに楽しませてくれます。
さらに本作品は、フェアリーズ以外にも準レギュラー的な人々がおり、
そうした登場人物たちの定番ネタも、飽きさせない魅力となっていると感じます。
本作品は1巻が出ていたはずですけど、今回は「永久保存版」という形でコミックス化。
この売り上げ次第で続刊の行方が左右される・・・・・・のかどうかはわかりませんが、
4コマ漫画としての楽しさは、高水準で安定したレベルにある作品かと思いますので、
ぜひぜひ続いてほしいものであります。