Triority(トライオリティ)

四十にして惑う、それがトリニータ。

ビールを飲んで欧州の頂点を目指す

2019-09-01 13:55:48 | 遠征記
今年の夏休みは昨年完成したスパーズの新スタジアムに行くことを最大の目的にパリとロンドンに旅行に行ってきた。旧ホワイトハートレーンが取り壊されてしまう前にと渡欧した4年前以来のロンドン。今回は休みだった8日間丸々旅行に行っていたので盛りだくさんだったんだけど、この記事ではサッカーについてのみ。














もうスタジアムは文句なしに素晴らしい。スタジアムの一体感を生み出す形状、6万人を超える収容力を誇りながらどこからでも観やすい構造、本当に色々と考えられているスタジアムだった。出来たばかりだから当り前かもしれないけど、ヨーロッパ最高峰のスタジアムと言っても過言ではないと思う。





試合(VSニューカッスル)自体は自分がスパーズを観始めてから3本の指に入ると言っていいくらいのクソゲームだったんだけど、この新しいスタジアムに来れたという感激がそんなものは吹っ飛ばしてくれた。ただいかんぞあんなゲームしてちゃ。


この新しいスタジアムを訪れて一番感銘を受けたのがスタジアムのピッチ側ではなくコンコース側。


完成前からけっこう話題になっていたけど、ホーム側ゴール裏のコンコースに「ゴールラインバー」と呼ばれるゴールラインと同じ65mも続くバーがあること。そこには同じく話題になってた下から注がれるビアサーバーも何十基も装備されており、6万人が殺到しようがバンバンさばけてしまう。

そして一番の驚きがクラブ側がサポーターをスタジアム内で飲み食いさせようと試みていること。イングランド(もしかすると他のヨーロッパの国もそうかも)ではスタンドでの飲酒が禁止なためスタジアムは試合開始ギリギリまでスタンドがガラガラ。日本のようにピッチ内アップ開始とともに応援を始めるなんて光景は全く見られない。ほとんどのサポーターは近くのパブなんかでアルコールと胃袋を満たしてからキッチリ2時間だけ楽しみにスタジアムにやって来る。だから旧ホワイトハートレーンでも開場はキックオフ1時間前だった。

しかしスタジアムが新しくなってから開場はキックオフ2時間半前になった。さらに事前にクラブから早く開場するからドンドン来てくれという内容のメールまで送られてくる。早くやって来た人たちが何をするかと言えば、そうビールを飲むのである。











この新しいスタジアムの中には「ビーバータウン」という北ロンドンで人気のクラフトビールメーカーのマイクロブルワリーが造られていて、スタジアムの中でビールが醸造されている。だから多くのサポーターが2時間半前からスタジアムに来てそのうまいビールを飲んでいる。贔屓目抜きでスタジアムで提供されているビーバータウンの「ネックオイル」というセッションIPAはマジでうまい。スタジアムなのでそこかしこにモニターがあってそこで先にキックオフされてたボーンマス−マンCの試合を観ながらビールを飲んでキックオフまでの時間を過ごす。そこはもうロンドンのパブそのもの。

このサポーターのマッチデー当日の行動そのものを変革しようとする取り組みの何が素晴らしいかというとチケット収入以外のお金の流れを全てクラブの懐へと向かわせていることだ。スタジアム内で飲食してもらえばそれはすなわち全てクラブの財政が潤うことになる。そしてたかがビールと侮ることなかれ。イギリス人のビールの消費量はハンパないから。日本のスタジアムと比較するとイングランドのスタジアムは女性と子どもの数が圧倒的に少ない。すなわちビール大好き層の数が多くそしてその人たちがバンバンビールを飲んでいく。


この写真は何の光景だと思いますか。これは自分が10年近くスパーズを見てきてワースト3に入ると感じたクソゲームの試合終了30分後のコンコースの状態。そもそもクラブから試合終了後1時間はコンコース開放するからビール飲んでけやというお知らせはあったものの、あんなクソゲーム観せられてもサポーターたちはビールを飲んで反省会をスタジアムでやっていく。ざっくり計算してもマッチデー1日のみのビールの売り上げだけで軽く数千万円はある見込みだ。旧ホワイトハートレーンも古き良きイングランドのスタジアムという感じで素晴らしかったんだけど、それを捨ててまで近代的なスタジアムを手に入れたのは、クラブがヨーロッパの強豪として成長していくための決意と受け取っている。それはこんな取り組みにも表れているのかなと感じた。


サポーターにお金を落とさせる取り組みはショップにも。これは他のクラブもそうかもしれないけど、めちゃくちゃ広くて入った瞬間に「アレも欲しい、コレも欲しい」と完全に理性を崩壊させる雰囲気を醸し出している。しかしこれはクラブのショップとしては正しいやり方だと思っていて、サポーターというのはああいう雰囲気に飲まれてバカになりたい生き物なんだと自覚している。この日ショップで使った金額は今月クレジットカードの請求が来るまで震えながら待つ。

ちなみに神戸のスタジアム内完全キャッシュレス化が話題になったけど、スパーズの新スタも完全キャッシュレス。それも事前にクラブのHPを見てたら£30以下の決済は非接触型のクレカのみとなっていて「ビール買えないかも」と思っていたけど、それは差し込み式のクレカでもちゃんと決済出来た。


ショップでは旧ホワイトハートレーンのシートも売ってた。欲しかったけど、さすがに日本まで持ち帰るのにはデカすぎた。






スタジアム外観。






コンコースにはかつてのマッチデープログラムの表紙もたくさん掲示されてる。





ビール繋がりでもう1点。スタジアムのすぐ裏には食品関連の工業団地みたいなところがあるんだけど、その中にもマイクロブルワリーがあることを知って試合前に訪問。




こんな感じの工業団地の倉庫の一角の事前に知らなきゃ絶対にたどり着くことのないような場所で醸造してて、その場で飲ませてくれる。




場所柄当然のごとくホットスパーエールがあるわけだけど、何とトリニティエールも。ビーバータウン同様このレデンプションブルーイングも応援していきたいな。


これも新スタジアム効果か、最寄り駅のホワイトハートレーン駅は以前はボロかったんだけど、新しい駅舎がオープン間近のようでした。











スパーズの試合は日曜日だったので、前日はロンドンから電車で1時間ほどのブライトンへ試合を観に行った。ブライトンは寒いイギリスの短い夏に多くの人が海水浴に行くような保養地で、日本で言えば鎌倉とか伊豆みたいな感じかな。この日はイギリスの3連休の初日でかつめちゃくちゃに暑い日だったのでたくさんの人で賑わっていた。海沿いの街らしく雰囲気のあるとてもいい街だった。

ブライトンのホームスタジアムであるアメックススタジアム(ファルマースタジアム)は、前回のラグビーW杯で日本代表が南アフリカ代表に勝った試合をやったスタジアムだったらしいということを行く直前に知った。まだ出来て10年くらいらしくこれも素晴らしいスタジアムだった。




対戦相手は吉田麻也擁するサウサンプトン。残念ながら麻也の出場機会はなかったものの、当日はその麻也の誕生日(ちなみに自分も誕生日)だったので試合前にスタンドから「誕生日おめでとう」と声をかけたら笑顔とサムアップで返してくれた。

試合はレッドカードあり、VARによるゴール取り消しあり、ゴラッソありの盛りだくさんで面白いゲームだった。





ブライトンに出発する前にはミルウォールのホームスタジアムであるザ・デンにもちょっと寄ってみた。イングランド屈指のオラオラ系サポーターで有名なクラブだけあって試合のない日のスタジアム近辺はちょっと恐かった。




ということで海外でサッカーを観るのは本当に刺激的で楽しい。例え数万km離れていても何度でも行ってみたいと思えるくらいに楽しい。
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