まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「楽天は、自社株の投資判断を引き下げたアナリストの分析が貧弱だと、プレスリリースで名指しで批判し、出入り禁止としましたが、楽天の対応をどう思う？」では・・・
１位：モルガンスタンレー証券は正々堂々と反論すべき ３７％
２位：利益拡大と株価上昇に専念すべき ２２％
３位：大人気ない １４％
４位：上場企業のアナリストへの対応として不適切 １１％
５位：理解できるがプレスリリースや名指しはやりすぎ ７％
〃：理解できる ７％
ということになりました。１位は「モルガンスタンレー証券は正々堂々と反論すべき」ということで約４割ですね。
筆者も同感ですが、黙っていればモルガンスタンレー証券が間違いを認めたという印象を与えますし、投資判断を引き下げるたびにアナリストが「出入り禁止」となれば商売上がったりとなります。悪しき前例を作ることになりますしね。
そもそも反論してくれないと、第３者からすれば何が争点になっているかもよくわかりません。
・・・ということで、念のため再度、三菱ＵＦＪモルガン・スタンレー証券のサイトをチェックしてみましたが、やはりどこにもこの件に関する反論は発表されていないようですね。
もしかすると、三菱ＵＦＪモルガン・スタンレー証券は当然アナリストレポートが本業ではなく（アナリストレポートをお金を出して買ってくれる人は少ないと思います）、株や債券、投資信託の売買や、投資銀行業務が本業なわけで、本業では楽天グループとの関係がそれなりにあるとすれば、そちらへの悪影響を鑑みて表立った反論は避けているのかもしれません。
それであればそれで「大人の判断」と言えるのかもしれませんが、だとするとより、アナリストレポートの中立性が疑われるわけで、より根深い問題を露呈します。
もちろん、そうした圧力が効くのであれば、そもそも楽天がプレスリリースを出す必要はなかったわけで、うがった見方ではあるのですが。
いずれにせよ、投資判断にアナリストレポートを利用している人はそう多くはないとは思いますが、こうしたことが続くようであれば、ますます利用者が減っていくことになります。アナリスト業界にとっては由々しき問題だと言えます。
やはり・・・そうした悪弊を防ぐためにも「モルガンスタンレー証券は正々堂々と反論すべき」だと思いますけれどね。
では投票がまだの方は、ぜひ投票をお願いいたします。
〔投票〕http://www.ginkou.info/modules/xoopspoll/index.php?poll_id=947
〔前回のコラム〕http://www.ginkou.info/modules/xfsection/article.php?articleid=744
－－－ Ｇｉｎｋｏｕ －－－
三菱ＵＦＪ、ＡＴＭ手数料見直し
http://www.nikkei.com/
三菱東京ＵＦＪ銀行は銀行店舗やコンビニエンスストアにあるＡＴＭの利用手数料を抜本的に見直す。全国に約8400台ある自行ＡＴＭは土日祝日も含めて午前８時45分から午後９時は無料でお金を引き出せるようにする。平日の日中（午前８時45分～午後６時）に無料のコンビニＡＴＭを有料に切り替え、ＡＴＭでの振込手数料も上げる。
11月以降に実施する方向で検討している。平日夜間や土日祝日の無料化は３メガ銀行では初めて。現在、三菱ＵＦＪのＡＴＭは平日の日中は無料、平日夜間や土日祝日は105円の手数料がかかる。これを全日午前８時45分から午後９時まで無料にする。稼働時間は原則として午前７時から深夜０時まで延長する。
全国のコンビニで使えるＡＴＭ７万1000台の手数料は上げる。現在は自行ＡＴＭと同じ条件で使えるが、平日日中は無料から105円に、平日夜間や土日祝日は105円から210円にする。
〔 出典：日本経済新聞 〕
－－－ Ｇｉｎｋｏｕ －－－
先週金曜のこちらのニュース。流し読みをされた方は「あぁ、ＡＴＭ手数料を引き下げるということね。結構なことじゃない。」と思われたかもしれません。
筆者もまさしくその通りでして（笑）、１行目を読んで三菱東京ＵＦＪ銀行が「自行ＡＴＭは土日祝日も含めて午前８時４５分から午後９時は無料でお金を引き出せるようにする」という点だけを理解し、「ＡＴＭ手数料はだんだん無料になっていくんだろうなぁ」とか、「いや、そもそもまだ深夜・早朝はお金を取ろうとしている時点で時代錯誤なんじゃないか？」などと漠然と感じました。
実際のところ筆者はもう１０年近く、ＡＴＭ手数料を一度も払っていない気がします。たとえば人気の住信ＳＢＩネット銀行と新生銀行の口座を両方持てば、コンビニＡＴＭ・ゆうちょ銀行ＡＴＭ・メガバンクＡＴＭの手数料が無料となります。これだけあれば日常生活のＡＴＭは全て無料で賄えます。
唯一、地方銀行や地域金融機関のネットワークが弱いですが、これは東京スター銀行の口座を持っていれば月８回まで無料となりますので、完全にカバーできます。
つまり、住信ＳＢＩネット銀行＋新生銀行＋東京スター銀行の口座があれば、全国津々浦々のＡＴＭがほぼ完全に２４時間いつでも無料で使えるということですね。
そうした状況がありながらまだ、三菱東京ＵＦＪ銀行が深夜・早朝のＡＴＭ手数料の無料化に踏み切らない理由は・・・その時間帯にまだ実際にＡＴＭ手数料を払う利用者がそれなりにいて、それなりの手数料収入がある、ということでしょうね。利益が出ているのにみすみす失うことは、営利企業ではなかなかできません。
と、話がそれていますが、本題はそこではなく。
上記記事の一番のポイントはその次の行の「平日の日中（午前８時４５分～午後６時）に無料のコンビニＡＴＭを有料に切り替え、ＡＴＭでの振込手数料も上げる」ということですね！
何とイマドキ、コンビニＡＴＭ手数料を引き上げるということです。いやむしろニュースなのはこちらじゃないですか！？日経さん。大口広告主なのでネガティブなイメージが先行しないよう配慮した、ということですかね。
その詳しい内容ですが記事では「平日日中は無料から１０５円に、平日夜間や土日祝日は１０５円から２１０円にする」とのことですね。時期的には１１月以降とのことですので、このまま行くのかどうかは分かりませんが、驚きのサービス改悪と言えます。
というのも長い目で見れば、新規参入銀行のアグレッシブな手数料体系を受ける形で、メガバンクもサービス内容を徐々に改善してきたからですね。なぜこのタイミングでコンビニＡＴＭ手数料を有料化するのでしょうか？
もちろん、経営が苦しくて、ということではありませんね。三菱ＵＦＪグループの、この４～６月期の当期利益は２，５５３億円と桁違いです。年間なら１兆円ペースですね！
前年同期と比較しても約４割増加しています。
確かに顧客にコンビニＡＴＭを使われれば使われるほど運営会社に支払わないといけない手数料が発生しますし、自行のＡＴＭが遊ぶことになりＷで非効率的であるのは間違いありません。
実際のところ、コンビニＡＴＭの代表的な存在であるセブン銀行の４～６月期の当期利益は５９億円で、売上げにあたる経常収益は２５９億円ですが、その少なくない部分を三菱東京ＵＦＪ銀行が負担しているものと思います。仮にカード利用者の１割が三菱東京ＵＦＪ銀行ユーザーであれば、２６億円。２割なら５２億円、といった具合ですね。
これを減らせれば少なくとも三菱東京ＵＦＪ銀行の個人部門の損益は確かに改善されそうです。
とは言いつつグループ全体で見ればその１００倍の儲けが出ているわけですし、銀行サービス全体としては、長い目で見ればこうした手数料は減っていく流れです。
そうした流れに逆らってコンビニＡＴＭの手数料を有料化するというのは・・・やはり時代錯誤のような気がしますね・・・いかがでしょうか？
まだ本決まりではないと思いますが、このまま三菱東京ＵＦＪ銀行がコンビニＡＴＭ手数料の有料化に踏み切るのかどうか、そして三菱東京ＵＦＪ銀行ユーザーがどういう対応をするのか注目したいと思います。
ということで今回の読者アンケートは、「＜複数回答可＞三菱東京ＵＦＪ銀行が１１月以降、自行ＡＴＭ無料化＆コンビニＡＴＭ有料化を検討しているようですが、あなたが利用しているＡＴＭはどれ？手数料を払っている？」でいきましょう。投票は9月7日まで。
■＜複数回答可＞三菱東京ＵＦＪ銀行が１１月以降、自行ＡＴＭ無料化＆コンビニＡＴＭ有料化を検討しているようですが、あなたが利用しているＡＴＭはどれ？手数料を払っている？（9月7日まで）
http://www.ginkou.info/modules/xoopspoll/index.php?poll_id=949
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