まずは、前回の読者アンケートを振りかえってみます。「郵便貯金の預入限度額は現状の1,000万円から2,000万円に引き上げ予定のようですが、限度額が引き上げられたら、郵便貯金を今まで以上に利用するようになる?」では・・・
1位:私は郵貯ユーザーだが、今までと変わらない 57%
2位:私は郵貯ユーザーではないが、利用しない 32%
3位:私は郵貯ユーザーだが、今まで以上に利用する 6%
4位:私は郵貯ユーザーではないが、新たに利用する 2%
ということになっています。「今までと変わらない/利用しない」派が全体で9割近いわけで、これだけ見ると大きな影響はなさそうです。
また郵貯ユーザーに限ってみてもやはり「今までと変わらない」派が9割ということで郵貯未利用者と比べても結果は変わりません。なので仮に郵貯限度額を2,000万円に引き上げても大きく資金が動く感じはしませんね。
もちろん、「今まで以上に利用する/新たに利用する」派のほとんどは預貯金が1,000万円以上持っている人でしょうから、そういう人が動けば顧客数以上のインパクトがあるのかもしれませんが、それならペイオフ金額を現状の1,000万円から2,000万円に引き上げるという手もありますね。
中小の金融機関からすれば、メガバンクも郵便貯金も実質的に上限1,000万円にしておいてもらって、そこからあふれたおこぼれを預かりたいということかもしれませんが、そんなことをしなくてもメガバンクも郵便貯金も金を集める気がないのではないかと思えるくらいの超低金利ですからね。そこから0.1%と言わず、0.01%でも差をつければ充分戦えるのではないでしょうか?
個人的には郵便貯金の肥大化には反対です。資金を集めても国債を買うのが関の山ですからね。霞ヶ関にお金を集めても、絶対日本は良くなりません。これから日本の政府や公的機関をなるべく小さくしないといけないというのに、逆行する動きには断固反対です。
ただ一方で限度額引き上げにより郵便貯金にお金が集まる感じもしませんので、「やるならペイオフも2,000万円に引き上げてバランスをとれば?」という感じですかね。そうすると高金利の銀行にますますお金が集まり、郵便貯金はますます残高が減るかもしれませんね。それならそれで筆者としてはwelcomeです(笑)。
しかしこの郵貯の限度額の引き上げに関しては現政権のとんだ茶番を見せられましたね。テレビ番組で亀井大臣と菅大臣が「2,000万円」という金額に対して「言った」「聞いてない」という異例の言い争いをしたのです。まだご覧になっていない方はYoutubeで「亀井 菅」とかで検索すれば出てくると思いますのでチェックしてみてください。
恐らく筆者の憶測ではありますが、亀井大臣は本当に言ったのだと思います。ただ菅氏は亀井氏の進め方が気に食わなかったのでしょう。あるいは限度額の引き上げに反対なのかもしれません。他の、限度額引き上げに懸念を示している閣僚の立場も気遣ってああいう言い方をしたのかもしれません。
何が菅氏にそう言わしめたのかは分かりませんが、いずれにせよそれならそれでそういう風に言えばいいわけで、「聞いていない」という言い草はないですよね。子どものケンカのレベルです。いやー政治家としては最低ですね。
で、昨日の閣僚会議で大きな議論になるかと思いきや、サックリ「2,000万円でOK」との結論。結局は亀井氏の進め方が気に食わなかったということなのでしょう。くだらないですねー。
本気で国のことを想えば、進め方などどうでもいいはずです。「郵貯限度額の2,000万円引き上げにより国が良くなるのか」。良いと思えば、別に誰がどういう風に進めてもいいはずですし、悪いと思えばどれだけ正しく物事が進められている議論であっても体を張って止めるべきです。
報道の問題かもしれませんが、今回の件に関して言えば、少なくとも鳩山総理や菅氏からはそのあたりの考え方や姿勢が全く見えてこないですね。
亀井氏の考え方ははっきり言って間違っていると思いますし、彼の政治によって日本が良くなるとはとてもではないですが思えません。国民新党のHPを見てもらえればわかりますが、「小泉・竹中憎し」ということと「地方と中小企業にバラまく」ということしか書いていません。
http://www.kokumin.or.jp/seiken-seisaku/index.shtml
吐き気を覚えるほどくだらない主張ですが、少なくとも主義・主張がはっきりしており、考え方や姿勢が見えるという意味においては、政治家として鳩山総理や菅氏よりは100倍マシかもしれません。少なくとも本件においてはそうですね。
今度の参院選では民主党は惨敗しそうですね。そもそも前回の衆院選でも自民党と民主党の得票数の差はわずかです。結果ほどの差はありません。とはいいつつ今の自民党もおじーちゃんばかりですからね。河野太郎氏が党首になれば応援したくなるかもしれませんが。
やはり「小さな政府を目指す」と明言しているみんなの党でも応援しますかね・・・みんなの党が連立を組みキャスティングボードを握るようになれば、民主党の若手議員との相性も良さそうですし、意外にいい方向に政治が動くかもしれませんしね。
では、投票がまだの方はぜひ投票をお願いします。
〔投票〕http://www.ginkou.info/modules/xoopspoll/index.php?poll_id=572
〔前回のコラム〕http://www.ginkou.info/modules/xfsection/article.php?articleid=409
さて今回は、北九州銀行について。
--- Ginkou ---
北九州攻略へ新銀行を設立 山口FGが計画
http://www.sankeibiz.jp/business/news/100330/bse1003300505007-n1.htm
山口フィナンシャルグループ(FG、山口県下関市)は、北九州市で本部設置が初となる銀行を同市に新設する。地方経済の低迷で、地元企業の資金需要が伸び悩んでいるため、地域展開を強化する。
山口FGは、北九州市に全額出資の子会社「北九州銀行」(仮称)を2011年度にも設立する。傘下の山口銀行が九州内に置く22店舗を継承し、さらに九州北部に10店舗以上設置する計画だ。「地域密着型金融をよりきめ細かく実践する」(同社)ことが狙い。
地方銀行が本店所在地以外に拠点を広げる動きは、05年ごろから本格化した。京都銀行や横浜銀行、千葉銀行などはそれぞれ大阪や東京に店舗を増設している。
地域経済が疲弊するなか、地元で集めた預金を地元企業に貸し出す預貸率が50~60%程度にとどまっている。隣接する県外中核都市の資金需要を取り込めば、これを70%以上に伸ばして収益率を高められるケースが多いという。
〔 出典:サンケイビズ 〕
--- Ginkou ---
地味なニュースかもしれませんが、結構、「いい線」行っているのではないかと思えたのがこのニュースです。山口銀行が九州内の店舗をひとまとめにして新銀行を設立するということのようです。名称は仮ですが「北九州銀行」です。
経営の合理性から言えば、当然良くないですね。合併にしても買収にしても目指すのは経営を統合し、非効率な部門や重複する部門を整理し、全体として経営効率を高めるというものです。
特に日本の場合、経済が成熟し、そう簡単に市場が拡大しないばかりか、どちらかと言うと縮小する中では、効率を高め続けないと淘汰されてしまいます。なのでゆったりかもしれませんが、合併や経営統合を目指す動きが全体として進んでいるわけですね。
金融機関も当然、同じような環境下にありますので、まずはメガバンクなどの大手銀行を中心に合従連衡が進んだわけですが、今後、地方・地域の金融機関もスピードはともかく、やはり統合の動きが進んでくると思います。
上記の郵貯限度額引き上げによって大きな資金移動が起こるとは思えませんが、もし仮に起これば、よりそういった統合の動きというのは強まるのでしょうね。そうなればその金融機関にお勤めの方は大変だと思いますが、日本経済の今の流れから考えれば必然という気もします。
そんな中、山口銀行はあえて時代の流れに逆行する、新銀行設立という大げさな手段に出たわけですね。
別銀行にすることで、間接部門は確実に人が増えることになります。総務も人事も広報もITも法務も企画も最低限の人数が必要ですから、その分だけ「直接的には稼がない人」が増えることになり、そういう人々も食べさせるとなると経営効率は間違いなく落ちますね。
ではなぜそんなデメリットを許容した上でわざわざ新銀行を設立するかと言うと「北九州銀行」という「九州の銀行」を作るためですね。
経営としては悪手かもしれませんが、マーケティング的には・・・アリだと思います!
九州の会社なら、やはり本州の銀行ではなく、九州の銀行と取引したいでしょう。そして福岡の会社なら、やはり福岡の銀行と取引したいですよね。なぜなら・・・郷土愛があるからです。
ふるさとに対する思いというのはやはり特別ですよね。
もちろん、メガバンクなら2%で貸してくれるのに地場の銀行なら3%、という場合に、それでも地場の銀行から借りるという人は少ないでしょうけれど、基本的にはどの銀行も横並びですからね。横並びならやはり地元の金融機関で、という人は多いのではないでしょうかね。
筆者も条件が同じでメガバンクと地場の銀行を選ぶとなれば、何となく地場の銀行を選びそうな気がしますね。
そこには郷土愛だけでなく、地場の銀行の方がATMや支店の数が多かったり、担当者がすぐに飛んできてくれたり、あるいはお金を借りるとなるとそういう地場の銀行の方が最後の最後は頼りになる、という現実的なメリットも選択の理由になるとは思いますが、やはりそれだけでなく「ふるさとの銀行を応援したい」という気持ちもプラスに働くと思います。
やや上記と矛盾するかもしれませんが、淘汰されるといわれ続けながら地方・地域の金融機関がどっこい生き延びているのも、やはりそういった「郷土愛」に支えられている部分も多いのではないでしょうか?
金融機関の選択は何も絶対「経済合理性で説明つくものでないといけない」というわけではありませんから、そういう差別化も充分アリだと思います。
その点からもこの「北九州銀行」設立という試みは結構、「いい線」行っていると思いますがどうでしょうね!?あとはどこまで「地場の銀行」になりきれるか、ですね。それこそ九州出身の人間しか採用しないとか、福岡弁を公用語とするとか(笑)。健闘を祈りたいと思います。
さて、今回の読者アンケートは、「山口銀行は九州での地盤拡大のためにわざわざ北九州銀行を設立するようですが、やはり地元の金融機関には愛着がある?」でいきましょう。4月30日まで。
■山口銀行は九州での地盤拡大のためにわざわざ北九州銀行を設立するようですが、やはり地元の金融機関には愛着がある?(4月30日まで)
http://www.ginkou.info/modules/xoopspoll/index.php?poll_id=574
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