劇場と映画、ときどき音楽と本

オペラ、バレエ、歌舞伎、文楽などの鑑賞日記です

「六区風景 思ひ出の浅草」を聞く

2017-12-05 11:33:40 | 音楽
2枚組のCD「六区風景 思ひ出の浅草」を聞く。浅草の全盛期は大正時代であり、関東大震災によりかなり上演の内容が変わったり、その後徐々に興行の中心が丸の内界隈に移ったという。僕はもちろん、本で読んだり話に聞くだけで、その全盛期をリアルタイムには知らない。

しかし、浅草オペラのスターたちの活躍や、曾我廼家五九郎などの演劇について、実際のところどんな感じだったのか知りたいと思っていたが、SP盤からCDに復刻したものがあると知り、聞いてみた。2014年に「ぐらもくらぶ」という、こういう古い音源を専門に出しているところのCD。

日本でコロムビアやビクター、キングなどの大手レコード会社が本格的に活動を始めたのは、昭和になってからなので、大正時代の録音は小さなレコード会社が当時作ったものの現物を集めて復刻するしかないのだろう。

このCDは2枚組で、1枚目はいわゆる「ジンタ」による呼び込みの演奏の定番「天然の美」に始まり、おもに浅草オペラでヒットした曲を当時の録音で納めている。よく話に出てくる「古城の鐘」「フラ・ディアボロ」「恋はやさしき野辺の花」「ブン大将」「女軍出征」などが収録されている。

2枚目は活動写真の活弁、軽演劇などが収録されていて、古川ロッパの「笑いの王国」や松竹歌劇団のターキー、漫談、落語、最後には「浅草行進曲」の入っているので、一通りの浅草名物を体験できる。

入っていないのは、大震災後に流行したドジョウすくいの「安来節」と「剣戟芝居」ぐらいか。

こうした古い録音が簡単にCDで聞けるようになったのは本当にありがたい。これで、大正時代の浅草のイメージがだいぶ湧いた。