【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「パブリック・エネミーズ」:荒川四丁目バス停付近の会話

2009-12-12 | ★草63系統(池袋駅~浅草雷門)

あー、こんなところに病院が。体調診てもらおうかしら。
どうしたんだ、象につぶされてもピンピンしていそうなお前が?
だって「パブリック・エネミーズ」を観ようとシネコンに行ったら、「ワンピース」の客で長蛇の列なんだもの。開映時間までにチケット買えないんじゃないかと気が気じゃなくて疲れちゃった。
たしかに、あれじゃあ、「ワンピース」の客は入ったかもしれないけど、他の映画を観る客は減って、シネコン全体としては、客が増えたのか減ったのかわからないんじゃないかな。
でも、「パブリック・エネミーズ」は、そんな状況を乗り越えてまで観たかいがあったわ。
1930年代に実在したギャング、ジョン・デリンジャーの物語なんだけど、完全に、彼を演じるジョニー・デップのスター映画になってた。
「チャーリーとチョコレート工場」や「スウィーニー・トッド」みたいに変装をするのが大好きなジョニー・デップなんだけど、さすがに今回は素顔でギャングを演じている。
その立ち居振る舞いが、いちいちかっこいい。ひらりと障害物を越えて銀行強盗をする場面なんて、男でもほれぼれする。
台詞も、いちいち決まってるんだな、これが。
「あなたのこと、何にも知らないわ」という女に返す一言とか、死に際に女に残す一言とか、たとえば、俺みたいにハンパな男が言ったら噴飯ものの台詞なのに、スター☆ジョニー・デップが言うと、とろけるような台詞になる。
よくわかってるわね、自分のこと。
その彼を追いつめる捜査官が、地味なヒーローを演じたら当代一のクリスチャン・ベイル。
いまや、バットマンより、「3時10分、決断のとき」のほうが代表作になってしまった役者だけど、彼の渋さが映画の重しになっている。
とにかく、ギャングとFBIの対決っていう構図が、いまどき、わかりやすくていいよな。
近頃は誰が味方で誰が敵だかわからないような映画が多くなっちゃって、考えるだけで疲れるのよね。
まあ、ジョニー・デップも最後は味方に売られちゃうんだけどな。
時代が移り変わっていく中で、仲間からも邪魔にされちゃうのよね。哀れジョニー・デップがどんどん孤独になっていく過程を描いた映画っていう観方もできる。
その一方、監督が硬派のマイケル・マンだから銃撃戦はすごい。
いったい何発弾を撃てば気が済むのよって思っちゃう。
花火大会だと、よく10万発とか20万発とかって派手に宣伝するけど、この映画、合計何発弾を撃ったか誰か数えてくれないかな。
そしてなんといっても目に焼きつくのは、1930年代アメリカの情景。
当時の街並とかファッションとかは、ほんとに観ていて心地いい。
今年公開されたイーストウッドの映画「チェンジリング」もあの頃の時代の話よね。1930年代って、映画という媒体と相性がいいのかしら。スクリーンにとてもしっくりはまってる。
「ワンピース」もいいけど、青少年諸君にはこういう映画も観てほしいなあ。
いっそ、二本立てにしてくれたらいいのにね。
おいおい、そんなことしたら、チケット買うまでに何時間かかるかわからないぞ。
そりゃそうだ。





この記事、まあまあかなと思ったら、クリックをお願いします。




ふたりが乗ったのは、都バス<草63系統>
池袋駅東口⇒豊島区役所前⇒上池袋一丁目⇒上池袋三丁目⇒上池袋四丁目⇒堀割⇒西巣鴨⇒新庚申塚⇒巣鴨四丁目⇒とげぬき地蔵前⇒巣鴨駅前巣鴨駅南口⇒本駒込六丁目⇒千石一丁目⇒本駒込二丁目⇒白山五丁目⇒東洋大学前⇒白山上⇒駒込千駄木町⇒千駄木一丁目⇒団子坂下⇒千駄木三丁目⇒道灌山下⇒西日暮里駅前⇒西日暮里五丁目⇒西日暮里一丁目⇒荒川四丁目⇒荒川三丁目⇒荒川区役所前⇒荒川一丁目⇒大関横丁⇒三ノ輪駅前⇒竜泉⇒千束⇒西浅草三丁目⇒浅草公園六区⇒浅草一丁目⇒浅草雷門












最新の画像もっと見る

8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
スゴかったです~(泣) (Ageha)
2009-12-13 09:23:53
いや、ワンピースの行列が(笑)
9時の段階で
土日ソールドアウトで。朝8時から公開て。
みんな何時に来たん?


さて。
いちいちカッコ良かったんですが
ジョニーを愛でる事はできても
作品そのものにのめり込めなかったです。うぅぅ。
ジョニーは目立ってたんですけどね
そのぶんほかのメンツが誰が誰だか…(泣)
返信する
■Agehaさんへ (ジョー)
2009-12-13 19:52:35
ワンピースのファンてみんな早起きなんですね、とヘンなところで感心。

で、

>ほかのメンツが誰が誰だか。

たしかに。日本でいえば、あの名作「仁義なき戦い」も誰が誰だかだったような気がします。この手のギャング映画の宿命なんでしょうかね。
返信する
こんにちは~♪ (由香)
2009-12-14 08:44:16
お邪魔します♪

ワンピースは大人気なようですね~
家も息子が観たがっているので、連れてってあげようと思っています^^

ジョーさんは評価が高いですね~
この作品を男臭い映画としてお気に召した方も多いみたい。
私は、、、ジョニーとベイルが出る映画だ、きゃ~~~ってノリで観たので(恥)ちょっと肩透かしでした(泣)
もうちょっと盛り上がりが欲しかったですぅ~
返信する
Unknown (えふ)
2009-12-14 19:01:46
あちこちでワンピースの行列だったようですね(苦笑
時間ギリギリに行ったら入口からはみ出してるのでどうしよう~~~
とおもったら優先的にチケット買わせてくれました。

おかげで銃撃戦を見てすっきり満足しました(爆
返信する
■由香さんへ (ジョー)
2009-12-19 18:18:07
評価高いです。
クラシックな匂いが好ましいんですよね。
返信する
■えふさんへ (ジョー)
2009-12-19 18:20:04
ワンピースの力、すごいですね。
あの半分でも他の映画を観てくれたら
映画界も変わるんでしょうけどね。
返信する
こんばんは (未来)
2010-01-24 23:27:31
>地味なヒーローを演じたら当代一のクリスチャン・ベイル・・
ウマすぎます、なんでこうなっちゃったんだろう。。。
私的には・・・「ジョニーがステキだった!」
というだけの作品でした。。。
返信する
■未来さんへ (ジョー)
2010-02-03 19:14:29
クリスチャン・ベイルはこういう時代が求めるヒーローなのかもしれませんね。
彼に比べるとこの映画では、ジョニーのほうが正統派に見えてしまいます。
返信する

コメントを投稿