Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関係の面白そうな文献を紹介していきたいと思います。ただし、紹介するだけなので、興味を持ったら読んでね!

改めて思ったこと。

2017年06月15日 | ひとりごと
長くなりそうな気がするので、引用を多めにして、できる限り短くなるように努力してみる。

まず、以前に書いたこの二つ(そう言えば、5年前はいつもたくさん書いていた)。
敗血症性ショックとステロイド
Propensity scoreの精度

もしくは、この3つを読んだ方が直接的。

Casserly B, Gerlach H, Phillips GS, et al.
Low-dose steroids in adult septic shock: results of the Surviving Sepsis Campaign.
Intensive Care Med. 2012 Dec;38(12):1946-54. PMID: 23064466.


Casserly B, Gerlach H, Phillips GS, et al.
Evaluating the use of recombinant human activated protein C in adult severe sepsis: results of the Surviving Sepsis Campaign.
Crit Care Med. 2012 May;40(5):1417-26. PMID: 22430247.


Day AG.
Why the Propensity for Propensity Scores?
Crit Care Med. 2015 Sep;43(9):2024-6. PMID: 26274709.


これらを読んですぐ分かることは、
・観察研究で、医療者による治療法の選択というバイアスをなくすことはできない。
・Propensity scoreは多変量解析よりも偉くない。

ーーーーーーーーーー

上記を全部読んで考えてくれたと仮定して、もうちょっと進む。

すでに多施設RCTで結論が出ていることに、多施設観察研究で異なった結果が出たら、何か変わるのだろうか。何か医学の進歩に貢献するのだろうか。そういう時もあるかもしれないけど、少なくとも、ICU患者さんに対する一つの薬剤やデバイスの有効性の評価は変わらない。APCはもう世の中にないし、敗血症性ショックのステロイドは好き嫌いの問題になった。

では、有効かもしれない可能性は示唆されていて、現在多施設RCTが行われているけど結果が出ていない治療法はどうか。
では、有効かもしれない可能性は示唆されているけれど、多施設RCTは行われていない治療法はどうか。
そういう状況であれば、多施設観察研究でその治療法の効果について検討したら医学の進歩に貢献するのだろうか。
いやいや、そんなことはないでしょう。RCTが行われているならその結果を待てばいいし、有効性がすでに示唆されているのであれば誰かがRCTを行わないと進歩しない。

そこに多施設の大きなデータベースがあれば、医学の進歩に貢献しない研究をしてもいいのか。誰かが「Nの暴力」という表現をしていたが、本当にその通りだと思う。

すでに有効かもしれないとされている治療法についての多施設観察研究をやるのは、その結果に基づいてサンプルサイズや研究期間を推定してRCTを行うときだけにしませんか?

Ridgeon EE, Bellomo R, Aberegg SK, et al.
Effect sizes in ongoing randomized controlled critical care trials.
Crit Care. 2017 Jun 5;21(1):132. PMID: 28583149.

ANZICS-CTGの人たちによる、治療法の有効性を推定するにはどうすればいいか、について考えようという研究。

世界はもうずっと向こうに行ってしまっているよ。
我々もそろそろ前に進みましょう。ちょっとずつでいいから。
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