Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
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結果が予想と真逆のRCT

2016年06月27日 | 消化器・血液
を最近二つ見た。
両方とも出血に対する輸血製剤の投与の話。

Rahe-Meyer N, Levy JH, Mazer CD, et al.
Randomized evaluation of fibrinogen vs placebo in complex cardiovascular surgery (REPLACE): a double-blind phase III study of haemostatic therapy.
Br J Anaesth. 2016 Jul;117(1):41-51. PMID: 27317703.


CPBを要する大動脈の予定手術患者で、CPB離脱後で5分間に60-250gの出血が見られた152例に対し、フィブリノーゲン製剤を投与するかどうかでRCT。Primary outcomeは術後24時間以内の輸血(RCC, FFP, PC)量。その結果、フィブリノーゲン投与群のほうが輸血量が多かった(5単位 vs. 3単位, p=0.026)。

Baharoglu MI, Cordonnier C, Salman RA, et al.; PATCH Investigators.
Platelet transfusion versus standard care after acute stroke due to spontaneous cerebral haemorrhage associated with anti platelet therapy (PATCH): a randomised, open-label, phase 3 trial.
Lancet. 2016 May 9. [Epub ahead of print] PMID: 27178479.


オランダ、イギリス、フランスの60施設。抗血小板薬を投与されている患者が脳出血を発症し、GCSが8以上で、発症6時間以内に研究に参加できた190例が対象。診断90分以内に血小板輸血を行うかどうかでRCT。Primary outcomeは3ヶ月後のmRS。その結果、血小板輸血を受けた群のほうが有意に神経予後も死亡率も悪かった。

どちらの研究も機序は詳しく書いていない。想定外なんだから、そりゃそうだ。

抗血小板薬内服中の出血に対して血小板輸血をしたことはないのだけど、やった方がいいのかなー、と漠然に思っていた。
根拠の強さと潜在的副作用とコストの天秤はやはり大事である、ということか。
もちろん、これらの研究は大きくないので、その結果をそのまま真に受けるものではないのだけど、とりあえず積極的にやる理由はなくなった、ということでいいのでしょう。
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