Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関係の面白そうな文献を紹介していきたいと思います。ただし、紹介するだけなので、興味を持ったら読んでね!

RRT中の抗菌薬の投与量

2017年06月22日 | 腎臓
調子に乗って、AKI特集号からもうちょっと紹介することにする。

Roberts JA, Lefrant JY, Lipman J.
What's new in pharmacokinetics of antimicrobials in AKI and RRT?
Intensive Care Med. 2017 Jun;43(6):904-906. PMID: 28386727.


2ページですごく短いので、これを読んでも投与量をどうしたらいいかは分からない。
何が分かるかというと、サンフォードを見て投与量を決めるのは馬鹿らしい、ということぐらい。
それだけでも十分だと思う人は読んでごらん。
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ICU患者に造影剤腎症は起こるか?

2017年06月21日 | 腎臓
まあ、この特集の中で面白いと思うやつを強いて挙げるとしたら、これかなー。

McDonald JS, McDonald RJ, Williamson EE, et al.
Post-contrast acute kidney injury in intensive care unit patients: a propensity score-adjusted study.
Intensive Care Med. 2017 Jun;43(6):774-784. PMID: 28213620.


Ehrmann S, Quartin A, Hobbs BP, et al.
Contrast-associated acute kidney injury in the critically ill: systematic review and Bayesian meta-analysis.
Intensive Care Med. 2017 Jun;43(6):785-794. PMID: 28197679.


一つ目は造影CTを施行した人と単純CTを施行した人をマッチングして比較した一施設観察研究、もう一つは10個の比較研究をまとめたメタ解析。どちらも基本的に造影剤はICU患者にAKIを起こさないが結論。
重症患者にはAKIが起こる理由がたくさんあるから、造影剤の影響は小さい。

もちろん、そんなわけない。
普通の人でも一定の確率で起こるし、腎臓が悪い人ではもっと起こるのだから、当然ICU患者でも起こる。
ただ、それを比較研究としてやっても、発生頻度的に決して大きくないだろうし、結局は造影剤を使っても良い(悪い)という判断が行われているのだから、どうしてもバイアスが消せない。

造影剤を使用するかどうかのRCTなんて誰もやらないだろうから、この話題は永遠にこのまま。
腎臓が大事か診断価値が大事か、いつも天秤にかけましょう。
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ICMの今月号はAKI特集

2017年06月20日 | 腎臓
Volume 43, Number 6 / June, 2017

こういうの、逆に困るんだよね。
AKIの文献を見かけると基本的にダウンロードすることにしているのだけど、こうもたくさんあると、読む気がなくなる。
まあ、仕方ないのでいくつか読んだけれども。

こういう企画は現在の知識のまとめになるから、これは面白い!というのはなかなかない。一つだけ読むなら、やっぱり最初のこれだろうか。

Bellomo R, Vaara ST, Kellum JA.
How to improve the care of patients with acute kidney injury.
Intensive Care Med. 2017 Jun;43(6):727-729. PMID: 28600756.


プロローグとして、この特集に掲載されている文献が紹介されているので、まずこれを読んで、興味を持ったらその文献を読む感じでもいいかもね。

ちなみに、
もうこういう企画ものでは相手にされなくなったのだけど、今回はちょっとだけお呼ばれしました。

Bagshaw SM, Darmon M, Ostermann M, et al.
Current state of the art for renal replacement therapy in critically ill patients with acute kidney injury.
Intensive Care Med. 2017 Jun;43(6):841-854. PMID: 28289816.


一段落だけね。
どこを書いたかは恥ずかしいから秘密。
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CMVの再活性化の予防

2017年06月19日 | 感染
Cowley NJ, Owen A, Shiels SC, et al.
Safety and Efficacy of Antiviral Therapy for Prevention of Cytomegalovirus Reactivation in Immunocompetent Critically Ill Patients: A Randomized Clinical Trial.
JAMA Intern Med. 2017 Jun 1;177(6):774-783. PMID: 28437539.


CMV-IgGが陽性のICU患者にバラシクロビルかバラガンシクロビルを予防投与したら、CMVの再活性化(血中のPCRが陽性になる)を防げるか、という一施設RCT(N=124)。結果は、予防可能だけど死亡率が増えちゃった。

ICU在室期間が比較的長期になった患者さんのC7-HRPとかを誰かが調べることがある。あ、出しちゃったな、と思う。そしてそれが陽性で返ってくると、治療が始まることが多い。あ、始まっちゃったな、と思う。検査しちゃダメとか治療しちゃダメとかは思わないのだけど、自分からはしないようにしている。

ICU患者ではCMVが再活性化していることが多い、再活性化すると予後が悪い。ここまではよく言われていることで、この研究が初めての介入(というより予防)研究。結果は、ちょっと予想外。

さて。
これで結論ではもちろんない。
次はどうなるかな?
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重すぎる人と軽すぎる人にとっての経静脈栄養

2017年06月18日 | 消化器・血液
Wischmeyer PE, Hasselmann M, Kummerlen C, et al.
A randomized trial of supplemental parenteral nutrition in underweight and overweight critically ill patients: the TOP-UP pilot trial.
Crit Care. 2017 Jun 9;21(1):142. PMID: 28599676.


以前の観察研究の結果をベースに(お、ちゃんとやってらっしゃる)、軽すぎる人(BMI<25)と重すぎる人(BMI>35)を対象に、追加の経静脈栄養の有効性について検討する予定のRCT(TOP-UP study)のためのpilot研究。125例を対象に行われ、この研究デザインでやれそうだな、というのが結論。

栄養については分からないことだらけなので、どんどん研究はやってほしいけど。
そりゃアメリカ人にとってはBMI<25はunderweightかもしれないが、日本人では普通ですよ?
この研究の結果がポジティブだったら、どうしたらいいのかしら?

Health Effects of Overweight and Obesity in 195 Countries over 25 Years
The GBD 2015 Obesity Collaborators
June 12, 2017DOI: 10.1056/NEJMoa1614362


NEJMに出たばかり。
Figure 2がちょー綺麗。
そして、アメリカ人ちょーデブ、日本人ちょーガリ。
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敗血症の管理

2017年06月17日 | 感染
敗血症続きで、これも。

Berger RE, Rivers E, Levy MM.
Management of Septic Shock.
N Engl J Med. 2017 Jun 8;376(23):2282-2285. PMID: 28591533.


おお。
やっぱりRivers先生は今でも臨床でEGDTをしているらしい。
それとも、Pro/Con用に書いただけかな?

ずいぶん前、Intensive insulin therapyで有名になったベルギーの病院の集中治療医に会った時のこと。もうNICE-SUGARも発表されていて、今はどうしているのかと聞いたら、IITはやっている、当然でしょ、と言われた。

今更やめられないのかもしれないし、そこの施設では有効性が示されたものをやめる必要がないのかもしれないし。
そういうものなのかな、と思った。
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敗血症にビタミンC

2017年06月16日 | 感染
Marik PE, Khangoora V, Rivera R, et al.
Hydrocortisone, Vitamin C, and Thiamine for the Treatment of Severe Sepsis and Septic Shock: A Retrospective Before-After Study.
Chest. 2017 Jun;151(6):1229-1238. PMID: 27940189.


死にそうな敗血症にビタミンCを投与してみたら劇的に効いたのでルーチンにしてみたら、死亡率が40%から8%に減ったよ、という一施設before-after研究。
ちなみにステロイドはビタミンCの効果を強めるため、チアミンはビタミンCの副作用を減らすため。

面白い。
観察研究について昨日どうこう書いたけど、こういうのはいいね。効果の有無の検討じゃなくて、提案だから。

ただし、日本人がまったく同じ研究をしていたらCHESTに載ったかどうかはわからない。筆頭著者がかのMarik先生だからかもしれないので、そこは割り引いておこないと。
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改めて思ったこと。

2017年06月15日 | ひとりごと
長くなりそうな気がするので、引用を多めにして、できる限り短くなるように努力してみる。

まず、以前に書いたこの二つ(そう言えば、5年前はいつもたくさん書いていた)。
敗血症性ショックとステロイド
Propensity scoreの精度

もしくは、この3つを読んだ方が直接的。

Casserly B, Gerlach H, Phillips GS, et al.
Low-dose steroids in adult septic shock: results of the Surviving Sepsis Campaign.
Intensive Care Med. 2012 Dec;38(12):1946-54. PMID: 23064466.


Casserly B, Gerlach H, Phillips GS, et al.
Evaluating the use of recombinant human activated protein C in adult severe sepsis: results of the Surviving Sepsis Campaign.
Crit Care Med. 2012 May;40(5):1417-26. PMID: 22430247.


Day AG.
Why the Propensity for Propensity Scores?
Crit Care Med. 2015 Sep;43(9):2024-6. PMID: 26274709.


これらを読んですぐ分かることは、
・観察研究で、医療者による治療法の選択というバイアスをなくすことはできない。
・Propensity scoreは多変量解析よりも偉くない。

ーーーーーーーーーー

上記を全部読んで考えてくれたと仮定して、もうちょっと進む。

すでに多施設RCTで結論が出ていることに、多施設観察研究で異なった結果が出たら、何か変わるのだろうか。何か医学の進歩に貢献するのだろうか。そういう時もあるかもしれないけど、少なくとも、ICU患者さんに対する一つの薬剤やデバイスの有効性の評価は変わらない。APCはもう世の中にないし、敗血症性ショックのステロイドは好き嫌いの問題になった。

では、有効かもしれない可能性は示唆されていて、現在多施設RCTが行われているけど結果が出ていない治療法はどうか。
では、有効かもしれない可能性は示唆されているけれど、多施設RCTは行われていない治療法はどうか。
そういう状況であれば、多施設観察研究でその治療法の効果について検討したら医学の進歩に貢献するのだろうか。
いやいや、そんなことはないでしょう。RCTが行われているならその結果を待てばいいし、有効性がすでに示唆されているのであれば誰かがRCTを行わないと進歩しない。

そこに多施設の大きなデータベースがあれば、医学の進歩に貢献しない研究をしてもいいのか。誰かが「Nの暴力」という表現をしていたが、本当にその通りだと思う。

すでに有効かもしれないとされている治療法についての多施設観察研究をやるのは、その結果に基づいてサンプルサイズや研究期間を推定してRCTを行うときだけにしませんか?

Ridgeon EE, Bellomo R, Aberegg SK, et al.
Effect sizes in ongoing randomized controlled critical care trials.
Crit Care. 2017 Jun 5;21(1):132. PMID: 28583149.

ANZICS-CTGの人たちによる、治療法の有効性を推定するにはどうすればいいか、について考えようという研究。

世界はもうずっと向こうに行ってしまっているよ。
我々もそろそろ前に進みましょう。ちょっとずつでいいから。
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ARDSは今年で50周年

2017年06月14日 | 呼吸
だそうで、いろいろな雑誌でレビューとかを見かける。
これもそのうちの一つ。

The Lancet Respiratory Medicine Volume 5, No. 6, p524–534, June 2017
Clinical trials in acute respiratory distress syndrome: challenges and opportunities
Dr Michael A Matthay, MD, Dr Michael A Matthay, Dr Michael A Matthay, et al.


ありがちな内容なのでスルーしてもよかったのだけど、
Table 5に現在進行形のARDSに対する介入研究がまとめられていて、へー、phase IIIが5つもあるんだ、と思ったのと、
Table 2に過去のARDに対する薬剤介入がまとめられていて、無効とされた数ある薬剤の中に普通にsivelestatが書いてあったのとで、紹介しておこっと思った。

Sivelestatって、ほんと、過去の薬になったね。
ね?
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慈恵ICU勉強会 170606

2017年06月13日 | ICU勉強会
6日 AKIの診断における尿量の意義

ホームページのタイトルとスライドのタイトルに乖離がある。尿量に限らず、AKIの診断基準についての21世紀以降の歴史と現状について、だと思ってください。

よくまとまっているので、復習にはちょうど良いかも。
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