Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

夜間にICUに医者がいること

2015年04月17日 | ICU・システム
Kerlin MP, Harhay MO, Kahn JM, Halpern SD.
Nighttime intensivist staffing, mortality, and limits on life support: a retrospective cohort study.
Chest. 2015 Apr 1;147(4):951-8. PMID: 25321489.


アメリカのIMPACTのデータベースを使い、143のICUの約27万例のデータを解析。夜に集中治療専門医がいる、集中治療以外の専門医がいる、研修医やフェローがいる、医者がいない、と4つに分けて、病院死亡率に与える影響について解析。その結果、夜に集中治療専門医がいる場合に比べ、医者がいない場合で死亡率が有意に低下(OR 0.79)した。

ということで、夜は無医村がよろしいようで。

この研究、あのNEJMのRCTと同じ人がやっている。ICUの医者なんだよね、この人。よっぽど夜に働きたくないのかな。

それはさておき、これまでの研究をまとめるとこんな感じ。
・ICUに集中治療専門医がいると予後が良くなりそう。
・でも夜にいても予後には影響なさそう。
これって、納得がいかなくもない。

夜に専門医がいることのメリットって、
・急変時にすぐに対応できる(適切な対応、ということにする)
・夜闇の急患に対しての初期診療ができる(適切に、ということにする)
の2点だろうか。
それに比べ、日中に専門医がいることのメリットって、上記に加えて、
・今日の治療方針を専門的視点から立てられる
・いろいろなプロトコルやルールが導入できる
・スタッフへの教育が行える
などなど、単に患者さんの診療だけでなく、いろいろな要素がある。そういういろいろなことが、予後に影響している、のかもしれないし、していないかもしれない。
そもそも我々の存在意義なんて証明されていないので、これ以上偉そうなことを言うとまた怒られそうだ。
信じたいけれどもね。
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