ま、いいか

日々の徒然を思いつくままに。

「限界にっぽん」「トールキンの「ホビット」を探して」

2014-07-10 11:13:53 | 日記
「限界にっぽん」 朝日新聞経済部 岩波書店 2014.3.27

――悲鳴をあげる雇用と経済――

「追い出し部屋」と呼ばれる部署がある。
そこで、過酷なノルマ、連日のダメ出しによって退職を迫られる社員たち。
一方、「超国家企業」は、人切りのあげくに、人材を安く買い叩こうとしている。
このにっぽんでは、正社員も非正規社員も、安心して働くことは不可能になった。
「追い出し部屋」は、私たちの社会がたどり着いた限界の象徴だ。
そこで何が起きているのか、なぜこんなことになってしまったのか。

「あなたにやってもらう仕事はないのです」
「会社存続のための決定です」

 非正規だけでなく大企業で正社員として雇われた人までが人減らしの対象となり、
 希望退職を断ると「追い出し部屋」などと呼ばれる部署で「社内失業」している。

アパートを借りることもできない。
 ネットカフェにも泊まれない人たちがマクド難民と呼ばれる。

様々な実態があげられていたが、だめ押しのような既視感。
 
 HOYAがシンガポール、サンスターがスイスなど、経営トップが海外にいる企業も増えている。
 国内よりは情報がバランスよく入る、に得心。

 国というものを、どうとらえるのか、
 今、そしてこれからの生活をどうするのか、
 国全体で考えなくてはいけないと、改めて思う。

 「おわりに」に、

  法人減税や雇用規制の緩和で企業が利益を確保しやすくなったが、巨額の内部留保を積み上げただけで、
  働き手への還元は二の次になった。富める者と貧しさに苦しむ者との格差はさらに拡大し、
  雇用を大事にする日本型経営は崩れつつある。だが、安易な人減らしでもうけを維持し、
  雇用を放棄する企業経営に、真の成長はない。縮小均衡という負の連鎖を断ち切り、
 働き手の側に立った経済システムを再構築しなければ、成熟経済の「限界」を
  突破することはできないのではないだろうか。

 と、あった。

だから、こうすればいいのでは?という具体案は見えない。
 一石を投じるしかできないのは、この手の本の限界だろうが。


「トールキンの「ホビット」を探して」 コリー・オルセン 角川学芸出版 H26.1.25

 『ホビット』の成立ちから『指輪物語』誕生までの秘話や、ビルボをはじめとする個性豊かな
 キャラクターたちの人物造形、数々の歌やエピソードに込められた、思わぬ仕掛けやメッセージ。
 壮大な冒険をたどりながら、ユーモアを鋭い考察力で物語を読み解いてゆく。

 借りなおして、1ヶ月も手元にあったのに、ほとんど読めなかった。
 丁寧に読み込む時間も気力もなくて・・・・・・(^^;

 ホビットも、指輪も、20代の頃から何度も読んで、挙句の果ては原文も目を通したけれど、
 各所に出てくる歌は、じっくり読んだことがない。
 
 今はしっかり読み込む余裕がない。
 この書も、サラッと流してとりあえず返すことにした。

 1937年に出版された『ホビット』、1954年に出版された『指輪物語』
 深い世界が描かれている。

 読み飛ばしてしまいがちなエルフやドワーフたちの歌は、それぞれの種族の生のありようや
 世界観を反映している。
 ゴラムのなぞなぞやドワーフの歌の一部には、トールキンの物語世界の中心をなす、
 光と闇をめぐる深遠な形而上学が垣間見える。そして竜のもたらす病と荒廃には、
 現代社会への批判を読み取ることもできる。

 やはり、ファンタジーの金字塔。
コメント
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