「高校入試」 湊かなえ 角川書店 H,25,6,25
県内有数の進学校、橘第一高校入試前日。
帰国子女の新任教師、香山杏子は教室の黒板に「入試をぶっつぶす!」と書かれた貼り紙を見つける。
迎えた当日。最終科目の英語の時間に、持ち込み禁止だったはずの携帯電話が教室に鳴り響く。
振り回される学校側と、思惑を抱えた受験生たち。
並行して、掲示板に書き込みが――
試験会場からと思われる書き込みもあった。
入試についてくる親、地方都市の名門校の上から目線のプライド、OBの結束感・・・
PTA会長や県議など、権威をかさにきた横暴とも思える横やりが腹立たしくもあり、、
いかにも、ありなんとも思える。
「世界から猫が消えたなら」 川村元気 マガジンハウス 2012.10.25
著者は1979年生まれ。
ヘェ~、「電車男」「告白」などのプロデューサーなんだ。
突然宣告された脳腫瘍、ステージ4。
治癒の可能性なし、余命は長くて半年、ともすれば1週間と。
そこに悪魔があらわれる。
何かを消すと、1日寿命が延びると言う。
この発想がなかなか。
火曜日、電話を消し、水曜日、映画を消し、木曜日、時計を消し。。。
金曜日、猫は消せなかった。。。
そして、僕が消えたら・・・
父や母との関係、別れた彼女とのこと、
僕は過去を振り返る。
根底に流れるのは、母の死後口をきかなくなった父とのことか。
父は時計屋だ。
悪魔は言う。
太陽が昇って沈むというサイクルは自然現象として確かに存在するのですが
そこに『時間』をつけて呼んでいるのは、人間だけなんです。
みなさん人間は世界をあるがままに見ていると勘違いしているんですが、実際は
自分たちの都合のよい定義にあてはめて視ているだけなんすよ。
僕は思う。
人間はわざわざ自分たちを制限する時間という決まり事を発明した。さらに、その
時間と言う決まり事を確認するために、時計を発明した。
決まり事がある、ということは同時に不自由さを伴うことを意味する。(略)
自由は不安を伴う。
人間は、不自由さと引き換えに決まり事があるという安心感を得たのだ。
猫も何も消さないと決めた僕に「もっといきることができたはず」と悪魔が言う。
僕はこたえる。
「でもただ生きることには意味がないじゃないですか。どう生きるかに意味があるんじゃないですか」
う~ん、ちょっと考えさせられる。
そして本当の姿を問われた悪魔は、実は姿はないと。
心の中にあって、その心の中にある悪魔と言う存在に、いろいろな像を描くだけと。
無数にある小さな後悔、そこを分かれ道として逆に生きたらこういう姿だったということ
なんじゃないでしょうか。それはある種の理想であり。なりたいけど、なれない自分。
自分に一番近くて遠い存在。
「蒼龍」 山本一力 文藝春秋 h14.4.15
のぼりうなぎ、節分かれ、菜の花かんざし、長い串、蒼龍、の5作。
いずれも良い。
「長い串」・・・縁と信頼をしみじみ感じた。
「心星ひとつ」 高田郁 角川春樹事務所 2011,8,18
みをつくし料理帖第6作。
吉原にて天満一兆庵を再建しないかという話と、神田の登龍楼を居抜きで売るので
つる家として移って来ないかという話が持ちかけられ、澪は岐路にたたされる。
想いをかける小松原(実は小野寺)の妹の活躍で、彼の母も折れ、
小松原に直接想いを告げられた澪は、承諾するが・・・
「破斬」 上田秀人 光文社 2005.8.20
勘定吟味役異聞、第1作。
図書館の書棚にあった。
磐音シリーズ同様、文庫書下ろしシリーズで、寄贈本だ。
第1作目があったので、借りてみた。
剣一筋できた旗本の4男・水城聡四郎が、長男の急死で家督を継がざるを得なくなり、
新井白石に抜擢されて勘定吟味役になる。
世慣れぬ、愚直なほど素直な性格設定が磐音と似ている。
貨幣改鋳の不審、公儀が行う工事の不審に気づき、
否応なしに、荻原重秀、紀伊国屋、柳沢吉保などと対決することになる。
まあ読みやすかったので、続きもリクエストしてみた。