「ひむろ飛脚」 山本一力 新潮社 2023.5.30
嘉永6年(1853)元日、
異例の暖冬に加賀藩は弱りきっていた。
この夏の重要行事である将軍への「氷献上」に不可欠な氷が全く作れないのだ。
ひと月後、信州の旅籠の氷室で見つけた氷には、80名以上もの先約が。
事態を打開するため御用飛脚宿「浅田屋」の面々が立ち上がる。
氷の確保、献上日の調整、他藩の説得、新しい氷室の普請、熊との遭遇など運搬中のアクシデントーー
度重なるピンチに対応し、考え続ける。
金沢と江戸本郷上屋敷との間は、およそ145里(570km)
参勤交代での加賀藩は、おもに北国街道から中山道を使ったが、
季節と天候次第では、関ヶ原にでたあと東海道を上ることがあった。
いずれの道筋でも、参勤交代では20~25日の日程を要した。
三度飛脚は、その道程を早便ならわずか4日で結んだ。
この作品では、信州追分から前田家まで氷を運ぶ。
飛脚たちを振り分けて、旧暦5月26日午後6時に出発、28日午前7時到着。
氷が溶けないよう、道中走るのは陽が落ちてから、翌朝の夜明けまでーー闇の山道は危険だ。
いつも思うことだが……
どのくらい史実が含まれているのだろうか……