ま、いいか

日々の徒然を思いつくままに。

「ルリユール」「黄金旋律 旅立ちの荒野」

2018-10-31 23:36:49 | 

 

「ルリユール」 村山早紀 ポプラ社 2013.10.10

 

美しい本を作ったり、文庫本をハードカバーに作り直したり、古い本の修復をしたりーー

それが、ルリユール。


夏休み、両親や姉に先駆けて一人でおばあちゃんの家に着た瑠璃。

その直前におばあちゃんは、階段から落ちて入院することになった。


犬の次郎さんとの散歩の途中で見つけた不思議な洋館に、

どんな本でも修復するクラウディアさんがいた。

クラウディアさんは何者?

 

フワッと心安らぐファンタジー。

 

スパムをはじめて知った。

缶詰めのソーセージらしい。

みんな、知っているのかなぁ……。

 

 

「黄金旋律 旅立ちの荒野」 村山早紀 角川書店 2008.12.25

 

医者を夢見る少年・臨は、数百年後の廃墟と化した病院で目覚めた。

ファンタジーの世界に迷い込んでしまったかのような未来に戸惑いながらも、優しい看護師ロボットたちと共に生活を始める。

しかし人との触れ合いを求め病院を飛び出した臨は、野性的な少年・ソウタと、黒い翼のはえた猫のアルファと出会う。

 

期待して読んだわりにはイマイチ。

 

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「フローラ」

2018-10-30 14:23:53 | 

 

 

「フローラ」 エミリー・バー 小学館 2018.2.19

 訳 三辺律子

 

感動した。

 

〈フローラ〉

〈わたしは17歳〉

フローラの手には、忘れてはいけないことが書いてある。

記憶障害の彼女は、なにも覚えていられない。

でも、彼とキスしたことだけは、覚えている。

これは、本当にあったこと?

 

〈フローラ、勇気を持って〉

 

フローラは記憶を失ってしまうため、何度も何度も同じことを繰り返す。

記憶をとどめるため、記憶を味わうため、記憶を確認するために。

常に自分はだれで、なにをしているのかを確認し直さなければならない。

記憶の代わりに、フローラはノートやメモや腕に言葉を書き連ねていき、

その言葉たちをたよりに日々の生活を、人生を歩んでいく。

 

新しい記憶が残るはずはないのに、

ある夜、ドレイクという男の子とキスの記憶は、消えなかった。

ドレイクのおかげで記憶をとどめることができたフローラは、

喜びにあふれ、彼に激しい恋心を抱くようになる。

しかし、ドレイクは、フローラの親友のペイジの恋人で、

しかも翌日にスヴァールバルへ旅立ってしまう。

フローラは、自分に記憶を与えてくれたドレイクとの愛を成就させるため、

スヴァールバルへいく決意をする。

けれども、記憶障害を抱えたフローラにとって、

その旅はもちろん簡単ではない。

 

兄からのメールーー

おまえは記憶喪失かもしれないけど、生きている。

おまえの人生を生きるんだ。

 

北極で出会った人も言う。

「きみのこと、すごいと思ってた。男の子を見つけるためにスピッツベルゲンまでたったひとりできたんだ。ぼくに何度も何度も彼のことを話して聞かせた。渇れのおかげで、覚えていられたこと。きみはやりとげる力を持った人だ。だから、今、あきらめちゃ駄目だ。きみは記憶障害があるけど、でも、生きてる。自分の人生を生きることができるんだから」

 

"忘れてしまうこと"と"発見すること"の間で揺れる感情が見事に描かれていた。

過保護な両親からの自立を勝ち取ろうと決心するフローラは強く逞しい。

 

 

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「小屋を燃す」

2018-10-29 23:13:53 | 

 

「小屋を燃す」 南木圭士 文藝春秋 2018.3.30

 

そうか、南木さんは1951年生まれだったか。

 

信州の総合病院を定年退職した。

同世代の男たちとイワナをつかみ獲り、

小屋を造って集い、そして燃す。

生死のあわいをおだやかに見つめる連作短編集。

 

思い起こされる幼年時代、

患者の最期を看取る医療と作家業の両立の無理からの発病……。

その日その日を生き延びるために、畔を歩き、四股を踏む。

 

ーーからだを鍛えるためではなく、脳の血流をフヤスために歩く。歩く習慣を獲得できたうつ病患者は明らかに再発率が低下する。脳には血流。ーー

 

うん、そうだよなあ……。

 

 

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「吉原手引草」「黄金の太刀」

2018-10-28 23:49:55 | 

 

「吉原手引草」 松井今朝子 幻冬舎 2007.3.15

 

吉原一を誇った花魁葛城は、なぜ、忽然と姿を消したのか?

 

遣り手、幇間、ゼゲン、お大尽などーー吉原に生きる魑魅魍魎の口から語られる郭の表と裏。

隠されていた真実が、葛城の決意と悲しみが

徐々に明らかになっていく。

 

「忘八」は知っていたが、「くつわ」と読むとは知らなかった。

 

 

「黄金の太刀」 山本兼一 講談社 2011.9.15

 

刀剣商ちょうじ屋光三郎シリーズ。

再読のはず。

 

江戸を騒がす「黄金の太刀」をめぐり、とある大名家で一万両の刀剣詐欺が勃発。

事件の鍵を握るのは、稀代の詐欺剣相家・白石瑞祥。

相州、美濃、山城、大和、備前ーー。

瑞祥を追い、光三郎は日本刀「五か伝」の地をゆく。

 

刀剣は矛盾した道具だ。

使われないにこしたことはない。

究極の目的は切れ味だろうが、

鍛えられた刃の美しさが、より多くの人を惹き付ける。

 

近頃、刀剣女子が増えているという。

彼女たちの刀剣への思い入れはどんな感じだろう……

なんてことを思いながら、読んだ。

 

 

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「介護笑説 山姥は、夜走る」

2018-10-27 08:20:25 | 

 

「介護笑説 山姥は、夜走る」 湯川博士 朝日新聞出版 2010.4.30

 

介護を笑いでのりきるエッセイ。

 

「親孝行 したくなくても 親はいる」

そう、きたかーー(笑)

 

年寄りは機能が少しずつ下がっていくので、戸惑うことが多くなる。

あまり出歩かなくなり、精神状態も不安定になり、

自分に磁針が持てなくなるので頑固になりわが間まになる。

足腰が立たない分、口やかましくなり人を平気でこき使うようになる。

今までになかった状況に、介護する者がうまく対応できなくなるとそれがストレスになり、溜まってくると口論や虐待、最悪の場合は殺人にまで発展する。

 

 男には母親に孝行しなくてはという、強迫観念に近いものがある。

と、著者はいう。

 生活を支えているのは父だが、毎日の世話は母になる。いわば、国家と市町村の違いかもしれない。母は身近な、切り離せない存在。

と。

なるほど、たいていの男性にマザコンの要素はあるってことか。

 

さて著者は、親を在宅介護することになったのだが、

主に介護をしていた妻がダウンし、

実の息子たる著者が殆どすべてを担うことに。

 

食事、昼夜逆転、下の世話など、よく見聞きする介護の難儀に

持ち前のユーモアで対処する。

施設の活用、妻や兄弟など周囲を巻き込み、その理解や協力もあってこそだ。

一人で抱え込まず、自分なりの生活ペースを保たないと長期の介護は続かない。

 

 人を看病したり思いやるには、大いなる余力がいる。

 

先回りする過介護や、医療にも疑問を呈している。

 標準値の人もいるし、高い人も低い人もいて、それぞれそれなりに生活を営んでいる。そういう個人差をよく見ようとしない医療。

 なんでも標準値に当てはめ、高いといっては薬、低いといっては輸血、機械的に不要な手術や処置を施すのが、今の病院の主流を成している。

と。

 

この著者は将棋も落語もやっている。

 面倒なことは、先手先手。

 「後で楽をするから楽後人生」

座布団、一枚 (^_^)

 

「年寄りは病院と美容院が好きだけど、その違いが分かるかい」

「病院は病気を治す、美容院は頭をきれいにする所だろ」

「大きな違いは、よという字だよ。大きいのと小さいのと」

「よというのは、余、つまり自分のことだ」

「病院では自分を殺して医者の言うなりだろ、だから余が小さくなっている。美容院は自分が主役のお姫さま、だから余が大きいんだよ」

「美容院と病院がくっついたことばが美容整形外科で、患者にが主役に見えるが実は医者が主役で、お金も成形してたいてい大金持ち……」

 

おあとが よろしいようで (笑) 

 

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