マグカップ


D850 + SIGMA 35mm F1.4 DG HSM

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長年使っていたマグカップが壊れた。
注いだお湯がジャージャーと漏れ出した。
見ると側面から底にかけて一本のヒビが走っている。

ぶつけたり、特別熱いものを入れたりした訳ではない。
経年変化による破損であろう。
まだ形は保っているが、もう飲み物を入れることは出来ない。

いつ頃から使っているんだろう?
考えてみたが、結婚する前だから、少なくとも20年以上前だ。
30年近いかもしれない。

駅の近くに小さいレストランが出来て、オープンの時に配っていたのだ。
その時記念にもらったものを、ずっと使っていた。
ベージュ地にグリーンのサボテンの絵が入った、小さめのマグカップである。

そのお店はまだ営業しているが、最近はとんと行かなくなった。
数年前に行った時に、あの時のマグカップをまだ使っていると、オーナーに話したのを覚えている。
笑いながら、それは貴重ですね、もう私の手元にはありません、と言われた。

しかし僕にとって、そのマグカップは特別貴重なものではなかった。
マグカップはいくつか持っていて、その中のひとつに過ぎない。
だから壊れたとはいえ、それほど感傷的な気分にはならない。

ただ長年使ってきたので、風景の一部になっていたのは確かだ。
そのまま捨ててしまえば、程なく忘れてしまうのだとは思う。
しかしまだ形もあるのだし、ゴミ箱に放り込むのも可哀想だ。

修理してスプーン立てにでもするか。
あるいは花を植えて、窓辺にもでも飾ってみようか。
もう少し我が家の一員として、過ごしてもらおうと思っている。
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