転送


D810 + SIGMA 35mm F1.4 DG HSM

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家に帰ったら、得意先からオフィスに来たメールが転送されてきた。
急な話で申し訳ないが、明日業界で発表する原稿に、間違いが無いかチェックして欲しいという。
読んでみたら、ひとつ大きな間違いがあった。
慌ててその事を書いてメールを返した。
今からで間に合うのかな・・・(苦笑)



チャーチのオンガー。
ストレート・チップ。
材質はブラックのポリッシュド・フューム。
ストーム・ウエルト。
ダブルレザーソール。
173ラスト。
サイズは6.5F。

見た瞬間に気に入った靴である。
デザイン上のバランスが非常に美しいのと、訴えてくる迫力のようなものがある。
チャーチの表参道のお店のショーウインドウに、しばらく前から飾ってあり、前を通るたびにうっとりとしながら見ていた。

2016年秋冬の最新モデルであるが、調べてみるとネット上に情報がまだそれほどない。
チャーチのストレートチップというと、まずは正統派の「コンサル」が頭に浮かぶ。
英国の良心と言われるチャーチを、代表するモデルと言っていいだろう。

保守的な「コンサル」と同じ173ラストを使いながら、カジュアルなテイストを加えたのが「ランカスター」である。
こちらはストームウエルトとダブルソールという、少々アクの強い仕様になっている。
冠婚葬祭に使われるフォーマルな靴は、控えめであることが要求されるため、黒のストレートチップにはそういう仕様のモデルが多い。
しかし「ランカスター」にはあえて押し出しの強さを与えることで、スタイリッシュなビジネス・シューズを演出している。

今回の「オンガー」は、その「ランカスター」をベースに、さらに現代風のアップデイトを加えたものだという。
具体的にはパーツの縁部分にパイピングを施し立体的にすることで、キャップトゥとクォーターのラインを強調している。
これにより、強い存在感を放つ、パワーを感じさせるストレート・チップとなっている。



感触や重量感は、シャノンに近いものがある。
同じガラスレザー系ということもあり、シャノンのストレート・チップ版という印象である。
ただブラックのアッパーは、ポリッシュド・バインダーではなく、ポリッシュド・フュームという素材が使われている。

こちらはシャノンのものより薄手で、海外ではコストダウンではないかという批判的な意見も見られた。
たしかに指でつまんで比較してみると、シャノンのものより一回り薄い。
皺の入り方にも違いがあるようで、コードバンのように波状に皺が入るシャノンに比べて、細かい小じわのような横線が入る傾向がある。
逆にシャノンのガラスレザーの魅力は、あの厚みにあるのだということがわかった。

色はブラック、ブラウン、グリーンの3色(ブラウンはポリッシュド・バインダー)が用意されている。
その中でビジネスに使えるのはブラックのみであろう。
かなり目立つ靴なので、黒以外は使いこなしが難しそうだ。

サイズは6.5Fがピッタリであった。
足がスッポリと収まり、羽根も程よく開く。
悪くないフィッティングだ。

軽く履く程度では、特に当たるところはなさそうだが、これは距離を歩いてみないとわからない。
革が硬いので、擦れるとしたら辛いことになりそうだ。
いずれにしても173ラストの靴で、自分に合うサイズがわかったのは収穫である。

黒のストレート・チップといえば、冠婚葬祭用というイメージがあった。
しかしオンガーは、その固定観念から脱却している。
あえて冠婚葬祭には使えない、普段使いが前提のストレート・チップである。
チャーチのサイトでは、ランカスターの「現代的進化」と表現している。

光沢のある革なので葬儀には使えないし、結婚式もフォーマル度が高い席では使えないだろう。
しかしビジネス用としては悪くなく、活躍してくれそうである。
問題があるとしたら、靴の存在感が強すぎる点か。
上手くバランスを取らないと、まるで靴が歩いてきたように見えてしまう。
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