「これで一つ目……」
これは、呪いの一つが成就した事を意味していた。
呪いのビスクドール、パンドラ人形に呪いが一つ、込められた事を意味していた。
どこから現れたのかビスクドールが一体、現れ、大きな紙を回収して消えた。
後には、綾子の遺体と、最後の一本となった【パンドラの鉛筆】が残されていた。
もちろん、使い切ったものだ。
榮一郎は、俊征達に、
「君達に話しておきたい事がある――日本は今、未曾有の危機にある……」
と神妙な面持ちで言った。
綾子という友達はもう帰らない。
後日、自宅の部屋で、首を吊っている山木の遺体も発見された。
誰も幸福にならない不幸な結末だった。
パンドラの呪いの恐怖が少しずつ俊征達に忍び寄って来ていた。
続く。