猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

ディスタービア

2019-02-27 21:28:16 | 日記
2007年のアメリカ映画「ディスタービア」。

高校生のケイル(シャイア・ラブーフ)は父親を交通事故で亡くしたショックから
自暴自棄になってしまい、ある日学校で教師を殴ってしまう。その罪を問われた
彼は、3ヵ月の自宅軟禁処分を裁判所から言い渡される。足首に監視システムを
装着され、自室から出ることができなくなった彼は、暇つぶしに近隣住民への覗
きを始める。隣の家に越してきたアシュリー(サラ・ローマー)や親友のロナルド
(アーロン・ヨー)を誘って、覗きに没頭していたある日、裏手に住んでいるター
ナー(デヴィッド・モース)が連続女性行方不明事件の容疑者ではないかという疑
いを持つ。

ヒッチコックの「裏窓」みたいなサスペンス映画。冒頭の交通事故の場面はショ
ッキング。ケイルは父親と一緒に事故に遭い、父親が死んでしまったことに責任
を感じて自暴自棄な日々を送っていた。ある日教師を殴ってしまい、3ヵ月の自
宅軟禁処分になる。暇つぶしに双眼鏡で近所を覗いていたら、新しく越してきた
美人のアシュリーと親しくなる。親友のロナルドも加わって覗きを続けていたと
ころ、別の隣家の男が死体らしきものをビニール袋に入れて引きずっているとこ
ろを目撃する。3人はその男を監視する。
隣家の男・ターナーがいかにも怪しい顔で、怖い。見られていることに気づき、
自分からケイルに近づいてくるところなんかハラハラドキドキする。窓に飛び散
る血にもびっくりさせられる。サスペンス映画だけれど、ロナルドの軽さや会話
などは青春映画のようでもある。そのバランスがとても良く、おもしろかった。
ターナーが殺人犯だということは割と早くにわかってしまうので、後はケイルた
ちがその証拠を掴むためにターナーの家に忍び込んだり(ケイルはできないが)車
を点検したりするのだが、もういつターナーが帰ってくるかと思うと緊張して観
てしまう。最終的にはケイルも母親を助けるために奮闘する。
少年が何気なく始めた近所への覗き行為が恐怖に変わっていく。なかなかおもし
ろかった。



ベルはいつも仏頂面に写ってしまうけど、本当はかわいいんですよ。私の腕が悪
いんです。
















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ブロークンシティ

2019-02-22 21:24:23 | 日記
2013年のアメリカ映画「ブロークンシティ」。

市長選挙を目前に控えたニューヨーク。元ニューヨーク市警察刑事の探偵ビリー・
タガート(マーク・ウォールバーグ)は、現職市長のニコラス・ホステラー(ラッセル
・クロウ)に呼び出され、妻キャサリン(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)の浮気調査
を依頼される。実はビリーは、刑事を辞める原因となったある事件についてホステ
ラーに秘密を握られており、ビリーもまた、それに関するホステラーの秘密を握っ
ていた。調査の結果、キャサリンの浮気相手は、ホステラーの対立候補の選挙参謀
を務めるアンドリュース(カイル・チャンドラー)である事が判明し、ビリーはホス
テラーに結果を報告して調査を終える。ところが数日後、そのアンドリュースが何
者かに殺され、ビリーは窮地に立たされる。

サスペンス映画だが、少しわかりずらかった。登場人物が多く、人間関係も複雑で、
頭の中を整理しながら観ないと途中でわからなくなってしまう。主人公の探偵ビリ
ーは知り合いであるニューヨーク市長に呼び出され、妻の浮気調査を依頼される。
妻に浮気された間抜けな夫と思われたくない市長のホステラーはあくまで内密に、
とビリーに言う。ところがその浮気相手が判明した後、浮気相手の男は殺されてし
まう。ビリーは事件に巻き込まれてしまうが、実は全てはホステラーの仕組んだ陰
謀だった。
ビリーとホステラーはお互いに秘密を握っている間柄である。その腹の探り合いは
おもしろかった。ラッセル・クロウが悪役が似合う。ラッセル・クロウとキャサリ
ン・ゼタ=ジョーンズの存在感はさすが。しかしこんなスターがせっかく出演して
いるのに、ストーリーがわかりにくいのは惜しかったと思う。サスペンスフルに演
出するためか、なくても良かったのではと思われる余計なエピソードが多かった。
ビリーの考えていることも今ひとつわからない。脚本をもっと練って欲しかったな。
おもしろくなくはないけど、深夜映画の録画で観たので、まあこんなものかな、と
いう感じ。マーク・ウォールバーグも含め、キャストは良かっただけにちょっと残
念だった。




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MEG ザ・モンスター

2019-02-19 21:27:23 | 日記
2018年のアメリカ・中国合作映画「MEG ザ・モンスター」。

人類未踏とされるマリアナ海溝を更に超える深海が発見され、沖合に海洋研究所を
構えた探査チームが、最新の潜水艦で調査に乗り出す。幻想的な未知の生物が生き
る深海の世界を発見し、心躍らせるメンバーたちだが、その時、巨大な「何か」が
襲いかかってくる。レスキューダイバーのジョナス・テイラー(ジェイソン・ステ
イサム)は深海で身動きがとれなくなった探査チームの救助に向かうが、そこで200
万年前に絶滅したとされる、体長23m、体重20トンにも及ぶ巨大ザメのメガロドン
に遭遇する。

巨大ザメのパニック映画だが、期待した程ではなかったかも。メガロドンはリアル
だったし、テンポはいいのだけど、ストーリー自体がちょっとちゃちっぽい。サメ
の映画というと「ジョーズ」みたいに泳いでいた人々が次々に犠牲になっていくも
のだが、それがあまりなく、アクションシーンばかり見せられている感じ。いやも
ちろん犠牲になる人たちはいるのだが、会話が軽いせいか悲壮感があまり感じられ
ない。ジェイソン・ステイサムが主演なのでアクションシーンが多くなるのはわか
るが、もう少し怖いシーンも織り込んで欲しかったなあ。
完全にB級映画になってしまっていて残念。主人公のジョナスは元妻を助けに行っ
たので、ヨリを戻すのかなと思ったら、子持ちの中国人女性といい感じになって、
それがとってつけたみたいでしっくり来ない。見どころはやっぱりジェイソン・ス
テイサムのアクションシーンとその肉体美。すごい筋肉。逆に言うと彼が主演じゃ
なかったら最後まで観られなかったかも。エンディングの歌も全然合っていないし、
何だこれはという感じ。「ディープ・ブルー」の方がずっとおもしろかったなあ。
残念。




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迫り来る嵐

2019-02-16 20:38:37 | 日記
中国映画「迫り来る嵐」を観にいった。

1997年、ユィ・グオウェイ(ドアン・イーホン)は、中国の小さな町の古い国営製鋼所で
保安部の警備員として働き、製鋼所内の泥棒検挙で実績を上げている。最近、若い女性
の連続殺人事件が発生しており、懇意にしているジャン警部(トゥ・ユアン)から捜査情
報を色々と聞き出し、刑事気取りで事件に首を突っ込み始める。ユィは自ら犯人を捕ま
えようと奔走し、死体が発見される度に事件に執着していく。ある日、恋人のイェンズ
(ジャン・イーイェン)が犠牲者に似ていることを知ったユィの行動によって、事態は思
わぬ方向に進んでいく。

香港返還の年を舞台にしたサスペンス映画。経済発展に向けて中国社会が激変した頃で
ある。国営製鋼所の保安部で警備員として働くユィは、泥棒を見抜く目に長けており、
「名探偵ユィ」などと呼ばれている。まんざらでもないユィは、最近近所で起きている
若い女性の連続殺人事件に刑事気取りで首を突っ込む。警察からは身分をわきまえろと
言われながらも、どんどん事件に執着していく。そして被害者たちの容姿が似ているこ
とや、ユィの恋人もそれに似ていることに気づく。ユィは恋人を見張るが、その行動に
よって不幸な出来事へと突き進んでいく。
中国にとっては激動の時代だったのだろう。ユィが勤める工場でもリストラが始まり、
ユィもリストラの対象になってしまう。門の前で呆然と立ちすくす人々は社会の激変の
象徴とも言える。ユィの恋人イェンズが「これからは香港へ簡単に行けるようになるの
かしら。香港で美容院を開きたいの」と言ったのが印象的だった。画面はとにかく雨が
よく降っていて暗い。時代を表しているのだろうか。
ユィは不審者の1人には殺されかけた上に逃げられ、もう1人は自分で捕まえるのだが、
これが大きな不幸の始まりになってしまう。どうしてユィはそんなにも事件に執着した
のだろう。リストラされ、仕事を失って、犯人を見つけることにしか心の拠り所がなく
なってしまったのだろうか。雨はあくまでもユィに対して無情である。刑事ごっこをし
て犯人を捕まえようとした男の、悲しい物語である。




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手紙は憶えている

2019-02-11 21:46:46 | 日記
2015年のカナダ・ドイツ合作映画「手紙は憶えている」。

ゼヴ(クリストファー・プラマー)は今年90歳で、ニューヨークの介護施設で暮らして
いる。最近は認知症が進行し、最愛の妻・ルースが死んだことさえ忘れてしまうよう
になっていた。ある日、ゼヴは施設の友人のマックス(マーティン・ランドー)から1
通の手紙を託される。2人はアウシュビッツ収容所からの生還者で、ナチスに家族を
殺されていた。その手紙には2人の家族を殺したナチスの兵士に関する情報が記され
ていた。その兵士の名はオットー・ヴァリッシュといい、現在はルディ・コランダー
という偽名を使って暮らしているという。コランダーと名乗る人物は4人にまで絞り
込まれていた。体が不自由なマックスに代わりゼヴは復讐を決意、1通の手紙とかす
かな記憶だけを頼りに、単身オットー・ヴァリッシュを捜しに旅に出る。

ホロコーストを題材にしたアトム・エゴヤン監督のサスペンス映画。介護施設で暮ら
しているゼヴと友人のマックスはアウシュビッツからの生還者で、お互い家族をナチ
スに殺されていた。マックスは家族を殺したオットー・ヴァリッシュという兵士が現
在はルディ・コランダーという偽名で暮らしていることを知り、その名前の人物を4
人調べ上げていた。マックスは体が不自由な自分の代わりにゼヴにオットー・ヴァリ
ッシュを見つけて復讐してきて欲しい、と頼む。ゼヴは施設を抜け出し、手紙に書か
れている4人の住所を訪ねる旅に出る。
おもしろかった。ゼヴは認知症のため、何でもすぐに忘れてしまう。マックスから預
かった手紙には、「君は認知症で、君の奥さんは亡くなっている」ということも書か
れていた。ゼヴは手に「手紙を読む」と書く。ルディ・コランダーを1人ずつ訪ね、
人違いであるとわかればマックスに電話で報告する。その過程がとてもスリリングで
目が離せない。そして衝撃的なラスト。私は本当に驚いた。
とても重たい映画である。ゼヴ役のクリストファー・プラマーの演技がすごい。重厚
で鬼気迫る演技は本当に素晴らしい。ルデイ・コランダーの1人は死んでいたが、そ
の人物と息子もまたナチスの信奉者で、息子に脅されるシーンはドキドキした。「親
父が生きていたら、ユダヤ野郎を家に入れたって怒るだろうな」などと言うので怖か
った。今でもこういうことを言う人がいるんだなあ、とユダヤ人差別の根深さを改め
て感じた。欧米ではホロコースト関連の映画は1つのジャンルとして確立しているよ
うに思う。それだけ忘れてはいけない、繰り返してはいけない歴史なのだ。ホロコー
ストはまだ終わっていない、と感じた。




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