猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

迫り来る嵐

2019-02-16 20:38:37 | 日記
中国映画「迫り来る嵐」を観にいった。

1997年、ユィ・グオウェイ(ドアン・イーホン)は、中国の小さな町の古い国営製鋼所で
保安部の警備員として働き、製鋼所内の泥棒検挙で実績を上げている。最近、若い女性
の連続殺人事件が発生しており、懇意にしているジャン警部(トゥ・ユアン)から捜査情
報を色々と聞き出し、刑事気取りで事件に首を突っ込み始める。ユィは自ら犯人を捕ま
えようと奔走し、死体が発見される度に事件に執着していく。ある日、恋人のイェンズ
(ジャン・イーイェン)が犠牲者に似ていることを知ったユィの行動によって、事態は思
わぬ方向に進んでいく。

香港返還の年を舞台にしたサスペンス映画。経済発展に向けて中国社会が激変した頃で
ある。国営製鋼所の保安部で警備員として働くユィは、泥棒を見抜く目に長けており、
「名探偵ユィ」などと呼ばれている。まんざらでもないユィは、最近近所で起きている
若い女性の連続殺人事件に刑事気取りで首を突っ込む。警察からは身分をわきまえろと
言われながらも、どんどん事件に執着していく。そして被害者たちの容姿が似ているこ
とや、ユィの恋人もそれに似ていることに気づく。ユィは恋人を見張るが、その行動に
よって不幸な出来事へと突き進んでいく。
中国にとっては激動の時代だったのだろう。ユィが勤める工場でもリストラが始まり、
ユィもリストラの対象になってしまう。門の前で呆然と立ちすくす人々は社会の激変の
象徴とも言える。ユィの恋人イェンズが「これからは香港へ簡単に行けるようになるの
かしら。香港で美容院を開きたいの」と言ったのが印象的だった。画面はとにかく雨が
よく降っていて暗い。時代を表しているのだろうか。
ユィは不審者の1人には殺されかけた上に逃げられ、もう1人は自分で捕まえるのだが、
これが大きな不幸の始まりになってしまう。どうしてユィはそんなにも事件に執着した
のだろう。リストラされ、仕事を失って、犯人を見つけることにしか心の拠り所がなく
なってしまったのだろうか。雨はあくまでもユィに対して無情である。刑事ごっこをし
て犯人を捕まえようとした男の、悲しい物語である。




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コメント (2)
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