猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

アガサ・クリスティー ねじれた家

2019-04-27 21:18:03 | 日記

2017年のイギリス映画「アガサ・クリスティー ねじれた家」を観にいった。

ギリシャから英国へ渡って、無一文から巨万の富を築き上げた大富豪アリスティド

・レオニデスが毒殺された。私立探偵のチャールズ(マックス・アイアンズ)は、ア

リスティドの孫娘で元恋人のソフィア(ステファニー・マティーニ)から捜査を依頼

される。広大な屋敷に到着すると、3世代に亘る一族が勢ぞろいし、巨額の遺産を

めぐって疑惑と嫉妬、敵意と憎しみをぶつけ合っていた。愛人のいるらしい若い後

妻、映画製作の資金が欲しい長男、父から継いだ会社が倒産寸前の次男、亡き前妻

の姉で大伯母として一族を取り仕切るイーディス(グレン・クローズ)。やがて一族

全員に殺害の動機があったことが露わとなっていく。真相に近づいたと思われたそ

の時、第2の殺人が起きる。

 

アガサ・クリスティー原作の小説の映画化。私は原作は未読なので比べられないが、

おもしろかった。英国で成功し大富豪となったギリシャ人が毒殺される。その孫娘

ソフィアは元恋人で私立探偵のチャールズに捜査を依頼する。1度は断ったチャー

ルズだが結局は引き受けることになる。大きな屋敷には強烈な個性を放つ一族がい

て、まさに「ねじれた家」だった。

誰が犯人かわからない。皆怪しく見える。そして実際皆動機があるのだ。チャール

ズの捜査はなかなか進まない。家族中で疑心暗鬼になって空気が張り詰めている描

写はクリスティーらしい。とにかく一癖も二癖もある人々ばかり登場するのだ。若

く経験も浅いチャールズには大変な捜査だ。それでも事件の真相が見えかかってき

た頃、第2の殺人事件が起きてしまう。

おもしろかったのだが、最終的に真相がわかるのが唐突だった気がする。小説の方

はわからないが。衝撃的で悲劇的なラストがあっという間だった感じ。それまで長

く感じていたので、その点はちょっと惜しかったかなあ、と思う。クリスティーの

作品は悲劇的な物語が多いと思う。彼女が女性作家だからだろうか。ラストに辿り

着くまでが少し残念だったが、楽しめた。原作も読んでみたい。

 

 

 


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テナント 恐怖を借りた男

2019-04-23 21:08:02 | 日記
1976年のフランス・アメリカ合作映画「テナント 恐怖を借りた男」。

パリの古ぼけたアパートに空き部屋を見つけたトレルコフスキー(ロマン・ポラン
スキー)は、前の住人が窓から飛び降り自殺を図ったことを聞かされる。彼はその
女性・シモーヌを病院に見舞い、そこで彼女の友人だと名乗るステラ(イザベル・
アジャーニ)と出会う。やがてシモーヌは死に、その部屋に越してくるトレルコフ
スキー。部屋にはまだシモーヌの痕跡がそこかしこに見られ、向かいの窓には奇妙
な人物が佇む姿もあった。不安な中で始まる新生活。わずかな物音でも住人から苦
情が発せられ、口うるさい家主や無愛想な女管理人もトレルコフスキーにとって脅
威となっていく。やがてタバコや飲み物といった彼自身の嗜好も変化し、彼は周囲
の人々によって自分がシモーヌに変えられていくことを感じ始めていた。

ロマン・ポランスキー監督・主演の心理サスペンス。不気味な映画でおもしろかっ
た。ごく普通の青年が狂気に取りつかれ変貌していくさまを描いている。ポーラン
ド系の青年トレルコフスキーはアパートに空き部屋を見つけるが、そこの住人・シ
モーヌが飛び降り自殺を図ったと聞き、病院へ見舞いに行く。全身を包帯でぐるぐ
る巻きにされて横たわるシモーヌを見て、トレルコフスキーは他人ながらショック
を受ける。そしてシモーヌは大きな悲鳴を上げる。やがてシモーヌは死に、トレル
コフスキーはその部屋に越してくるが、その頃から奇妙な出来事に悩まされること
になる。彼からすればアパートの住人たちは変な人ばかりである。ちょっとの物音
でも家主に苦情を言われ辟易する。そして残されたシモーヌの私物。
トレルコフスキーの被害妄想なのか、それとも現実なのか。彼は周囲の人々によっ
てシモーヌに成り代わっていくのを感じるようになる。さすがフランス映画、トレ
ルコフスキーの心理描写が秀逸である。彼が狂気に陥っていく様子がとても不気味
なのだ。観ているこちらまで頭がおかしくなりそうである。何も悪いことをしてい
ない1人の男が、周囲の奇妙な人々によって破滅へ向かっていく描写はぞっとする。
ロマン・ポランスキーの演技もいい。怖いくらいにはまっている。あんなアパート
に住んでいたら気が変になってもおかしくない。住人たちは人間なのか魔物なのか。
地味~な映画だがとても見応えがあっておもしろかった。


良かったらこちらもどうぞ。ロマン・ポランスキー監督作品です。
戦場のピアニスト
おとなのけんか
告白小説、その結末




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カンフー・ヨガ

2019-04-19 23:37:43 | 日記
2017年の中国・インド合作映画「カンフー・ヨガ」。

古代、天竺と唐の間に争乱が起こり、伝説の秘宝が消えた。現代の中国の博物館に
勤める名高い考古学者ジャック(ジャッキー・チェン)の元に、インドの考古学者ア
スミタ(ディシャ・パタニ)が訪れ、消えた財宝の在り処を示す地図を手に協力を求
める。ジャックは助手のシャオグァン(レイ)、ヌゥオミン(ムチミヤ)、アスミタと
彼女の妹カイラ(アミラ・ダスツール)、友人の息子でトレジャーハンターのジョー
ンズ(アーリフ・リー)を連れて、地図が示すチベットの雪山に向かう。そこで地下
の空洞に入るが、ランドル(ソーヌー・スード)率いる謎の組織が現れ、財宝を奪お
うとしてジャックたちと戦いになり、困難の中でジョーンズは財宝の在り処を示す
「シヴァの目」を盗み脱出する。

ジャッキー・チェン主演のアクション・アドベンチャー・コメディ。アクション満
載、笑い満載でおもしろかった。タイトルは考古学者のジャックがカンフーの達人
で、インドの考古学者アスミタがヨガの達人ということで、深く考えない方がいい
と思う。冒頭の古代のアクションシーンからかっこいい。象に乗った天竺軍と馬に
乗った唐軍との戦いで、迫力充分。チベットの雪山の空洞でのジャックたちとラン
ドルたちの戦いも見もの。
ジャッキーも年齢のせいか、ジャッキーの独壇場という感じではなくなっており、
代わりに若手や女性たちが大活躍する。でももちろんジャッキーのアクションも健
在だ。カンフーアクションやカーアクションも見事。とにかくかっこいい。アクシ
ョンに消えた財宝を探すという冒険要素も加わって、それがバランスが取れていて
惹き込まれる。
キャストも、若手スターやインドの人気俳優たちが結集していて豪華。アスミタ役
の人はすごい美人だった。ラストのダンスは本当に素晴らしくて、圧巻だった。ジ
ャッキーかわいい!アーリフ・リーも長身イケメンでかっこよかった。ジャッキー
映画は楽しまなくちゃ!




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美しき獲物

2019-04-15 22:15:59 | 日記
1992年のアメリカ・ドイツ合作映画「美しき獲物」。

シアトル沖の島のホテルで、チェスの世界選手権への挑戦者を選ぶ試合が行われて
いた。チェスの天才ピーター・サンダーソン(クリストファー・ランバート)が優勝
の最有力候補だが、3年前対戦したユリリヴィッチ(アーサー・ブラウス)がじりじ
りと追い上げていた。ホテルの従業員と一夜を共にしたピーターは、翌日彼女が殺
害されたことを知らされる。警察署長フランク(トム・スケリット)とワグナー刑事
(ダニエル・ボールドウィン)はピーターを容疑者としてマークするが、決め手とな
る証拠がない。そんなピーターに犯人から電話がかかってきて、すぐに警察に通報
したが疑いは晴れない。フランク署長の依頼で、ピーターの精神鑑定をすることに
なった心理学者キャシー(ダイアン・レイン)にも彼が無実かどうかわからなかった。
次々に若い女性を狙った殺人が起こり、犯人からピーターへの電話も続く。

サイコ・サスペンス映画。当時夫婦だったクリストファー・ランバートとダイアン
・レインが、作中でも愛し合う役をしている。チェスの世界選手権への挑戦者を選
ぶ試合が、島のホテルで行われていた。最有力候補の天才チェスプレイヤー・ピー
ターはホテルの従業員の女性と関係を持ち、翌日彼女は変死体で発見される。警察
にマークされるピーターだが、その後も殺人は続く。被害者は皆同じ殺され方をし
ていた。そして犯人からのピーターへの電話も続く。
なかなか良くできたミステリーだったと思う。アメリカでは興行的には振るわなか
ったらしいが、私は楽しめた。誰が犯人なのかわからないし、皆怪しく思えるのだ。
女性たちの殺され方で犯人はかなりのサイコパスだということがわかる。そして現
場にはいつもピーターへのメッセージが残されていた。だがピーターには何のこと
だかわからない。心理学者のキャシーにもわからない。そして警察をあざ笑うかの
ように殺人事件は続く。
難を言えば、ピーターとキャシーが惹かれ合うのが早いというか、そんなに心を通
わせるシーンってあったっけ、ということだろうか。人間の執念というものは恐ろ
しいものだ。クリストファー・ランバートとダイアン・レインは当時夫婦だったと
いうが、それぞれかっこいいし美人だし、どうして別れたのかな。なかなかおもし
ろかった。



ベルはよく寝てるな~。もうおばあさんだもんね。
















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21グラム

2019-04-11 22:09:00 | 日記
2003年のアメリカ映画「21グラム」。

大学で数学を教えるポール(ショーン・ペン)は重い心臓病で余命1ヵ月と宣告され、
心臓のドナーを待つ日々。クリスティーナ(ナオミ・ワッツ)は夫と2人の娘と幸せ
な生活を送る主婦。一方、前科を持つジャック(べネチオ・デル・トロ)は神への信
仰を生き甲斐に妻と2人の子供と暮らしていた。だが、ジャックが起こした悲劇的
な事故をきっかけに、出会うはずのなかった3人の人生が交錯し始める。

重たい人間ドラマ。監督は「レヴェナント:蘇りし者」のアレハンドロ・ゴンザレ
ス・イニャリトゥ。時間軸が細かく交差する構成になっていて、初めの方は少しわ
かりにくかったが、とてもおもしろい映画だった。心臓のドナーを待つポール。夫
と子供と幸せに暮らすクリスティーナ。前科者だが信仰深いジャック。この3人は
出会うはずではなかった。しかしジャックが起こした事故によって出会ってしまう。
その人生が交差し始める。
俳優たちの演技が素晴らしい。ショーン・ペン、ナオミ・ワッツ、ベネチオ・デル
・トロ、ポールと人工受精のことで関係がぎくしゃくしてしまう妻のシャルロット
・ゲンズブール、皆良かった。私たちも、本来は出会うはずのなかった誰かと、何
かの偶然で出会っているということもあるのかもしれない、と思った。それが幸福
な出会いなら良いが、悲劇的な人生の交錯だったとしたら。1番不幸なのはクリス
ティーナである。彼女は人生の大きな不幸を経験した後、ポールと出会う。そして
お互いに惹かれ合ってしまう。そのことも本来起こり得なかったものだ。
人間は死ぬと体重が21グラム減るという。その21グラムは何なのか。魂の重さな
のか?魂とは何なのか。いろんなことを考えさせられる、見応えのある映画だった。




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