猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

少年は残酷な弓を射る

2012-07-24 02:49:51 | 映画
「少年は残酷な弓を射る」というイギリス映画を見にいった。怖い映画だった。
旅行作家のエヴァは、恋人のフランクリンとの間に子供が出来、結婚する。
フランクリンは普通の家庭を持ちたかったのだが、家庭に入ったことでエヴァは
物足りなさを感じていた。
やがて産まれた男の子はケヴィンと名付けられた。ケヴィンは、とても手のかかる
子供だった。とにかく泣き続け、エヴァは参ってしまうが、夫が帰宅して抱っこを
すると、すぐに泣き止むのだった。
6歳になってもおむつが取れない。エヴァには反抗ばかりする。だが父親には可愛い
笑顔を見せる。とにかく母親とはコミュニケーションを取ろうとしないのだ。
エヴァはケヴィンの悪意を感じるのだが、夫は「男の子はあんなものだよ」と言って、
まるで心配していない。
やがて女の子が産まれ、天使のように可愛い娘はエヴァの救いだった。
ケヴィンは母親に反抗し、嫌みを言い続けながら、15歳の賢い美少年に成長する。
だが、家の中で起きる不幸な出来事を、エヴァはケヴィンの仕業だと確信するが、
夫に言っても「カウンセリングに行け」と異常扱いされる。
そしてあと3日で16歳になろうとするケヴィンは、ある行動に出るのだった。

冒頭で、エヴァの家に嫌がらせで赤いペンキがぶちまけられてたり、町を歩いていると
知り合いの女性にひっぱたかれたり、車椅子の少年が「歩けるようになるかもしれないと、
医者に言われました」とにこやかに話しかけてきたりする場面があって、最初はそれらの
意味がわからないのだが、後半で深い意味を帯びてくる。
なんというか、時間の流れの表現がとてもスリリングで、うまく作られた映画だなあ、と
思った。現在と過去が交錯する表現に、惹き込まれて見入ってしまう。
すごく私好みの映画だった。

妊娠中から、母になる喜びをあまり感じることが出来ない母親。それを感じ取り、反抗
し続ける息子。その態度がほんとに憎らしく、悪魔の子のように感じてしまう母親、
そして見ている私たち。
「あの子は反抗期なんだよ」と言って、いやな物は見ようとしない夫に、私はイライラした。
育児を妻に背負わせ過ぎている、よくいるタイプの父親。
この映画は、歯車のかみ合わない家族を描いた、怖い怖い映画だと思った。
胎児が母親の感情を理解しているというのは、なんと恐ろしいことか。

陰惨なこの映画の原題は「WE NEED TO TALK ABOUT KEVIN」というのだが、こっちの
方が合ってると思う。見てください。おすすめです。
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シシリアン

2012-07-20 03:47:26 | 映画
「シシリアン」という映画を見た。1969年のフランス映画。
ジャン・ギャバンとアラン・ドロンの2大スターの共演である。
マフィアのドンであるジャン・ギャバンのファミリーと、アウトローの殺し屋である
アラン・ドロンが手を組んで、宝石強盗、ハイジャックを企てる。
その前に、冒頭でアラン・ドロンが護送車から脱走する場面があるのだが、それに
ハラハラ。
ハイジャックの場面にハラハラ。先日見た「恐怖の報酬」のようにスリルのある
おもしろい映画だった。それに、もうアラン・ドロンとジャン・ギャバンのかっこよさ
だけでも充分に見る価値あり
若い頃のアラン・ドロン、なんて美しいんでしょう。もちろん年を取った今は今で
いいけれど。
この2人はいくつか共演作があるが、「地下室のメロディー」がおもしろかった!
「シシリアン」「恐怖の報酬」「地下室のメロディー」そして「太陽がいっぱい」なんかもそうだけど、
主人公の企みがうまくいったと思ったら、最後にあっけなく崩れてしまうのって、
フランス映画だなあ~、と思ってしまう。(「恐怖の報酬」は犯罪ではないけど)
水野晴郎さん風に言いたい。「いや~、フランス映画って本当にいいもんですね!」

新聞の連載小説「海と月の迷路」、犯人は誰なんだろう。疑わしかった人物は犯人でないという
証拠が出てしまった。他に怪しい人って思い浮かばないんだけどなあ。
いつまで連載されるんだろう。犯人は誰?気になる気になる!
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恐怖の報酬

2012-07-10 03:02:15 | 映画
「恐怖の報酬」という映画を見た。1953年にカンヌ国際映画祭グランプリを受賞した
モノクロ映画。タイトルだけは知っていて、ずっと見たかったのだ。
主演はイブ・モンタン(若い!)。
中米の貧しい町が舞台になっている。そこは流れ者が多く住み、皆食い詰めて、
遊んで暮らしている。。ほこりっぽい画面がよく雰囲気を出している。
マリオ(イブ・モンタン)もそんな当てもない暮らしを送っている1人だ。
そこへジョーという、昔は顔役であったらしい男がやってきて、同じフランス人である
ことからマリオとジョーは意気投合する。だがそのため一緒に暮らしていたルイジとの
友情にヒビが入ってしまうマリオ。
そんな時、遠くの油田で爆発火災が起き、火災を鎮めるために、油田までニトログリセリンを
運ぶ仕事が舞い込む。(ニトロでどうやって鎮火させるのか私にはわからないのだが)
非常に危険な仕事であり、立候補した男たちの中から4人が選抜された。
報酬は1人2000ドル。この頃の2000ドルって相当な大金なんだろうな。
そして、マリオとジョーの車、ルイジともう1人(名前忘れた、ユダヤ人)の車、と2台で
大量のニトロを運ぶことになった。命がけの走行である。
車にニトロを積んでいるだけでも危険なのに、道中いくつも危険が待ち受けている。
でもユダヤ人男性は収容所から解放された身で(父親は処刑されている)、命知らずなため、
機転を利かせて道をふさぐ大きな石を爆破させたりする。
そうして、4人は油田へと車を走らせるのだが…

2時間半の映画だが、後半はハラハラしっぱなしで、あっという間に見終わった感じ。
サスペンス映画というと、大体殺人事件が起こって、刑事や探偵が調べて、というものが
多いと思うのだが、殺人を主題としていないサスペンス映画でこんなにおもしろかったのは
初めてではないだろうか。
でもでも、あのラストはあまりにも不幸で皮肉。ああいうところはフランス映画だなあ。

イブ・モンタンがすごくかっこいい。この人の映画はだいぶ年をとってからの映画だけど
「ギャルソン!」とか好きだ。
でもヨーロッパの俳優って、若くて美形の時より、年をとってからの方がずっと良くなるのは
何故だろう。イブ・モンタンもアラン・ドロンもアル・パチーノもジャン・ギャバンも、
もちろん若い時は若い時でステキだけど、おじさまになると更にいい。
この辺アメリカ俳優と少し違う気がする。
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