猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

犯罪心理捜査官

2013-03-28 02:21:10 | 映画
アメリカ映画「犯罪心理捜査官」。
雨の夜、下水道工事の場所から、いくつもの子供の手(手首から先)が発見された。
手には数字が書かれており、縫合手術の痕跡もあった。
警察は行方不明になっている子供たちの捜査をするものの、事件の全容は見えてこない。
心理分析を得意とする警察官オードリーは、事件の解明を依頼される。
なんのために子供の手が切られたのか。
捜査をする過程で、オードリーは精神病院に入院しているある少年の情報を得る。
少年は、数字の書かれた手首の絵を、病室の壁に描いていた。病院から一歩も出ていないのに、
事件のことを知っていたのだ。
子供たちの手は、「なんに使われたのか」。

1993年の映画で、1991年に公開された「羊たちの沈黙」の影響を強く受けているのがよく
わかるストーリーなのだが、これはこれでとてもおもしろかった。
猟奇事件からスタートし、女性刑事が捜査をし、ラストは犯人の家でジョディ・フォスター
ばりの活躍をする。物語の進み方がほとんど同じだ。
この映画も、犯人の動機というのが不気味で興味深かったなあ~。
サイコ・サスペンスは最初の入り方がとても重要だな、と思った。
そういえばデヴィッド・リンチの「ブルー・ベルベット」も、主人公が、人の片耳が落ちている
のを見つけるところから物語が始まる。そして奇怪な事件に巻き込まれていく。
「ブルー・ベルベット」もおもしろかったなあ。音楽も印象的だった。
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偽りなき者

2013-03-21 02:22:16 | 映画
デンマーク映画「偽りなき者」を見にいった。映画館に行くのは昨年の12月以来だ。
ルーカスは42歳の幼稚園職員。学校で教師をしていたが学校が閉鎖され、転職した。
妻は離婚して、15歳の息子のマルクスと別の町で暮らしている。
ルーカスはこの町で生まれ育ち、誠実な人柄で友達も多い。中でもテオとは子供の頃からの
大親友だ。
面倒見のいいルーカスは、幼稚園でも子供たちになつかれている。ある日テオの娘クララが、
ルーカスにプレゼントを渡し、唇にキスをした。
ルーカスは「プレゼントは男の子にあげなさい。それと唇へのキスはいけないよ」とやんわりと
たしなめたのだが、クララは自分が拒絶された気がして、傷ついた。そして、園長のグレテに、
ルーカスから性的ないたずらをされたという作り話をしてしまった。
クララの話に信憑性があると感じたグレテは、調査員に依頼して調査をさせる。
クララは自分の言ったことを一旦は否定したが、調査員の誘導的な質問に、つい本当だと
言ってしまう。
グレタは保護者会を開き、ルーカスを性犯罪者であると話す。ルーカスは自宅待機となり、
グレタはルーカスを「変態!」と罵った。
ルーカスは町中の人々から変質者扱いされ、何を言っても信じてもらえない。テオでさえ、
「娘は嘘をついたことはない」と言ってルーカスを責めた。
ある日息子のマルクスが、ルーカスを心配して、母親に内緒でやってきた。
だがマルクスがスーパーで買い物をしていると、店長から「君もお父さんももう来ないでくれ」
と言われる。
マルクスが家の前に戻ると、ルーカスは警察に逮捕され連行されていった。家に入れなくなった
マルクスは、テオの家に合鍵をもらいに行くが、「もう預かってない」と言われる。
マルクスはクララに「何故嘘をつくんだ」と詰め寄るが、居合わせたテオの友人に殴られ、追い
出される。
マルクスは名付け親のブルーンの家に行った。彼の家族だけはルーカスを信じ、釈放のために
動いてくれていた。
翌日ルーカスは釈放されたが、悪夢の日々は続く。家の窓ガラスに石を投げ込まれ、飼い犬を
殺され、スーパーで食料を買うのに激しく殴られた。
それでもルーカスは、教会のクリスマスのミサに出席する。白い目に囲まれながら。

重たい映画だった。子供が軽い気持ちでついた嘘が、1人の人間を破滅に追い込んでしまう怖さ。
見ていて、クララにもだが、園長のグレテに特に腹が立った。この人は「無垢な子供は嘘を
つかない」と信じている。バカじゃないのか、幼稚園の園長のくせに。
今までルーカスと仲良くしてきた町の人たちが、一斉にルーカスを変質者扱いする。彼の人柄を
考えれば、そんなことをするはずがない、と思う人はいなかったのか。
最終的にはルーカスの潔白が証明され、また町の人たちは彼とマルクスを受け入れる。まるで
何もなかったかのように。
私はこの、ルーカスが町に住み続ける気持ちが理解できない。いくら生まれ育った土地で愛着が
あるとはいえ、いくら皆と和解したとはいえ、私だったらよそに引っ越す。
窓ガラスに石を投げ、犬を殺した誰かが住んでいるのだ。そんなことをされたら、いくら誤解が
解けても、もうそこには住みたくない。グレテの顔も2度と見たくない。
ルーカスは潔白が証明されたから、堂々と住んでいたかったのだろうか。町を出ようとは思わな
かったのか。
そしてラストも、怖い。


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グラン・トリノ

2013-03-15 02:32:39 | 映画
クリント・イーストウッド監督・主演の映画「グラン・トリノ」。
ポーランド系アメリカ人のウォルト・コワルスキー(イーストウッド)は妻を亡くし、1人で
暮らしている。フォード社に長年勤め、退職している。
気難しくて頑固で人種差別主義者。息子が日本車に乗っているのも気に入らない。
息子一家も彼を苦手としている。
好きなものはビールとタバコ、それに愛車グラン・トリノ。
亡くなった妻は、神父に、彼に1度告解をさせるよう頼んでいたが、家を訪れた神父を彼は
追い払った。
ある日隣の家に、アジア系の民族、モン族の家族が越してきた。コワルスキーにとってはどうでも
いいことであり、付き合うつもりはなかったが、一家の娘スー(大学生くらい?)は親し気に
コワルスキーに話しかけ、彼は当惑した。
ある時、親戚のギャングたちに命じられ、スーの弟タオがグラン・トリノを盗もうとした。
コワルスキーは銃で脅かし、タオは大慌てで逃げた。
その後も、タオがギャングたちにからまれているのを見て、成り行きで助け、以来スーとタオの
姉弟と親しくなっていった。
アメリカで育った姉弟はすっかりアメリカナイズされていて、気難しいコワルスキーの気持ちも
溶けていった。
コワルスキーは彼らの家の修理を頼まれ引き受けるが、家に工具が全くないことを知る。
コワルスキーはタオに、フォード社に勤めていた時の自慢の工具の数々を見せ、大工仕事を教えた。
タオは働く喜びを覚え、仕事に励むようになり、暇だったコワルスキーの楽しみは、タオを
一人前の男に育てることになっていった。
だが、コワルスキーは健康診断の結果、重い病気にかかっていることを知った。
ある時タオがギャングにまた嫌がらせを受け、怒ったコワルスキーはギャングの家を銃撃した。
ところがギャングたちはその報復としてスーを強姦した。
コワルスキーはもう長くない人生をどう生きるか考え、スーたちを救うことを決め、ある行動に
出る。

静かに淡々と進む映画だが、良かった。主人公が、嫌っていたアジア人の家族と交流を持ち、
打ち解けていく過程がいい。人種差別主義者の老人が、若いモン族の子たちと友達のようになって
いく様子はいいものだと思った。
そして、衝撃的なラストは、悲しいけれど感動的だった。
ちなみにクリント・イーストウッドは、ハリウッドではタバコぎらいで有名なのだそうだ。
それなのに、自分の役柄をタバコ好きの男に設定し、しょっちゅうタバコを吸うシーンがあった
のに関して、役者根性ってすごいなあ、と思った。
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ミシシッピー・ワン

2013-03-11 02:26:28 | 映画
フランス映画「ミシシッピー・ワン」。
8歳の少女アレクサンドラ・ウルフは、コマーシャルのモデルをしており、歌手の母リンダと
2人で暮らしている。父親は死んだと聞かされている。
母親が多忙なため、アレクサンドラはいつも1人で遊んでいる。ある日回転木馬に乗っていた
時、男が近づいてきて、金を渡し、もう1度乗れと言う。そして男はアレクサンドラを無理矢理
車に押し込み、誘拐する。
男は精神病で入院歴があり、薬を飲んでいる。男はアレクサンドラの髪を切ってしまう。
男は逃亡計画を立て、2人の逃避行が始まった。
最初はいやがっていたアレクサンドラだったが、次第に男と心を通わせるようになった。
だが母親のことを話すと、男は逆上した。
2人は車中泊をし、いろんなところに行った。ある日男が、知り合ったドイツ人女性と親し気に
している様子を見て、アレクサンドラは嫉妬する。彼女にとって男は、必要な存在になっていた。
アレクサンドラは男の気をひくために、カミソリで自分の体を傷つける。
手に負えないと思った男は、彼女を母親の元に帰す決心をするが、彼女はいやがり、男について
きてしまう。
ある時男の車が故障し、仕方なく2人は安宿に泊まった。泊まっている間に、車は壊されてしまう。
男は衰弱していく。宿で退屈になったアレクサンドラは、外に出かける。
男は、車に隠していた銃で、自殺する。

ラストまで書いてしまったが、それだけの物語なのである。見る人によっては、寝てしまうかも
しれない映画だ。
監督はサラ・ムーンという人で、写真家ということだ。だから映像が個性的で美しい。
少女を誘拐する男は、少女の父親のようだ。特に説明はないのだが、男のパスポートの名前が
「デヴィッド・ウルフ」であったり、少女が母親の名前を出したら逆上する辺りの描写で、父親
だと推測できる。恐らく精神を病んだために離婚されたのだろう。
男は少女と過ごしていた間、少しは幸せだっただろう。少女も自分を必要としてくれた。
悲しい、でもとても好きな映画。
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共喰い

2013-03-07 02:16:47 | 映画
田中慎弥氏の「共喰い」を、娘が大学の図書館から借りてきていたので、私も読んでみた。
前にも書いた気がするが、私は手近なところに本や漫画があると、つい読んでしまう
癖がある。
主人公は高校2年の少年。両親は離婚し、父の後妻と3人で暮らしている。実母は近所で
魚屋を営んでいるので、しょっちゅう会っている。
離婚の原因は、父親が性行為の時に暴力を振るう性癖があることだった。母親はたまりかねて
離婚したが、後妻は同じ目に遭ってもまだ父親と暮らしている。
主人公は自分がいつか父のようになるのではないかと恐れていた。今のところ1つ年上の
ガールフレンドと性行為をしても暴力を振るったことはないが、そういう性癖は似るもの
ではないか、と不安なのである。
後妻が妊娠した。そして主人公にいずれこっそり逃げることを打ち明ける。
ある時主人公はとうとうガールフレンドの首を絞めてしまう。

うーん、困った、感想が書けない。どう書けばいいのか…。まず、物語自体に嫌悪感を覚えた。
そして、主要登場人物は5人なのだが、誰にも共感出来ないし、皆嫌いだ。
主人公のガールフレンドにはそれ程いやな感情は沸かないものの、主人公も嫌いだし、変態性の
ある父親はもちろんおぞましいし、気性の荒い母親も嫌いだし、夫にひどい目に遭わされながら
出ていかない(後に出ていくが)後妻も嫌いだ。特に主人公の父母が1番嫌いだ。
母親が父親と結婚する前に、結婚する予定で付き合っていた男性とのエピソードなど、ゾッと
する。私が男ならあんな女とは結婚したくない。
なによりこの小説を好きになれない最大の理由は、性描写が多くてリアルなことだ。私は
性描写が好きではないのだ。
読んでいてイヤーな感じになった。ただ、田中氏の筆力はすごいと思う。すごいからこそ、
情景が細かに想像出来て、いやな感じになるのだ。特に父親の鬼畜さは目に浮かぶようだ。
方言で書かれているせいもあるかもしれない。妙にドロドロしたものを感じるのだ。
田中氏の、新聞に連載されている短編小説はすごく好きで、毎月楽しみにしているのだが、
「共喰い」はちょっと…私はダメだった。


昔、津村節子氏の「千輪の華」という小説を読んで感動したものだが、今読むと感動出来ない。
主人公の女性は2つ年下の大学生と知り合い、やがて同棲する。女性は結婚するつもりだった。
が、大学生が卒業して就職すると、郷里の大きな料亭の娘との縁談が持ち上がる。
自分を両親に紹介してくれない、縁談を断ると言ってなかなか実行に移さない彼に、女性は
不安で精神的にまいってしまう。彼は「いっそ心中しようか」と言う。
2人は死に場所を探して旅に出る。海に入ったが、2人とも助かってしまう。
そして女性が入院している間に、彼は両親と一緒に実家に帰ってしまうのだった。

この小説を読んだ当時、私は変な失恋をして、精神的に病んでいた。それで女性主人公に
感情移入してしまったのかもしれない。
心中に失敗して入院している時、刑事が来て事情を聞くのだが、刑事は溺れている彼女を彼は
見捨てたのではないかと疑うが(彼の方が軽傷だった)、女性はそんなことはない、彼も溺れていて
助けられなかったのだと本気でかばう。今だったら、バカだなー、見捨てたに決まってるじゃん、
元々つい心中しようかと言ってしまったものの死ぬ気なんてなかったんだよ、だからさっさと
実家に帰って結婚したんじゃない、と思ってしまう。
いや当時もそう思ったが、その頃は主人公を「かわいそう」と感じたが、今は「バカだな」と感じる
のだ。同棲していた時から、彼の方は真剣じゃなかったのにね、と。
更にその後の主人公の生き方も、今は理解できない。なんで??と思う。
まあ年とったらこんなふうに変わってしまうものかもしれない。
ちなみに新潮文庫。
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