今日の出来事

一生懸命に毎日を生きる子どもの姿。そして、そんな子ども達に寄り添う、先生たちの思いを綴ります。

りゆうがあります

2022年02月20日 | 今日の出来事
お昼寝が終わると、部屋の明かりが点いてモゾモゾと起きだしてきます。
その前から起きちゃってる子もいるけど。

明るくなって、話し声が増えると、それに気づいて起きてきます。
半数以上は。

ぜんっぜん起きてこない子のお話です。

寝起きっていうのは、なんでしょうか?
遺伝ですか?
生活リズム?
体質?
起きてこない子は全然起きません。

ゆすっても、話しかけてもだめ。
足裏をこちょこちょってやったら蹴られました。
ま、そうだよね。ごめんごめん。


寝ている間も耳は聞こえてるっていう話があるんですが、ご存知でしょうか?
けっこう有名な話なんですが、
こないだ、その起きてこない子の近くに座って、ケータイから音楽流してみたんです。

むくっと起きるんですよね。
むちゃくちゃ眠いのは分かります。
目ぇ開いてないから(笑)

でも起きる。
その時はジャンボリーミッキーでしたが、子どもが好きなアニメの主題歌なんかは効果抜群です。
アナ雪とかプリキュアとかいいかも。


ケータイとかパソコンとかをそういう用途で使ってはいけません、うちの園は。
だから普段はそんなことしません。

子どもが証明してくれたのは、ある事実です。
それは「楽しけりゃ起きる」ってことです。

起きてもトイレ行かなきゃいけないし、着替えが待ってるし、まぶしいし、寒いし…。
寝てるのが一番幸せだから起きない。
合理的過ぎる理屈です。
だったら、寝てる場合じゃないほど楽しいことが待ってたら…。

子どもの意思決定にはほんと無駄が無いと思います。

楽しければ学び

2022年02月19日 | 今日の出来事
「あつまれー」とか、そういうことは一切言ってません。
でも一人また一人、気付いたら座る場所が無いって揉め始める。
それほどまでに、私の周りに子どもが集まるひと時があります。


保育園には絵本が何冊もあります。
子ども達は絵本が大好き。
そして、よく破れます。

絵本の破れた箇所は、ブックカバーを使います。
図書館の本の表紙を保護してるアレです。

押し入れをガラガラッと開けて、逃がしておいた絵本を小脇に、ハサミとブックカバーを用意。
押し入れを閉めたら、その場に座り込みます。
保育室の片隅です。

すると、舞台の幕が開いたように、子ども達の視線が集まります。
膝がぶつかるくらいの距離、つうかぶつかってるね。
はいバックバックぅ。

ブックカバーを細長く切る手元を、小さい顔がいくつものぞき込んでいます。
ちょっと見えないから…

私の手元からポロポロ落ちるブックカバーの切れ端をつまんで、
「これゴミ?」
「うん」
「捨ててくるね」
「ん。ありがとう」

細長く切ったのを両手の親指と人差し指でつまみ、破れた箇所に合わせていると…
「貼ってあげようか?」
「ギャー!ちょっと待ってー!」
「ほらズレた…」
「えへへへ」


子ども達を楽しませようとは思っていません。
でもずーっと見てる。
あっち行けって言ったって行きません(言わないけど)

子ども達が集まってくるのも、見てて楽しいのも分かってます。
分かってやってます。
私も同じ経験をしているからです。

大人がやることは子どもにとっちゃ何でも楽しいものです。
ハサミやドライバー、メジャーなんかを持っていたら、簡単に子どものアンテナに引っ掛かります。
お、先生なんかしそうだね。
見ている子どもは結構学んでます。文字通りの見学です。

見える位置を求めてのぞき込むから、ほんと邪魔(笑)
でも、好奇心むき出しの子ども達は、やたらと可愛いものです。

みんなのちから

2022年02月11日 | 今日の出来事
きみに、あえて、うれしい
きみに、あえて、うれしい

スマートフォンを構えていた手が一瞬、押し返されました。


昨日。5日ぶりの練習では、自信の無さが声にも出ていました。
歌詞を間違えることも。
集中の糸も、途中で切れてしまいました。

うんざり顔が「もう遊びに行きたいよ」そう言っていました。


一日の新規感染者が一桁という日は、夢か幻か。
遠い過去のことに感じます。

1月に入ってからというもの、全員が揃う日はありませんでした。
友達がいないから、劇のセリフも、小声の自分が目立ってしまいます。

そうして迎えた撮影日。

今日で終わりということが分かっているから、劇のセリフも劇中歌も、昨日の何倍も大きい声になっています。
がんばるぞ!オー!の気合が乗ったかな?
みんな、自分の役割をちゃんと背負ってます。

いよいよ歌です。
並んで立ったその顔には、まだ真剣さが張り付いています。

顔だけでなく、気持ちが同じ方向を向いていました。
頑張ろう!って。
すーっと吸い込んで、一斉に放たれた力強い声。

文字通り私が持っていたスマートフォンを押し返し、そのまま体の中を抜けていきました。
きっと自分たちも感じていたはず。
声を揃えて歌う事の気持ちよさを。美しさを、すごい力を。


ダンスが終わり、カメラに向かってお礼を言いました。
ほんとなら見に来てくれたはずのママやパパに。
「ありがとうございました!」

最後はその場にへたり込んでいました。
お疲れ様。よく頑張りました。
本番で見せてくれた覚悟に、先生からも。

ありがとうございました。

わたしの大切な鬼さん

2022年02月01日 | 今日の出来事
節分の行事に向けて、保育園では製作をします。
自分たちで作ったものは、しばらく保育室の掲示板に飾られます。
飾られると、なんだか良い気持ち。
先生にもママにも自慢したいなぁ。
じょうずでしょ?って。

0歳時クラスの掲示板にも、鬼のお面が飾ってあります。
「おに!」
見つけるたびに言っちゃうもん。
お面を被っても「おに!」
ほら、先生だって上手ねって言ってくれるの。

お面のゴムが切れてしまったのは、そんな、とても楽しい時でした。

あ!
時間にして数秒ですが、とても長く感じる沈黙。
その子は切れたゴムを視界に入れたまま、唇をキッと結んでます。

小さな心が”自分のしたこと”を感じてるのが分かって、声をかけるのが少し遅れました。
「直そうか」
刹那、張り詰めたものが爆ぜるように泣き出しました。
「ゴムもらってくるね?」「一緒に行く?」話しかけるたびに「うん!」と泣きながら大きく頷きます。
1年ちょっとしか生きていない子どもが「なんとかしなくちゃ」と必死です。

直している間、ずっと手元を見てる。
手慰みにセロテープをちぎって「はいどうぞ」
「ん?まだ貼らないよ。もうちょっと待ってね」
「あと少し、ね?いいよって言うから、そしたら、ね?」

「はいどうぞ、ここね。そうそう」
「ほらできた」

とっても大切だったんだね。
鬼のお面を被って「鬼はそとー!」って、やるんだもんね。

先生達も言うぞー!福はうちー!こっちこっちー!って。