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映画を見た後にネタバレOKで映画を、展覧会を見たら絵画を、など様々のことについて気楽に話しましょう。

土竜の唄 香港狂騒曲

2017年01月20日 | 邦画(17年)
 『土竜の唄 香港狂騒曲』をTOHOシネマズ渋谷で見ました。

(1)第1作の『土竜の唄 潜入捜査官 REIJI』を見て大層面白かったので、第2作目もと思って映画館に行ってきました。

 本作(注1)の冒頭では、東京のビル群の夜景が映し出され、そこに大きな檻を吊り下げたヘリコプターが飛んできます。
 そのヘリコプターを操縦するのは、前作のラストで「日浦組を作る」と言い放ったクレイジーパピヨンこと日浦堤真一)。



 檻に入れられているのは、前作で日浦や潜入捜査官・玲二生田斗真)らが闘った相手の蜂乃巣会のヤクザ連中(注2)。
 彼らはサウナに入っているとばかり思っていましたから、腰にタオルを巻いただけの裸の状態。
 そして、その檻の下には、玲二がこれまた全裸(新聞紙が大事なところにあてがわれているものの)でぶら下がっているのです。
 日浦は、玲二が飛び込めるように、運河の上を低空飛行しますが、玲二は気が付かず、通り過ぎてから「今、手を離せばよかった。下ろしてください!」と言うものの、後の祭り。日浦は、「兄弟、気分はどうだい?」と呟きます。

 ヘリがスカイツリーに近づくと、その展望台にいた純奈仲里依紗)は、檻の下にぶら下がっている玲二を見つけ、「玲二くん?!」と驚きます。

 ヘリは、数寄屋会の四代目会長・轟周宝岩城滉一)らがいるビルの屋上に降りていきます(玲二は、その時には檻の上部に移っています)。
 日浦は「骨付きヤクザをお持ちしました」と言って、檻を火の上に下ろし、自身はソコから飛び去ります。
 屋上では、クロケン上地雄輔)が、「焼きあがるまでキャンプファイヤーをお楽しみください」とフォークダンスの曲をかけるものですから、轟会長以下が「オクラホマ・ミキサー」に乗って、火の周りでフォークダンスに興じます。
 檻の中のヤクザたちは、火にあぶられて酷く熱いため、檻の上部にいる玲二の2本の足にすがりつきます。結果、玲二は大変な状況になってしまいます。でも、そこは「ブッチコイ!」と叫んでなんとか切り抜け、「俺の股間が抗争を未然に防いだ」と呟きます。

 他方で、警視庁では、瑛太)が組織犯罪対策部の課長に就任し、職員らの前で「ヤクザと癒着したはぐれ警官を撲滅しよう」と訓示をします。

 こんなところが、本作の最初の方ですが、さあ、この後、話はどのようになるのでしょうか、………?

 第1作では女優の活躍する場面が少なすぎる問題があるのではと思ったところ、本作では、主人公が付け狙う裏社会の大立者の娘を巡る話が展開されており、さらにチャイニーズマフィアとの対決で主人公らが香港に飛んだりして、一応のスケール・アップが図られているとはいえ、コミカルなシーンは第1作類似のように見え、また香港を絡まらせる必然性もあまり説得力があるようには思えず、第1作ほどの面白さは感じませんでした。

(2)第1作についての拙エントリでは、「本作に登場する女優の見せ場が余り多くないのは残念」と申し上げましたが、なんと本作では、前作同様に純奈役の仲里依紗のみならず、轟会長の娘・迦蓮役として本田翼とか、チャイニーズマフィア・仙骨竜のヒットガール・胡蜂役として菜々緒とかが(注3)、かなりの活躍をします(注4)。



 もともと、話の本筋が、轟会長から破門されたモモンガ古田新太)が迦蓮を誘拐し、チャイニーズマフィアが取り仕切る人身売買市場に売り渡された彼女を玲二らが救出するというものですから、女が色々と絡んできます。
 この点は、前作からの前進として評価すべきでしょう!

 ただ、本作にはよくわからない点がいくつもある感じがします。
 特に、後半の舞台をなぜ香港にしたのか、第1作が関西ヤクザ(蜂乃巣会)との抗争を取り上げていましたから次は海外にということなのでしょうが、よくわからない感じがします。

 確かに、迦蓮らの人身売買を行う市場は香港で開催されるという設定です。また、ヒットガールの胡蜂といった香港マフィアの手下が現れて、日浦や玲二と戦います。
 でも、人身売買が行われるパーティー会場などは、香港に限らず、どこにでも作れるものでしょう(注5)。
 それに、日浦や玲二が轟会長の命を受けて殲滅しようとするチャイニーズマフィア・仙骨竜のトップや幹部などが、本作では姿を一切見せないのですから、相手が殲滅されたのかどうかわからないままとなってしまいます。

 また、警視庁の課長の兜が、チャイニーズマフィアと通じているというのも、よくわからない設定です。
 もともと、兜課長が警視庁のエリートコースに乗っているというならば、採用とか昇進にあたって、監察官の方でその身辺をよく調べているはずです(注6)。
 それに、彼の父親が潜入捜査官に殺されたことから、ヤクザと癒着しがちな潜入捜査官、特に玲二を憎むという設定になっていますが、そんな個人的なことからチャイニーズマフィアとつながることまでには相当の距離があるように思われます(注7)。
 さらに言えば、兜はどうやってなにをしに香港に来たのでしょう(注8)?

 こうした様々な点からすれば、本作のラストの舞台を、何もわざわざ香港とせずとも、むしろ、東京で十分なのではないでしょうか?香港を使うというのであれば、東京では対処できない香港ならではのものをいくつも登場させるべきではなかと思ったところです(注9)。

 さらに言えば、玲二の裸のシーンが冒頭に見られますが、これは第1作の“全裸洗車”のシーンの二番煎じといったところではないでしょうか?

 とはいえ、もともと本作は馬鹿馬鹿しいこととして制作されているのですから、そんなつまらないことをいくら言い立ててみても、野暮の極みであり、何の意味もないでしょう。
 加えて、上に書きましたように、本作では女優陣の大活躍が見られるのですし、そればかりか、第1作と同じように、留置場に入れられた玲二のところに、谷袋警察署署長の酒見吹越満)、一美教官(遠藤憲一)、麻薬取締部課長の複澄皆川猿時)の3人がやってきて、イロイロ情報を与えた後、例の「土竜の唄」の2番を歌ったりするなど(注10)、なかなか面白いシーンがいくつも用意されているので、まずまず楽しんでみることができました。



(3)渡まち子氏は、「今回は原作の「チャイニーズマフィア編」がベースになっていて、前作にもまして、三池崇史監督の演出も、宮藤官九郎の脚本もハイテンションである」として60点を付けています。



(注1)監督は、『藁の楯』などの三池崇史
 脚本は、『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』などの宮藤官九郎
 原作は高橋のぼる著『土竜の唄 チャイニーズマフィア編』(小学館)。

 なお、出演者の内、最近では、生田斗真は『秘密 THE TOP SECRET』、瑛太は『64 ロクヨン 後編』、本田翼は『起終点駅 ターミナル』、古田新太上地雄輔は『超高速!参勤交代 リターンズ』、菜々緒は『グラスホッパー』、仲里依紗岩城滉一は『土竜の唄 潜入捜査官Reiji』、堤真一は『海賊とよばれた男』、皆川猿時は『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』、吹越満は『友だちのパパが好き』、遠藤憲一は『ギャラクシー街道』で、それぞれ見ました。

(注2)数寄屋会の轟会長からは、蜂乃巣会の若頭・鰐淵菅田俊)を殺せと命じられていましたが、日浦は鰐淵と“五分の盃”を交わしただけでした。ですが、それが気に入らない組員が跳ね上がります。

(注3)さらには、轟会長の妻の毬子鈴木砂羽)も、玲二が轟会長のボディーガードとなってその家に行った時に登場します。

(注4)なにしろ、純奈(仲里依紗)は車の上に乗ってフロントガラスを足で踏みつけますし(下着が見えます!)、迦蓮(本田翼)も玲二に馬乗りになって腰を振り、さらに胡蜂(菜々緒)が美脚を見せながら鞭を振るったり虎をけしかけたりするのですから。

(注5)劇場用パンフレット掲載の「プロダクション・デザイン」によれば、実際には東京の東宝スタジオに作られたセット。

(注6)ただ、兜の父親が殉職した警察官であったことから、詳しい身辺調査を行わなかったのかもしれませんが。

(注7)兜課長は、玲二に、「人間の醜さが一番わかるのが人身売買」、「俺は、人間のウソや醜さを暴きたいから人身売買に手を出す」などとうそぶきますが、全く理解しがたい理屈であり、単に自分の行動をウソで美化しているにすぎないように思えます。

(注8)日浦や玲二と同じように密入国によってでしょうか?それに、香港では、日本と同じような捜査権を持っていないはずですし。

(注9)実際には、そんなことなど充分に承知の上で本作が作られているようです。
 劇場用パンフレット掲載の「プロダクション・ノート」には、「香港の“熱海”地区ってことでやろうよ」と言っている三池崇史監督の言葉が掲載されています!結果として、海外ロケは行われず、「香港は実刑部分の撮影のみ」ということになったようです。

(注10)壱番と弐番の作詞は宮藤官九郎。
 なお、壱番の末尾は「土竜の唄だよ 弐番はないよ」ですが、弐番の末尾は「参番もあるかもね」となっています。轟会長も健在のことですし、おそらく第3作が制作されるのでしょう(漫画の第43巻から突入する「シチリア・マフィア編」が基になるのでしょうか?)!



★★★☆☆☆



象のロケット:土竜の唄 香港狂騒曲

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2 コメント

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Unknown (ふじき78)
2017-01-20 23:39:23
私は1より2の方が面白かったですね。両足が昔のロボットみたいな男がでてきたり、ヤクザが全員で息のあったオクラホマ・ミキサーを踊れる世界で、あまり整合性を突き詰めても答その物が出ないでしょ。

香港はマカオでも上海でもジンバブエでも、どこでも良かったんでしょうなあ。
Unknown (クマネズミ)
2017-01-21 06:33:13
「ふじき78」さん、TB&コメントをありがとうございます。
ただ、クマネズミには、もともと、続編物はどうしても“二番煎じ”臭くて、総じてあまり好きになれないのです。それで、本作は躊躇したのですが、ツイツイ見てしまいました。

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