杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

ぼくの名前はズッキーニ

2018年10月10日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2018年2月10日公開 スイス=フランス 66分

いつも屋根裏部屋でひとりで絵を描いて遊んでいる少年イカールは、ママと二人暮らし。パパが“若い雌鳥(女性)”のもとに去ってしまってから、ママはビールを飲んでは怒ってばかり。ある日、いつものようにビールの缶でタワーを作って遊んでいる時、ママは不慮の事故に遭い、帰らぬ人になってしまう。事故を担当した警察官のレイモンは、ママがつけた“ズッキーニ”という愛称を大切にしているイカールを不憫に思いながらも、孤児院「フォンテーヌ園」に連れていく。クラスメイトは、リーダー格のシモン、アメッド、ジュジュブ、アリス、ベアトリスの5人。入所当日からズッキーニへの手痛い洗礼が始まる。ズッキーニは「ママのところへ帰りたい」と訴えるが、園長から「それは無理なの。ママはお空に行ったでしょ」と静かに諭される。ズッキーニの心の傷を知ったシモンは、他の子どもたちもそれぞれに複雑な事情を抱えながら園生活を送っていることを明かす。そして「皆、同じさ。誰にも愛されていない」とつぶやくのだった。それ以来、ズッキーニは、心の痛みを共有する友として、シモンたちと打ち解けていく。そして、園に新しい入園者、カミーユがやってくる。カミーユはズッキーニと意気投合し、園を照らす太陽なような存在になっていく。季節はめぐり、冬が到来。園の子どもたちは、スキー合宿に出かける。ダンスパーティーや雪合戦で盛り上がる子供たち。深夜、眠れないズッキーニとカミーユは、こっそり宿を抜け出した。月明かりの銀世界の中、カミーユは言う「ここに来て、あなたに会えてよかった」。そんなある日、カミーユの叔母が、扶養手当欲しさに姪を引き取ると言い出し、園に乗り込んできた。「同居するなら死ぬ方がまし」というカミーユに、「絶対行かせないよ」と誓うズッキーニ。子供たちはある作戦を立てるのだった。(公式HPより)


母親を亡くし孤児院に入れられた少年が周囲の人々との関わりの中で成長していく姿を描いたストップモーションアニメです。ジル・パリスの原作を、虐待にさらされる子どもたちへの応援歌として脚色し、子どもたちの豊かな想像力を信じる思いに貫かれた物語になっています。個性溢れるキャラクターはティム・バートンの描く物語の登場人物に似ていて、アナログで素朴な味わいがあります。ラストシーンで流れるのは、ソフィー・ハンガー(スイスの歌姫)「Le vent nous portera」です。

母親の死はズッキーニの過失によるものです。そのことを彼自身も心の奥でわかっているんですね。ズッキーニの宝物はママの形見のビール缶とパパを描いた凧というのも、親の愛情を求めながらも与えられない切なさを感じます ズッキーニというのは母親が付けたあだ名ですが、これには「のろま」という意味があるんだそうな。決して誉め言葉ではないこの名前をイカールはママが付けてくれた名前だからと、そう呼ばれることに固執していて、そんなところも哀れを誘います。

彼を保護してくれたのは親切な警察官のおじさん。孤児院で暮らすことになったズッキーニに定期的に会いにきてくれるのは職務を超えた思いがあるのではと思っていたら・・・そうきましたか

孤児院に暮らす仲間は、意地悪なシモン、優しいベアトリス、顔半分を髪で隠して無口なアリス、大食いのジュジュブと仲良しの変装好きなアメッド。ポール先生とロージーは付き合っていてもうすぐ赤ちゃんが生まれます。

シモンとは、互いの心の痛みを知ってからは打ち解けて仲良くなるんですね 

カミーユには淡い恋心が芽ばえ、彼女の危機には皆で協力して救出作戦を実行します。(お金目当ての叔母の何と憎たらしいこと!)

警察官のおじさんに引き取られることになったとき、皆と一緒にいたい(残りたい)と言ったズッキーニをシモンは「俺たちの希望のためにもカミーユと二人、ここを出て幸せでいて」と諭すシモンがすげ~~カッコ良かったな

原作はもっと残酷で現実的らしいのですが、映画の方はユーモアもあり、それでいて切なく、心温まる内容になっていました。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする