杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

TANG タング

2022年08月12日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)

2022年8月11日公開 115分 G

ゲーム三昧で妻に家を追い出されたダメ男、健(二宮和也)。わけあって無色で人生に迷子中。ある日、家の庭に突然現れたのは記憶をなくした迷子のロボット、タング。初めは時代遅れの旧式のタングを捨てようとする健だったが、タングが失った記憶には、世界を変えるある秘密が隠されていた。謎の追手が迫る中、大人とロボット、ふたりの迷子が大冒険の先に見つけた人生の宝物とは?ある理由から、自分の夢も、妻・絵美(満島ひかり)との未来も諦め、人生を一歩も進めずにいた健だったが、記憶も感情もないはずのタングが「ともだち」や「優しい気持ち」を 少しずつ学習する健気な姿をみるうちに、次第に昔の自分を取り戻していく。ポンコツ同士の2人だけど、キミと一緒なら「きっと、大丈夫」。(公式HPより)

 

イギリスの小説「ロボット・イン・ザ・ガーデン」の映画化で、人生に迷うダメ男と記憶喪失のロボットが繰り広げる冒険を、日本風にアレンジして描かれています。・・・が、ストーリーとしてはイマイチだったかな。

でも、それを補って余りあるタングの可愛さとニノ演じる健のダメっぷりが良かったです。

少し先の未来、ドローンが飛び回り、AIロボットたちが日常のあらゆる場面でアシストしている日本が舞台です。

優秀な弁護士の妻に依存して毎日ダラダラ過ごしているダメ亭主の健が、庭に迷い込んできたタングと出会います。捨てようとしてもタングは勝手についてきちゃって、妻に愛想を尽かされた健とともに家を追い出されてしまいます。実は健は研修医時代、運ばれてきた危篤状態の父を前にパニックに陥って何も選択できなかったことで、“選択する”こと自体がトラウマになり医者への道も諦めかけていることが後に明かされます。だからといって、料理もゴミ出しも家のことは何一つしないというのはやはり「ポンコツ」だよな

タングの部品のメーカーを調べた健は、旧式と新型の交換キャンペーン中と知って、妻に新型をプレゼントしたら機嫌を直してくれるかもと本社がある福岡に向かいます。(飛行機に乗ったりホテルに泊まるお金(カード?)は持っているのね)ポンコツ同士の2人旅の始まりです。機内では、けなされて怒って蒸気を出したり、健の言葉を録音して勝手に再生したり、窓の外の眺めやTV画面にいちいち興味を示したり、まるで幼い子どもを見ているようです。本社の受付で、タングは対象品ではないと交換を断られてしまいますが、林原(京本大我)から彼が何か特別なロボットだと言われます。オイル漏れを起こしているタングの応急処置をしてくれた林原は、治すために中国・深せんにいるロボット学者の大槻(奈緒)を訪ねるよう助言します。そこまでする気がなかった健ですが、拾った100円硬貨を「おたから」と大事にしていたタングが、そのお金で健が飲みたがっていた珈琲を買って渡したその気持ちに打たれて中国に行っちゃうんですね。(ほとんど零れて一口しか残っていない珈琲というのがポイント高いです)タングは飛行機の中で観た「ワンフォーオールオールフォーワン」を学習していました。

大槻と会えた健ですが、2人を追ってきた謎の二人組(かまいたち)にまるで餌に引き寄せられた動物のようにタングが捕まってしまいます。タングは好奇心旺盛な人間で言えば幼稚園児のようなキャラなので、気を惹かれたものを追いかけてあっさり檻の中に入っちゃいます

タングを追いかけて倉庫までやってきた健ですが、そこへ妻から別れの電話が!夫婦の危機なのにタング優先なのね 

二人組と加藤(小手伸也)という謎の男から何とか逃げ出した健とタング。そこにタングの持ち主のロボット工学の第一人者・馬場(武田鉄矢)から電話がかかってきます。(何故番号を知ってる?と疑問に思わないのか)彼はタングを「ジェームズ」と呼び持ち主だと名乗ります。宮古島の馬場の家にタングを連れて行った健ですが、タングは残るのを嫌がり健にしがみつきます。それでも置いて出た健は、帰る途中で加藤と会い、彼から馬場の正体を聞きます。以前同じ研究所のプロジェクトチームだった馬場と加藤。タングは沢山のアンドロイドの中の1体でしたが、銃撃訓練で恐怖心が芽生えて暴走しました。パニックに陥った彼からチップを取り出して研究所を逃げ出した馬場は、そのチップを使って意志を持って成長するアンドロイドを作り軍事利用しようとしていたのです。

急いで馬場の家へ引き返した健は、タングからチップを取り出そうとしていた馬場と対峙します。ロックされた地下室で戦いになりますが何とか勝利し、タングを連れ帰ろうとしますが、事故でタングが壊れて動かなくなります。加藤の指示で配線を直しますが、入れる位置を間違えるとメモリーも失われ壊れてしまうと言われ、動揺する健。でも勇気を振り絞り選択した結果タングは生き返ります。(いや、外す前に場所確かめるでしょって話ですが

「タング」としての記憶を失ったかに見えたけれど、チップの学習能力のせいか馬場の所を出てからの記憶が蘇るタング。宮古島からどうやって?という疑問がこの過去の記憶シーンで解けます。トラックの文字がかすれて一部消えていたのが「TANG」の名前の由来だったのね

「タング健大好き」の言葉に「俺も大好きだよ」とタングを抱きしめる健 馬場は逮捕されますが、不敵な言葉を残します。歪んだ正義感の科学者ってホント質悪い!!

加藤から、タングの所有権は会社にあるけれど、タングの様子をレポートし続けてくれるなら一緒にいて良いと言われます。
タングと帰宅すると絵美が出て行こうとするところで、何も言えない健を見てタングが録音機能を使って健の本音を再生します。更にタングは絵美から心臓の音が2つ聞こえると言います。絵美が義妹の桜子(市川実日子)と会話するエピソードや、別れを告げた絵美が二人の出会いを振り返るシーンの中に「妊娠」の伏線もありましたね 二人が初めて出会った時のシャンパンのコルクが素敵な小道具になっていました。

エンドロールでその後の画(桜子と彼女の子供たちとのクリパ、絵美の出産、一家の家族写真)が流れます。

VFXは「白組」が担当していて、ちょっと先の未来感を華やかに表現していました。

身長84cm、体重30kgの設定は幼児を連想させ、レトロな外見も不思議な安心感を与えてくれます。

怒るとプシューっと湯気が出るところは予告でも登場していますが、それを利用して逃げるシーンもありました。

都合の悪いことを言われると休止モードで寝たふりをしたり、「おたから」を腹の中に隠していたり、興味を持つとふらふら寄って行ったり、タングの行動はまさに幼い子供そのもので、ロボットということを忘れさせてくれます。大人はもちろん、タングの様子を楽しむという点ではファミリー向けでもあります。


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