杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

猿の惑星:新世紀(ライジング)

2014年09月26日 | 映画(劇場鑑賞・新作、試写会)
2014年9月19日公開 アメリカ 131分

猿のシーザー(アンディ・サーキス)が天性のリーダーシップで仲間を率い、人類への反乱を起こしてから10年が経過した。その間に自らが生み出したウイルス(猿インフルエンザ)により人類の90%が死滅し、わずかに残った生存者たちは荒廃した都市の一角で身を潜めて暮らしていた。一方、手話や言語を獲得した猿たちは、森の奥で文明的なコロニーを築いていた。ある日、電力資源を求めてダムを訪れた人間たちが猿と遭遇し、銃で撃ったことから一触即発の事態が発生する。シーザーと、人間たちの中でも穏健派のグループを率いるマルコム(ジェイソン・クラーク)は、和解の道を模索するが、彼らの思惑をよそに、猿たちと人間たちとの対立と憎悪は日に日に増大していき・・・。


「猿の惑星」の前日譚「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」の続編です。
今作では、知性を獲得した猿たちが地球の新たな支配者として台頭するまでを描いています。

集団ができれば対立が生まれるのは、猿であろうと人であろうと同じなんだねぇというのが見終わった感想です

シーザーが助けたコバ(トビー・ケベル)は人間から受けた酷い虐待の記憶が忘れられず、人間全体を憎悪しています。幼少期を温かい愛情に包まれて育ったシーザーは人との共存を望みますが、人を信用できないコバはシーザーの考えを受け入れることができません。それでも命を救ってくれたシーザーへ一応の敬意と恭順を示してはいましたが、徐々にシーザーそのものを葬り自らがリーダーになることを企むようになるの。

今作では猿と人間双方の親子関係も描かれています。
シーザーは妻のコーネリア(ジュディ・グリア)と長男ブルーアイズ(ニック・サーストン)、生まれたばかりの次男を愛す良き夫であり父親になっています。息子を導くべく狩りでは長男の不注意を諌めますが、思春期の長男は父の言葉に反発を感じ、勇気を褒めてくれたコバのことを信頼するようになります。リーダーである父が人間に親近感を持っていることも不満で、その気持ちをコバに利用されてしまうのですが、親友のアッシュをコバに殺されて目が醒めますもしまた続編が作られるようなら今度はブルーアイズがリーダーとして登場しそうね

一方マルコムの息子アレキサンダー(コディ・スミット=マクフィー)も継母のエリー(ケリー・ラッセル)とぎこちない関係でしたが、ダムを動かすためにマルコムたちと一緒に行動する中で、エリーが娘を亡くしていることを知り、愛する者を失った者同士として心を開くようになるのでしたマルコムがシーザーと親交を深めたように、彼の息子はオランウータンのモーリスを親しくなっていきます。二人で仲良く漫画を読むシーンが微笑ましかったな

マルコムはシーザーにダムを動かすために森に立ち入ることを頼むのですが、コバはダムが動いて人間社会に文明が戻れば自分たちが窮地に陥ることを懸念して反対します。銃で武装しようとしている人間グループを発見したコバはもうシーザーに任せておけないとばかりに、彼を暗殺しようとするのです。コバの計略は成功し、猿たちは人間のコロニーを襲います。

重症を負ったシーザーを助けたのはマルコムたち。(シーザーが育ったウィルの家に身を潜めるシーンでは、あの懐かしい屋根裏の丸窓が登場します。そういえば、森のシーザーの家にもあのマークが描かれてたっけ。シーザーにとってあの丸窓こそが「ホーム」の象徴なのですね)。真実を知ったブルーアイズやコバの行動に従わなかったモーリスやロケットたちと共に何とかコバを止めようとします。しかし人間の過激派であるドレイファス(ゲーリー・オールドマン)が猿たちが占拠しているタワーを爆破して・・あぁもう、ここまできたら和解も共存もあったもんじゃないわよねぇ

シーザーは仲間を殺さないという信条を持っていて、コバの行為を再三許してきましたが、最後には「お前は仲間じゃない」と切り捨てます。そりゃ、卑怯な手段で命を狙われて、仲間を危機に陥れるような奴は確かに仲間と言えないよねそれでもコバをあのような憎悪の塊にしたのは実験という名目で彼を虐待した人間だと思うとなんか切なくなります。

マルコムに逃げろと告げるシーザーは、このとき人類との共存を諦め、猿のリーダーとして自分が果たすべき役割を全うしようと決意していたのでしょうね。

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