杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

メイジーの瞳

2014年09月14日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2014年1月31日公開 アメリカ 99分

6歳のメイジーの瞳に映る、身勝手な大人の世界。
自分の居場所を求めて歩き続けたメイジーが最後に選んだ答えとはー?(HPより)

ロック歌手の母スザンナ(ジュリアン・ムーア)と美術商の父ビール(スティーヴ・クーガン)の6歳になる娘メイジー(オナタ・アプリール)。日頃から喧嘩してばかりの両親はついに離婚を決め、メイジーは共同親権を持つ両親の家を行ったり来たりすることになる。ところが、父はベビーシッターのマーゴ(ジョアンナ・バンダーハム)と、母もリンカーン(アレクサンダー・スカルスガルド)と再婚して、自分の仕事に忙しい二人は、互いのパートナーにメイジーの世話を押し付けるようになる。
メイジーは環境の変化に戸惑いながらも、マーゴやリンカーンと心を通わせ始めるが、やがてスザンナやビールの気まぐれに我慢の限界を超えたマーゴとリンカーンが家を出て行ってしまう。
ツアーに向かう母に独り夜の街に置き去りにされてしまったメイジーは・・・。


原作はヘンリー・ジェームズの小説。

この両親、子供のことを愛する気持ちに嘘はないのだけれど、子育てにはとことん不向きな人たち悪人ではないけれど、二人とも自分のしたいことが一番大切なことであって、娘が一番じゃないんだもの

メイジーはパパもママも大好き。そんな二人が毎日喧嘩をしてるのを見ないフリしてやり過ごす日常って見ていて切ないそして突然別れがやってきます。スザンナとビールは裁判で親権を争い、メイジーは両親の家を10日ずつ交代で行き来する生活が始まるの。居場所の落ち着かない不安定で宙ぶらりんな環境が子供に良い筈がないでしょ

親権獲得に有利だからと、互いに再婚した相手は、メイジーの面倒をみてくれそうなベビーシッターだったマーゴと心優しいリンカーン。彼らの思いはともかく、スザンナとビールがそれぞれ純粋に相手を想って結ばれたとは言い難い関係です。
ツアーだ出張だと、メイジーのことは彼らに任せきりで、たまに顔を合わせた時は娘を溺愛状態なのですが、そんな親でも子供にとっては大好きなパパとママなのが切ないねぇ

だけど、徐々にメイジーは悟っていくの。本当に自分のことを気にかけ面倒をみてくれる人は誰かということを。子供だから何もわからない、感じないと思うのはおとなの勝手な思い込みで、本当は無垢な分だけ子供の方が鋭い感受性を持つのだということを、メイジーの瞳が雄弁に語っていました

マーゴとリンカーンが互いに惹かれるようになったのも、同病相憐れむというわけではないでしょうが、互いの置かれた状況が似ていたことも大いに関係あったのでしょうね。血の繋がりのない彼らが、独りぼっちのメイジーを見るに見かねて手を差し伸べたのは、彼らの人間性というか優しさゆえ。ちなみにリンカーン役のアレクサンダーは名優ステファン・スカルスガルドの息子なんですって主な出演俳優の役上の出身国と実際のそれが同じなので、セリフも違和感なかったりします。それにしてもジュリアン・ムーアがロック歌手役ってメイジーの母役には少し年齢が行き過ぎてるような・・・

スザンナが迎えに来た時、やんわりと、でもきっぱりと拒絶したメイジーの選択は、自分を本当に愛し心配し面倒をみてくれる人が誰かということを本能的に悟っていたからでしょう。

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