新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

医師脅迫され、常勤医不在問題:これを機に非常勤にしたほうが良いのではないか?

2017-03-19 10:02:56 | 医療

続けて書きます

 

久しぶりな感じですね。このフレーズ。

昔はよく書いていた(笑

 

離島の事件ですが、離島でなくても僻地医療という意味ではどこでもありえるかなと思います。

島で唯一の医者が脅迫され避難 沖縄・北大東島 常勤医が不在に

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170318-00089168-okinawat-oki

沖縄タイムス 3/18(土) 16:50配信

 沖縄県北大東村(人口約600人)の県立北大東診療所の常勤医師が2月上旬から1カ月以上、不在となっていることが17日までに分かった。常勤の女性医師が村内で男に脅迫される事件が起き、村外へ避難したのが理由。診療所は現在、本島の県立病院からの代診派遣でやりくりしているが、県病院事業局の伊江朝次局長は「やる気のある医師がこんな形で島を離れざるを得なかったことを、もっと重く受け止めてほしい」と村に要望する。村は役場や駐在所と連携した医師の安全確保策などに取り組むとし、常勤配置を求めている。


 那覇署によると事件は2月7日夜に発生。男が酒気帯び状態で運転する車が対向車線に進入し、医師の乗る車と正面衝突した。男は「通報したらどうなるか分かるよな」などと医師を脅し、後に脅迫の疑いで逮捕された。「示談にしたかった」と供述したが、医師は事件翌日に村外へ避難し、その後に離任が決定した。

 現在は県立南部医療センター・こども医療センターや中部病院の医師らが数日ずつ代診を務めている。航空機の手配や医師確保が間に合わない日があり、患者の経過を継続して診られないなどの影響も出ている。

 病院事業局は事件後、村が村民に対し、常勤医師不在の理由について十分な情報を提供せず、危機感が薄いことなどを指摘。後任を4月から配置する方向で調整中だが「赴任後の安全が担保できなければ、延期もあり得る」とする。

 (略)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

600名という村民の数を考えると「常勤医」が不在になっても仕方がないのではないかと思います。

 

村が村民に対して常勤医不在の理由を説明しなかったのは「狭い社会」であるため、村八分にされかねないと思ったからかもしれませんが、酒気帯び運転+脅迫の罪を犯している人間ですので、それも仕方がなかろうかと思います。

失った信頼を村民のために働いて取り戻すのが、この方のやるべきことだと思います。

 

さて、常勤医の話ですが、離島勤務をしてメリットはあまりないと思っています。医師もに行政にも。

そもそも患者さんの数が多くなるわけでもなく、行うことも「生活習慣病」などの対応や「緊急性の乏しい疾患」の対応がほとんどで、大きな疾患は搬送することになるだろうと思います。

そうすると常勤医を配置するメリットは少なく、定期的な支援で十分ではないかと思います。僕が行政担当ならそうしますね。今回のことをきっかけとして。

 

僕も2ヶ月に1回巡回診療をしています。薬などもそれに合わせて取り寄せているだけですので、なかなか対応が難しいところがあります。それでもタイミングを合わせれば診療ができているので、2週に1回とかの非常勤医師でもできるのではないかと思ったりします。

 

常勤医を配置して「給与」「住居」その他にかかる費用(今回、防犯カメラ設置とか書いているのですが)と2週に1回とかの非常勤医師の移動費、診療費でメリットがあるのか検討しても良いのではないかと思いました。

 

もし、これを行う場合は緊急時の搬送方法などを色々構築する必要はありますが。

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

http://blog.with2.net/link.php?602868

人気ブログランキングへ←応援よろしくお願いします

なかのひと

blogram投票ボタン

それでは、また

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

医師が慌てない理由:時間が勝負ではなかったからです

2017-03-19 09:08:39 | 医療

おはようございます

 

先週から急に海外に行くことがなくなり、少し心身の休養を取っている状況です。まぁ、僕に関しては他にもやることがあります(帯広にいる間にやっておきたかったこと)し、せっかくだから帯広地区で釣りでも楽しもうかと思っています。

 

と行っても、半年で海外へ行く予定で帰国したらすぐに異動(というより退職して良い)という話もあり、車も何も持って来ていない。どうやって釣りに行こうかと思っていたら、他にも釣りをしそうな方が大勢いらっしゃるので便乗させていただこうかとか思っています。

 

魚をさばく包丁とかも買い揃えようかしら。

 

さて、先ほどネットを見ていたら木になる記事が2つばかりありました。

少し紹介させていただきます。

 

患者にとっては重大事でも、医師が慌てない理由

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170314-00050028-yomidr-sctch&pos=2

読売新聞(ヨミドクター) 3/16(木) 5:31配信

 

 「新幹線で移動中に、急に片目が暗くなり、数分で改善してきたが、よくネットなどで見かける緑内障のような視野異常が残っている。どうしたらよいか」というメールが60歳代の知り合いの評論家の方から入りました。

 それはおそらく緑内障ではなく、網膜の血管障害が疑われるから、最寄りの眼科をすぐ受診したほうがよい旨返信しました。

 メールを見たのは、彼が発信してから約半日たっていましたが、その間に彼も私が勧めたのと同じ行動をとり、「網膜中心動脈枝閉塞」の診断を得ていました。

 数日後、彼の要望でもう一度私が拝見することになりました。診断は正しく、病変はすでに完成していて、これ以上よくも悪くもならない状況でした。

 ただ、その方は、高血圧、高脂血症や糖尿病などの循環障害を起こしやすい因子はないとのことでしたが、心臓などを含めた全身検索を総合病院等で行っておくべきだとアドバイスしました。

 本人は、この視覚障害は何かの治療で改善できるものと思っていたようですが、すでに病気は後遺症を残して固定、治癒した状態だと説明しました。

 すると、「最初の医師は少しも慌てていなかったので、回復するものだと思っていた」と言います。

 「医師が慌てないのは、病気や症状が大したことがない場合もありますが、何ら有効な治療法がない場合も、落ち着いているものですよ。あなたの場合は、後者だったのだと思います」と私は話しました。

 つまり網膜の動脈が詰まった発症当初には、いろいろ手だてをする必要がありますが、その医師が診た時点で病変はすでに完成し、不可逆的になったものと考えられるのです。

 彼はやや驚いた表情でしたが、やがて「なるほどね」と苦笑し、納得していました。

 患者さんの多くは、医師に絶対的信頼を置いているものです。

 その信頼とはいったい何なのか、ちょっと立ち止まって考えてみましょう。

 医師は、患者である自分に対し、正確無比な診断をし、最適な治療を迅速にしてくれるに違いないという前提が、その信頼の根幹でありましょう。

 今回の場合はどうでしょう。確かに正確な診断でしたが、患者さんが一番してほしい迅速な治療はなされませんでした。できなかったのです。

医師の側から見ると、そのような臨床医学の限界点を見ることは日常茶飯事ですから、大した問題ではありません。

 ですが、患者側から見れば重大事ですから、信頼している医師はもっと慌て、深刻にならないはずはないと考えるのです。

 「慌てていなかった」という患者さんの言葉が、図らずも医師・患者間の温度差を表現することになった一場面でした。(若倉雅登 井上眼科病院名誉院長)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

さて、中略としたかったのですが、気になった部分がたくさんあったので、そのまま載せてしまいました。

 

確かに「患者さん」からの信頼は「正確無比な診断をし、最適な治療を行なってくれる」という思いから生じてくるのだと思います。僕もそう行いたいと思っていますし、患者さんの不利益をできるだけなくすように努力するのが医師を含めた医療従事者の責務です。

 

しかし、100%というものはありえないため(医療は確率の学問ですので、100%という数字はないです)、できることとできないことが生じて来ます。そこは医師と患者・患者家族の間でコミュニケーションの失敗が起きる理由の1つかもしれません。医師の前提は「100%はない、不確かなものが医療」で、患者さんの前提は「100%正しいことをしてくれる」ですので。

 

まぁ、これは期待してもらわなかったら話が進まないので「基本的に正しいことをしようとしている」ことに変わりはないと患者さんやご家族には信じていただく他ないとも思っています。患者さんの体の中で何がおきているかわかる「神様の目」のようなものがあれば、さらに対応レベルは上がると思いますが、人間である医師は推測しかできません。より高い推測レベルを持つ医師が「名医」なのだと思います。

 

その他にどうしようもないものがいくつかあります。そのうちの1つ、この場合は時間経過ということになります。

 

例えば脳梗塞では一定レベル以上の重症患者が4.5時間以内に適切な検査を実施した上で「血栓溶解」療法を行います。それ以上の時間経過は現時点では不利益(ダメージを受けて弱った血管に血流が再開すると脳出血がおきます。脳出血のリスクは3倍程度に増えることがわかっています)だからです。

今回も既に完成されてリスクを冒しても仕方がない状況だったという話をされています。

 

そういった様々な情報からできることとできないことを分けて、できることがあればそれを実施することになります。

 

慌てている医師が良いかどうかはわかりませんし、急変ですぐに対応が必要なもの以外で慌てることは普通はないと思います。慌てるとすれば「時間が勝負」の時間が説明によって減ってしまう場合だけだと思います。

そういうことで、この記事では「慌てていなかった」という話になります。

 

まぁ、時折慌てるべきところで慌てていない医師(状況を理解していない医師)もいますが・・・

 

Na 114 mEq/Lで「血液検査では異常はありません」と言っている医師とか、Ca 13 mg/dlで普通に外来に紹介してくる医師とか・・・。

 

ただ、基本的に医師が慌てていないのは「時間が勝負」ではないと判断している時だと思います。

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

http://blog.with2.net/link.php?602868

人気ブログランキングへ←応援よろしくお願いします

なかのひと

blogram投票ボタン

それでは、また

 

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする