新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで

血液専門医・総合内科専門医の17年目医師が、日常生活や医療制度、趣味などに関して記載します。現在、コメント承認制です。

乳がん検知犬:なんとも言えないですが、複数の患者で検証が必要ですね

2017-03-26 09:11:40 | 医療

追加でもう一つ書きます。

 

ちょっと気になりましたが、色々検証が必要ですね。

 

布をクンクン、乳がん検知 犬使った画期的診断法、仏で発表

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170325-00000004-jij_afp-int

AFP=時事 3/25(土) 7:58配信

 

【AFP=時事】犬は乳がんを患う女性の乳房に触れた布を正確に嗅ぎ分けられることを示した診断試験の結果が24日、発表された。奇抜だが将来性のある研究結果だ。



 試験を行ったフランスのチーム「Kドッグ(KDog)」によると、ジャーマンシェパード2匹が、わずか半年間の訓練で乳がんを100%探知できるようになったという。この方法は簡単で体への影響もなく、安価に実施できることから、マンモグラフィー(乳房X線撮影)利用が困難な国々での乳がん診断に革命をもたらす可能性がある。

 試験は、優れた嗅覚を持つ犬は乳がん細胞が持つ独特のにおいを嗅ぎ分けられるとの仮定の下で行われた。チームは、31人の乳がん患者から、がんを患う乳房に当てた包帯のサンプルを収集。犬専門家の協力の下、ジャーマンシェパード2匹に、がん患者の乳房に当てられた包帯とそうでない包帯を嗅ぎ分けるよう訓練した。

 6か月間にわたる訓練の後、2匹は今年1月と2月に行われた試験に臨んだ。試験では、訓練で使用したものとは別の乳がん患者から集められた包帯31枚を使用。1度の実験につき乳がん患者の包帯1枚と、非患者女性の包帯3枚が用意された。1回目の実験で2匹はがん患者の包帯31枚中28枚を検知し、成功率は90%だった。だが成功率は2回目の実験で100%に上昇した。

 研究チームは次に、より多くの患者と別の犬2匹による臨床試験を行う予定だが、資金が不足している状態だという。【翻訳編集】 AFPBB News

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乳がん患者さんを30名くらい集めているならいいのですが、多分同じ患者さんの包帯31枚なんですよね。そこに限界がありそうですが、面白いとは思います。少なくとも犬に診断させようと考えたことなかったので

 

記事ではあくまで匂い・・・としていますので、

1、乳腺組織内にあるがん細胞の匂いが体表面まで出て来ており(乳がん組織特有の匂い)、犬はそれを識別できる

2、がん患者さん特有の匂いがあるので、犬はそれを識別できる

3、乳がんと特定しているので、乳腺から何かの乳がん分泌物が出ているのを識別できる

4、1人の患者さんから複数の包帯を使用したため、犬が他の何かの匂いを覚えている(少なくとも2人の乳がん患者さんには共通した何か・・・。薬とか何かが共通しているなど)

 

と言うところでしょうか。

 

犬は変えなくても良いので、

A、実際の患者さん(かなり多くの患者)でどうなのか (4は否定できる)

B、発見するために未治療のボランティア女性(乳がん検診をする)を集めて、犬に匂いをかがせて、検診結果と照らし合わせる(実際に検診の効果があり、被曝する可能性のあるマンモグラフィと同等以上であれば意味がある)

ことは検証が必要かなと思います。

 

まぁ、面白いとは思います。

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

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姫路こども園問題から:医療問題も似ていますね

2017-03-26 08:11:42 | 医療

おはようございます

 

昨日、ドラマの「そして誰もいなくなった」を見てしまいました。渡瀬恒彦さんが出られるみたい(CMで見て)だったので、遺作かもしれないと見ておりました。ドラマは基本的に見ないのですが、面白かったので続きも今夜みようと思います。

 

あとは最近、7〜8kmほど走るようにしています。朝、もう少し暖かくなったら朝走るでも良いかなと思っております。

 

さて、子供を持つ親としてはやはりきになるのはこの話題ですが、医療も似たようなものだしなと思ったりしています。

 

<姫路・こども園>運営ずさん、隠蔽周到…30項目違反

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170325-00000075-mai-soci

毎日新聞 3/25(土) 21:10配信

 定員の1.5倍の園児を受け入れていた兵庫県姫路市の私立認定こども園「わんずまざー保育園」(小幡育子園長)について、県は今月中にこども園の認定を取り消す方針だ。2015年4月の子ども・子育て支援の新制度導入後の取り消し例はないが、同園では約30項目に及ぶ違反が行われていた。ずさんな運営は、国が音頭を取る「待機児童ゼロ」のかけ声にまぎれて認定当初から2年間続いていたとみられる。【幸長由子、井上元宏】



 ◇監査日、私的契約児を休ませ/保育士勤務表、提出用に偽装

 市を通さず私的に契約した園児が22人、保育士の水増しは3人、狭い保育室と少な過ぎる給食発注数、食中毒予防の検食不実施--。2月23日と3月13日に市と県が行った抜き打ちの特別監査で、次々と問題が明るみに出た。暖房は送迎の保護者がいる時だけ。トイレットペーパーは園が負担すべきなのに保護者に持参を求めていた。

 ずさんな運営の隠蔽(いんぺい)は念入りに行われていた。小幡園長は市が事前通知した2月2日の定期監査前、私的契約した園児の保護者に監査日は登園させないよう頼んでいた。入園案内のしおりは、正規入園者用▽私的契約者用▽市提出用と3種類用意し、保育士の勤務表も市提出用を別に作っていた。

 小幡園長は遅刻すると罰金1万円を科し、月給制なのに日割り計算で祝日分を給与から減額していた。園内では絶対的な存在だったとみられ、保育士たちは問題を園外で相談できない状況だった。不正発覚後の今月21日の保護者説明会でも、保育士7人は園長退室後に初めて「逆らうことができなかった」などと打ち明けたという。

 保育士たちは「意見を言ったら園長から無視され、病気で倒れた」「辞めた保育士の自宅で、園長が(翻意を求めて)30分ごとにピンポンを鳴らしたと聞いた」「園児が裸足で寒そうでも、園長が来たらエアコンを消さなければならなかった」と明かしたという。

(中略)

 ◇「待機児童」遠因か

 劣悪な施設が生じた背景には、各自治体の待機児童数が比較されるなかで保育施設が渇望された事情があったとみられる。

 (以下略)

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園長先生・・・こわっ(笑

 

まぁ・・・その話は置いておいて・・・この記事を見ながら思ったことは

1、医師の名義貸し問題が「医師不足」の名の下に10年ちょっと前にありましたが、保育士の水増しも起きているのだな

2、足りていない施設は「劣悪」なものであっても「淘汰」されない(医師もそういう意味では淘汰されません)

3、そうすると利用者側が気をつけなくてはならない(医師も自分たちでいうのもなんですが、時々とんでもない医師がいます。ただ、多くの医師はまともで、聖人君子でなくても・・・自らと家族を犠牲にして患者さんや患者さんの家族に対応している方が大勢います。ただ、医療の進歩に医師のアップデートが追いつかないこともあります)

 

この数が足りなくて「自浄能力」や「自然淘汰」されない施設や職業というのは問題だと思っています。しかし、自然淘汰させるために「保育所の数を増やそう」と言ったところで、素晴らしい保育所を作り上げるための「保育士」さんの数が急増するわけでもないと思います。医師もそうですが、増やそうと思って増やしたものの「質」が低下してしまっては意味がないわけです。

 

こういうところは時間をかけて改善する必要があると思うのですが(医師不足もそうです。僕は基本的に残業時間は月に100時間まで・・・とか言っている(医師の残業規制:最初にやるべきなのは大学病院の待遇改善だと思う)時点で医師は足りているのか・・・と思う)、始めるのが早くなくては「質と量」の両方を揃えることは難しいのではないかと思っています。

 

医師も保育所も似たようなものかもしれませんが、増やしすぎたくない理由というのもあると思います。医師は患者さんの数が、保育士は児童数が問題になりますので。医師も将来医師が余るのではないかと言われています。

少なくとも僕はしばらくは医師不足はないと思います。「80歳以上の救急患者さんは緩和医療の対象とする」とでもしない限りは高齢者の患者さんがこれから増えて、ますます大変になると僕は思ってます。高齢者の方が合併症が多いために、手術なども大変、抗がん剤治療も大変、管理(治療後の入院診療)も大変・・・。

 

僕はそう思っていますが、医師を増やしたら患者数が減った時に、医師が余るので増やすべきではない・・・という話が出ちゃうわけですね(特に上の方から)

 

ただ、これは「医師の側」からの意見であって、「患者さんからの視点」ではないと思っています。10年前に札幌の居酒屋で聞いた話をまだ覚えていますが「医師不足というけど、医者が増えたら患者さんの取り合いになってしまう。歯科医師のように仕事に就けない医師が出る可能性があるから今のままで良いのではないか」・・・というような話をしていました。

確かに医師は「医師」としての仕事以外はできませんので、医業から落ちこぼれると何もできないただの人になるかもしれません。それでも「医療の進歩」についていけなくなり、最前線で勤務するのが難しくなった場合は身を引くことができる体制を作る必要があると思っています。

 

官僚の天下りではないのですが、優秀な頭脳と経験を持った医師が、患者を見なくても世間にその能力を還元できる再就職先を作れば良いと思うのです(給与は増やせないかもしれませんね。仕事内容によるでしょうから)。昔も書きましたが、産休・育休で現場から離れていた医療従事者の再教育施設の教官とか・・・。そもそも大学病院は「研究」「教育」「臨床」とあるわけですから、そのどれかに特化するのも自然かもしれませんし(特化といっても少しずつは絡み合う必要はあります。そうでなければ日本の医療のメリットを活かせませんし)。

 

色々書きましたが・・・医療は進歩しすぎて、細かくなりすぎました。僕も時間のあるときに「救急及び内科全般」の勉強もするようにしていますが、それでも「実際に使ったことがないから、診てみないとわからないな」と思ったりすることは多々あります(自分で言うのもなんですが、ピンと来たりすることはあります)。総合内科・総合診療医というものが注目されていますが、どうしてもある程度のレベルという話になってしまいます。

先ほどのコメントにも書きましたが「某研修施設(総合内科が有名な施設)」での診療が専門施設から見ると少し遅れた治療(数年前)をしていて、それでうまくいかなくなってから紹介されてくるのがどうにかならないか・・・というような話が出たそうです。おそらく、総合内科が得意な病院は「医局の垣根」を超えて集まっているので、直接はあまり関わっていない診療科もあるのだと思います。

それこそ、本来は医局の垣根を超えて指導しにいけば良いのでしょう(医療連携:縦と横と心)けど、そういうシステムになっていない(笑

 

本当に患者さんのためを考えるならば、システムはいくらでも変更できるだろうと思っています。

 

うちの職場も10年前に僕が思い描いた医療教育(運用)システムが・・・10年経った今でも最良のような気がするのですが・・・タイミングを外したかなと思っています(今やるのであれば、あの頃よりも労力がかなり必要でしょうね)。

 

いつも読んでいただいてありがとうございます。今後もよろしくお願いいたします。

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