雲は完璧な姿だと思う。。

いつの日か、愛する誰かが「アイツはこんな事考えて生きていたのか、、」と見つけてもらえたら。そんな思いで書き記してます。

TRANSIT 2

2019-09-29 06:56:14 | セツナイ
緊急滞在したホテルも含め、結局、
成田空港には27時間いたのです。


飛べなかったイスタンブール行きの便の再出発は翌朝になったのですが、
バルセロナへはイスタンブールで10時間以上ものトランジット時間がかかると。
他の便はないのだと。
その際、成田同様にイスタンブール空港内か近くのホテルを用意しますが、
今現在、どこのホテルになるかはわかりません、と。
ホテルによってっは一旦バゲージを受け取り、空港を出て、
また早朝に空港に戻り、
再度チェックインをしてバルサに向かってもらうという可能性もあるのだ、と。

もしくは、
イスタンブールからバルセロナへ行く便はどのみち同じ便となるので、
昨日飛べなかった同じ時間の便まで成田で過ごしてもらえれば、
成田で時間をツブシタ分、トランジットは3時間ほどですむと。

「どっちが良いか?」

トルコ航空はそんなことを言うのです。

「じゃあ、トルコ航空以外の便で最短に着く方法はないのか?」

と聞くと、カウンターの女性はひとしきり端末をさわった後、
一番早くてアリタリア航空でローマに行き、
同じアリタリアのバルセロナ行きにトランジット。
それであればバルセロナに着くのは今日の深夜23時半過ぎになると。
今なら席も空いている、と。

でも、そんなの......

アリタリアさんも含め、
あなた方は遅れるってことを普通にやるじゃん?
今回もそうだし。
時間の遅れなんて重大ゴトに考えてないよね?
そんな信用できない到着予定時刻が最初から深夜だったら、
もう翌朝と同じようなものじゃないの?
バルサに着くのは間違いなく24時を回るに決まってんじゃん?
だったら、このまま成田で待って、
明日の朝一にバルサに着く便でイイヨ。と。
僕はそんな判断を伝えました。



そこからです。

地獄の時間が始まったのは。

もう、本当にキツかったのです。



A地点からB地点に移動するために寄ったり、
使用したりする場所というのは、目的地ではないためなのか?
通り過ぎる前提みたいなものが頭にこびりついているためなのか?
本を読んだり、何かをしたりするのにはカナリの集中力と、
その気満々!みたいなエナジーが必要なようで。
そこへきて憤まん遣るかたないモヤモヤしたモノが
心と頭にこびりついてもいて。

「色々なことのリスケジュールをどうするのか?」

とか、そんなこともあり。
もう何も手につかない状態だったのです。
かといって何も考えないで10時間以上過ごすなんていうことは
カナリ困難な感じで。
それは味わってみると、僕にとっては、もう......

「拷問」

とにかく、
そんな状況で空港で27時間を過ごすということは僕にはとても難しく。
空港内を隅々まで何週も歩き回って散策をしてみたり。
色々な所で寝てみたり。
ストレッチをしたり。
瞑想じみたこともしてみたり。
あらゆるコトをしてみたのですが、しかし、
よしなしごとが頭をよぎり、グルグルと巡っていて。
何かをしようにもヤル気が起きなく。
しかも、そんな感情や考えは、
最初はこんなヒドイ状態に追い込んでくれた航空会社さんに向けられて
いたのですが、少しすると、
その負のエネルギーがソノまんまひっくり返って、
今度はそんな状況にいる自分自身のダメさ加減や落ち度や運の悪さ。
人格や性格、人徳。
果ては生業とする仕事に至るまで、
全ての全否定と自己否定を延々と繰り返すようになってしまったのでした。

俺はこんなところでイッタイ何をやっているのだろう......

バカじゃねーか?

こんなの。

オレ、ダメ過ぎんじゃん。

と。

それがまさに地獄で。

地獄というのはもしかしたら、

「延々に終わらない自己批判のことなのではないか?」

なんて、そんなことまで考えたりもしていました。
20時間以上何もすることなく、前向きなコトを考えられず、
ネガティブな思考ばかりがグルグルと頭を回っている状況というのは
とても悲惨で地獄じみたことだと。
それが身にしみました。
これから先、僕もおじいちゃんになって。
仕事もロクにしなくなったり。
色んなものに興味がなくなったり。
体を壊して動けなくなって、何もできなくなったり。
もし、そんなことになったら、果たして

「自分は耐えられるのだろうか?」

と。そんなことを思った時にはなんだかとても悲しくなって。
もう、このまま全てキャンセルして家に帰ろうかな、と。
そんなことまで考えていました。
そして、そんな惨憺(さんたん)たる気持ちや状況の中、
家から40時間以上もかけて辿り着いたサグラダ・ファミリアは、
なんだかとても......
神々しかったのです......





苦労して着いたからなのか、なんなのか。
なんだか泣けて来てしまいました。
ホントはこんなふうに泣けるような場所でもコトでもないのだ、と。
感激こそあれ、そんな場所では無いのではないか?と。
でも、どこかに

「こんな思いまでして、何でオレはこんなところに来てんだろ?」

という思いがずっと強くあり。

「今回はツカヘイさんのための旅だったハズだよな。
この地の神様に頼まれたことがあったよな」

と。様々な心模様が複雑に絡まり、
着いて早々、祭壇前の最前列の椅子に腰かけて。
問いかけにも似た神への複雑な思いや祈りを捧げ......
その時に、なんだか、僕は泣けてしまいました。



神様なんていないと思います。

いるとしたら、

もっと世の中は良くなってるハズです。

こんな建物も......

そんな神に捧げている?だって?

そんなこと、

そんなバカげてるかもしれないようなこと......

でも、なぜか、涙が込み上げて来ます。

これを建てたガウディだって、
建てている途中で借金まみれになって。
身なりもひどくなって。
ミサに出かける途中、街中で路面電車にひかれて。
そのまま3日ぐらいボロ雑巾のように道に投げ出されたままで。
道行く人は皆、浮浪者が寝ているだけだと思っていたら、
それが死んだガウディだった、と。
そんな最後だったわけで。



どこに?

神なんているんだよ?

信じたいのに、

信じられないじゃんか。

そんなの。

サグラダファミリアなんて大嫌いだ。

でも、魅かれてしまうのは......イヤ、

大嫌いだ。

みんな大嫌いだ。

イヤ、大好きだ。

なんなんだよ?

この世界は。



そうか......ガウディさんは......
観光地や観光名所に行く気持ちでここに来て欲しくなかったんだ......
これは世界でも最高の教会の一つなんだ......
ローマにも負けないくらいの聖なる場所なんだ。
ガウディさんはそんな教会を作りたかったんだ.......
それなのにオレはどこか観光気分で......
もう長いこと、
この地は世界中の多くの人々から観光名所の様に見られてきて。
扱われもしてきて。

「それは違うのだ」

と。ここはガウディさんが全身全霊、
全知全能を注ぎ込んで作った聖なる教会なのだ。
神に捧げられた、まぎれもない教会なのだ。
だから、UZMETよ。
そんな好奇な気持ちで来てくれるな。
お前はそんなことぐらいわかっていてほしいのだ。
何よりも先ず神聖な気持ちで来て欲しいのだ......
それで.......

「ココはあなたの国で言えば伊勢の神宮のようなものなのだ。
立派なバシリカ(Basilica)なのだ。
それがわからないのか?」





祭壇の前で祈りを捧げていた時、
僕にはそんな言葉が降りてきていました。
僕はハッと、気づき。
胸をうたれ。
聖地を観光気分で捉えていた自分がとても情けなくもなり。
この記事にしても、
せめてものお詫びにそんなことを記し残してもおこうかと......
そう思ったのです。
サグラダファミリアは誰が何と言おうと
地球上で最も高貴で神聖なる聖地の一つではないのか、と。
訪れる方々にはどうか、
真摯なる気持ちを忘れないでもらえたら、と。



ひどかった成田発の飛行機は、実はその後、
航空会社からのお詫びの印として、
到着までのすべての便をビジネスクラスにアップグレードしてもらいました。
立ち寄る空港のプレミアムラウンジも使いたい放題。
値段にして、片道でも60万円相当のサービス。
なので、ラウンジで食べ放題、飲み放題して、搭乗前にはシャワーを浴びて。
機内では家のベッドと変わらないシートで
疲れを癒しながら移動することもできて。
荷物はどこでも常に最初に出してもらい。
行きの移動自体に関しては

「天国!?」

と言ってもいい様な状況でした。
そういえばサグラダ・ファミリア(Sagrada Família)には
イエスの降臨を表現した「生誕のファサード」と、
イエスの苦悩を表現した「受難のファサード」とがあって。

生誕と受難。
喜びと悲しみ。
天国と地獄。

人が生きるとは、そんなものが混然一体となってあるようで。
それらは魂が成長できるよう、
大切なものを見つけられるよう、
その学びのためのものなのだ、と。
そういう理解においてはそれぞれに良しも悪しも無いのだ、と。
ガウディさんには色々なことを教えていただきました。
また近く、ツカヘイさんも含めたそんな夢うつつの物語を
ココに記し残しておこうかと。
今はそんなふうにも思っています。





ちょっとした天国と地獄を見せてもらった後、
この記事はイビサ島(Ibiza)のホテルの
プールサイドでゆっくりと記しているのですが、
このホテルには今、日本人は僕等しかいないようで。
ワールドカップラグビーでアイルランド戦に勝利した日本代表を称賛する声を
アチコチの国の人から掛けられまくっています。
なんだか、とても誇らしい気持ちでして。
ラグビー日本代表!すごいっす!尊敬!(^^)


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コメント (6)
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