赤峰和彦の 『 日本と国際社会の真相 』

すでに生起して戻ることのできない変化、重大な影響力をもつ変化でありながら一般には認識されていない変化について分析します。

エネルギー代金高騰の裏に潜む存在

2023-03-25 00:00:00 | 政治見解



エネルギー代金高騰の裏に潜む存在:230325情報

「ロシアのウクライナ侵略がエネルギー代金の高騰を招いた」というのがいまの常識となっていますが、すこし視点を変えてみますと米バイデン政権の政策が、プーチン氏を追い込み侵略戦争に駆り立てたという見方もあります。

これは、カーボンニュートラル・ゼロ実現のためにバイデン政権が化石燃料の採掘に制限をかけたがゆえに、ロシアのウクライナ侵略戦争の引き金を引いただけでなく、結果的に、エネルギー価格の高騰を招いたというものです。

このことは、当ブログの「SDGsがもたらすエネルギー危機」(2022-12-18 )に書いていますが、再掲載しますと・・・。


今日の世界的エネルギーの高騰はアメリカのバイデン政権やイギリスの前の前のジョンソン政権による、SDGsの課題の一つである地球温暖化防止のために、二酸化炭素排出量削減を最優先の政策課題と言い出して、自分たちで石油とか天然ガスとか石炭の値段を上げたことがそもそもの発端です。

そして、石炭石油だけじゃなくて天然ガスも全廃する、二酸化炭素排出量をカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させること)でゼロにするんだ、と叫んで、ロシアからの天然ガス輸送パイプライン、ノルドストリーム2の停止をドイツに迫り、ロシアのプーチン大統領を激怒させました【※1】。これが、ウクライナ侵略を決断させたかもしれません。

【※1】バルト海経由でロシアとドイツを結ぶ天然ガスのパイプライン「ノルドストリーム2」。既に工事は完了し、稼働に向けてドイツのゴーサインを待つのみだったが、ロシアがウクライナ侵略を始める2日前の2月22 日、ドイツはロシア側が何十億ドルもの工費をつぎ込んだこの事業に待ったをかけた。

ノルドストリーム2が稼働すれば、ヨーロッパ、特にドイツはますますロシア産ガスにエネルギー供給を依存するようになると以前から懸念されていた。プーチンは今まで以上に強力な切り札を手に入れ、エネルギーに飢えたヨーロッパを脅すようになる、と言われていた。ロシアにとっては「晴天の霹靂」となった。

ウクライナ侵略戦争がはじまってからというもの、石油や天然ガスの値段が上がり、石炭の値段まで上がってしまい、いまはて石炭大復活、ヨーロッパでは、薪の値段まで上がってきています。これがエネルギー価格高騰の理由で、物価高騰の真因です。

したがって、化石燃料の生産拡大をすればエネルギー価格の高騰は押さえられます。とくに、化石燃料の宝庫のアメリカが、国内で生産すれば簡単な話です。トランプ政権のように、石炭も掘ろう、石油も、シェールガスもシェールオイルも、どんどん掘ろうじゃないかという風にやっていれば、アメリカもエネルギー輸出国のままでいれたわけです。

それをバイデン政権は、「環境問題だ、地球温暖化だ、二酸化炭素を減らせ」というので、国内で物すごい規制を厳しくして掘れなくした上に、値上げをしたわけです。この背景に、米民主党内に存在する極左の環境主義者が離反していくのを恐れたため、ということが考えられます。

そして、国内には手を付けず、石油輸出国機構(OPEC)の盟主である親米国家のサウジアラビアに頼みに行って、断られるという事態になりました【※2】。その上、独裁者国家のベネズエラにまで、経済制裁を解くから、「石油を増産してくれ」と頼んだという話もあるようです。

【※2】アメリカとサウジアラビアは長年の友好関係にあったが、バイデン政権はサウジアラビアの実質支配者であるムハンマド皇太子が反体制ジャーナリスト・カショギ氏殺害に関与していると非難した経緯があり、急激に関係性が冷え切った。

それが今日のエネルギー価格の高騰の理由であり、エネルギー価格はあらゆる価格の基礎に浸透していますから、これは当然インフレが起きてくる。それからコロナ対策で金のばらまきをやったら、これももうインフレになるしかありません。だから、ここで金利を上げていっても、なかなかインフレはおさまらないのです。


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